糖尿病は、血糖値の異常により引き起こされる慢性的な疾患であり、放置するとさまざまな深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。糖尿病は、タイプ1糖尿病とタイプ2糖尿病に分類され、いずれも適切に管理されない場合、多くの深刻な合併症をもたらす可能性があります。これらの合併症は、糖尿病の管理が重要である理由を強調しています。以下では、糖尿病が引き起こす可能性のある6つの重大な健康問題について詳しく説明します。
1. 心血管疾患(CVD)
糖尿病患者は心血管疾患を発症するリスクが大幅に高まります。これは、糖尿病が血管にダメージを与え、動脈硬化(動脈壁の厚みや硬化)が進行するためです。動脈硬化が進むと、血流が制限され、心臓への血流が不足する可能性があります。その結果、心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管イベントを引き起こすリスクが増加します。

また、糖尿病による高血糖が血圧の上昇を引き起こすこともあります。高血圧と糖尿病が重なると、心血管系への負担がさらに増大し、心臓病や脳卒中のリスクが高まります。
2. 腎臓病(糖尿病性腎症)
糖尿病性腎症は、糖尿病が原因で腎臓が徐々に機能しなくなる病状です。高血糖の状態が続くことで、腎臓の細小血管にダメージを与え、腎臓のろ過機能が低下します。これにより、血液中の老廃物がうまく排出されなくなり、体内に蓄積してしまうため、腎不全に進行することがあります。
糖尿病性腎症が進行すると、最終的には透析や腎移植が必要になることもあります。腎臓病は糖尿病患者における重大な合併症であり、糖尿病の管理が重要な理由の一つです。
3. 失明(糖尿病性網膜症)
糖尿病が引き起こすもう一つの深刻な問題は視力の喪失です。糖尿病が原因で、眼の網膜の血管が損傷し、糖尿病性網膜症が進行することがあります。この状態では、網膜の血管が破れて出血したり、視覚に必要な酸素供給が不足したりすることがあり、最終的には失明に至る可能性もあります。
初期段階では症状があまり現れないことが多いため、定期的な眼科検診が推奨されます。糖尿病性網膜症を予防するためには、血糖値のコントロールが非常に重要です。
4. 神経障害(糖尿病性神経障害)
糖尿病性神経障害は、長期にわたる高血糖が神経にダメージを与えることによって引き起こされます。これにより、体のさまざまな部分に感覚異常や痛み、しびれが現れることがあります。特に足や手に影響が出ることが多く、進行すると、神経の働きが完全に失われることもあります。
糖尿病性神経障害が進行すると、足に潰瘍ができやすくなり、最悪の場合、感染が広がり、足の切断を余儀なくされることもあります。これを防ぐためには、血糖値の管理と早期の神経検査が重要です。
5. 足の問題(糖尿病性足病)
糖尿病性足病は、糖尿病が原因で足にさまざまな問題を引き起こす状態です。糖尿病による神経障害や血流不足が進行することにより、足の感覚が鈍くなり、足の傷や潰瘍に気づかないことがあります。これが悪化すると、感染症や壊疽(腐敗)が進行し、最終的には足の切断が必要になることもあります。
また、血糖値が高い状態が続くと、免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。足を守るためには、日々の足のチェックや適切なケア、靴の選び方が非常に重要です。
6. 歯周病
糖尿病が進行すると、歯周病のリスクも高まります。高血糖の状態が続くと、口腔内の細菌が繁殖しやすくなり、歯茎に炎症を引き起こすことがあります。歯周病が進行すると、歯が抜けることや、口臭、さらには全身に悪影響を及ぼすことがあります。
また、歯周病は糖尿病のコントロールをさらに難しくする可能性があり、糖尿病の悪化を招くことがあります。そのため、歯の健康を保つためにも、定期的な歯科検診と口腔ケアが欠かせません。
まとめ
糖尿病は、血糖値の管理が不十分であると、さまざまな深刻な合併症を引き起こす可能性があります。心血管疾患、腎臓病、視力障害、神経障害、足の問題、歯周病といった合併症は、糖尿病を早期に発見し、適切に管理することで予防や進行を遅らせることができます。定期的な健康チェックと生活習慣の改善が、糖尿病患者にとって非常に重要です。糖尿病の管理を徹底し、これらの合併症のリスクを減らすことが、より良い生活の質を維持するための鍵となります。