一般外科

「前立腺炎と肥大の症状」

前立腺炎と前立腺肥大症は、男性においてよく見られる疾患です。これらの疾患は、尿道や生殖機能に大きな影響を与えることがあり、男性の健康にとって重要な問題となります。前立腺は、膀胱のすぐ下に位置する小さな腺で、精液の一部を分泌する役割を持っています。年齢と共に、前立腺は肥大することが一般的で、また炎症を起こすこともあります。この記事では、前立腺炎と前立腺肥大症の症状、原因、診断方法、治療法について詳しく解説します。

1. 前立腺炎とは

前立腺炎は、前立腺が炎症を起こす疾患で、急性または慢性に分かれます。急性前立腺炎は突然発症し、強い症状を伴いますが、適切な治療を受けることで回復が可能です。一方、慢性前立腺炎は長期間にわたって症状が続き、治療が難しいことがあります。

前立腺炎の症状

前立腺炎の主な症状には以下のようなものがあります:

  • 排尿障害:頻尿や排尿時の痛み、尿を出し切れない感覚が続くことがあります。排尿時に灼熱感や痛みを感じることもあります。

  • 骨盤部の痛み:前立腺の位置に関連して、骨盤や下腹部に鈍い痛みが感じられることがあります。痛みは慢性的で、活動や座っていることによって悪化する場合があります。

  • 発熱と寒気:急性の前立腺炎では、高熱や寒気を伴うことがあります。体調が非常に悪くなることもあるため、早期の診断と治療が重要です。

  • 性機能の問題:前立腺炎が進行すると、勃起不全や射精痛など、性機能にも影響を及ぼすことがあります。

  • 腰痛:前立腺炎によって腰部に痛みが出ることがあります。腰痛は、前立腺の炎症が周囲の筋肉や神経に影響を与えるためです。

前立腺炎の原因

前立腺炎の原因はさまざまであり、以下のような要因が考えられます:

  • 細菌感染:急性前立腺炎は、細菌感染が原因で発症することが多いです。尿道から細菌が前立腺に侵入し、炎症を引き起こすことがあります。

  • 免疫系の異常:慢性前立腺炎の場合、免疫系が異常を起こし、自身の前立腺組織を攻撃することがあります。この場合、細菌感染は必ずしも原因とは限りません。

  • 尿道感染症:尿道に感染が広がり、そのまま前立腺に影響を与えることがあります。

  • ストレスや生活習慣:過度なストレスや不規則な生活、過度のアルコール摂取、喫煙などが、前立腺炎のリスクを高めるとされています。

前立腺炎の診断方法

前立腺炎の診断には以下の方法が用いられます:

  • 医師の問診と身体検査:症状を詳しく聴取し、前立腺の触診を行います。前立腺が硬くて痛みがある場合、前立腺炎が疑われます。

  • 尿検査:尿中に細菌が存在するか、血液が混じっていないかを確認します。

  • 前立腺液の検査:前立腺から分泌される液体を採取し、感染の有無を調べます。

  • 超音波検査:前立腺の大きさや形状を調べ、肥大がないか確認します。

前立腺炎の治療法

前立腺炎の治療は、原因によって異なります。抗生物質や抗炎症薬が使用されることが多いです。急性前立腺炎の場合は、入院して点滴で治療を受けることもあります。慢性前立腺炎の場合は、長期間の抗生物質治療が必要なことがあり、場合によっては痛みを軽減するための薬物治療や生活習慣の改善が求められることもあります。

2. 前立腺肥大症とは

前立腺肥大症(良性前立腺肥大症)は、前立腺が肥大し、尿道を圧迫することによって排尿に支障をきたす疾患です。この疾患は、加齢とともに多くの男性に見られ、特に50歳以上の男性に多く発症します。

前立腺肥大症の症状

前立腺肥大症の症状は、主に排尿に関する問題です:

  • 頻尿:特に夜間に頻繁にトイレに行くようになる「夜間頻尿」が特徴的です。

  • 尿の出が悪い:排尿を始めるのに時間がかかり、途中で途切れたり、残尿感が残ることがあります。

  • 尿の勢いが弱い:尿の勢いが以前よりも弱くなることがあります。

  • 尿を出し切れない感じ:排尿後もまだ尿が膀胱に残っている感覚があることがあります。

  • 膀胱に圧迫感:尿を我慢しているときやトイレに行きたいときに、膀胱に圧迫感を感じることがあります。

前立腺肥大症の原因

前立腺肥大症の主な原因は、加齢に伴うホルモンバランスの変化です。男性ホルモンであるテストステロンが前立腺の細胞に作用し、肥大を引き起こします。遺伝的要因や生活習慣(肥満、運動不足、高脂肪食など)も関係していると考えられています。

前立腺肥大症の診断方法

前立腺肥大症の診断には以下の方法が用いられます:

  • 医師の問診と症状の確認:排尿に関する具体的な症状を医師に伝えることが重要です。

  • 直腸診(DRE):前立腺を触診し、肥大の有無や硬さを確認します。

  • 尿流量測定:排尿の流れを測定し、尿流の速度や強さを評価します。

  • 超音波検査:前立腺の大きさを調べるため、経腹または経直腸超音波検査が行われることがあります。

前立腺肥大症の治療法

前立腺肥大症の治療は、症状の程度によって異なります。軽度の症状であれば、生活習慣の改善や薬物療法が推奨されることが多いです。薬物治療には、α-ブロッカー(尿道をリラックスさせて排尿を改善する薬)や5α-還元酵素阻害薬(前立腺のサイズを縮小させる薬)などが使用されます。症状が重度の場合、手術が必要となることがあります。代表的な手術方法には、前立腺切除術や経尿道的前立腺切除術(TURP)があります。

3. まとめ

前立腺炎と前立腺肥大症は、どちらも男性の健康にとって重要な疾患であり、早期に対処することが非常に大切です。症状が現れた場合は、早急に医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが推奨されます。また、定期的な健康診断や生活習慣の改善が、予防につながります。

Back to top button