ミルクとチーズ

自家製ヨーグルトの作り方

自家製ヨーグルト(ラバン・ラービ)を家庭で作る完全ガイド

牛乳やヤギ乳を発酵させて作られるラバン・ラービ(発酵乳、いわゆるプレーンヨーグルト)は、古代から続く保存食であり、栄養価が非常に高く、消化を助け、腸内環境を整える効果で知られています。この記事では、専門機器なしで家庭で簡単にラバン・ラービを作るための完全かつ科学的なプロセスを紹介し、失敗を防ぐための注意点やコツも詳細に解説します。


原材料と必要な道具

原材料(4人分程度)

材料名 分量 備考
牛乳(またはヤギ乳) 1リットル 成分無調整が望ましい
市販の無糖プレーンヨーグルト 大さじ2 種菌として使用(アクティブ乳酸菌入りのもの)

必要な道具

  • ステンレス製またはホーロー製の鍋

  • 木製またはシリコン製のスプーン(プラスチック不可)

  • 温度計(あると便利)

  • ガラスまたは陶器の容器(ふた付き)

  • キッチンタオルやブランケット(保温用)


手順:家庭でできる発酵乳の作り方

1. 牛乳の殺菌加熱

最初に牛乳を鍋に注ぎ、中火にかけて温度を**90〜95℃**まで上げます。沸騰直前で火を止め、数分そのままにしておくことで、雑菌の殺菌とタンパク質の変性が進み、滑らかなラバンが出来上がります。牛乳の表面に薄い膜(クリーム層)ができても問題ありません。

2. 冷却

牛乳を**40〜45℃**まで冷まします。この温度帯が乳酸菌にとって最適な繁殖温度です。温度計がない場合は、指を清潔にして牛乳に3秒ほど入れてみて、「熱いが我慢できる」程度が目安です。

3. 種菌の追加

プレーンヨーグルト(大さじ2)を少量の冷ました牛乳で溶き、それを全体の牛乳に加えてよく混ぜます。かき混ぜすぎると組織が壊れるため、ゆっくり優しく混ぜることがポイントです。

4. 発酵

混ぜた牛乳を清潔な容器に移し、ふたをしてから保温します。保温の方法としては、以下のような工夫が効果的です。

  • 容器を毛布で包む

  • 40℃前後のオーブン内に置く

  • 炊飯器の保温モード(蓋を少し開けたまま)を使う

発酵時間の目安は6〜10時間。温度が高めであれば短時間で、低めであればより長時間が必要です。発酵後はヨーグルト状に固まり、酸味が感じられる香りがします。

5. 冷蔵保存

発酵が完了したらすぐに冷蔵庫に入れてください。冷却することで発酵が止まり、風味が安定します。冷蔵後は3〜5日以内に消費するのが理想です。


成功させるための科学的ポイント

ポイント 説明
牛乳の選択 成分無調整の牛乳を使うことで乳脂肪やタンパク質が豊富になり、濃厚でクリーミーな仕上がりになる
温度管理 種菌投入時の温度が高すぎると菌が死滅し、低すぎると発酵が進まない
清潔な環境 雑菌が入ると発酵に失敗する可能性が高まるため、器具や容器は煮沸消毒を推奨
種菌の質 アクティブな乳酸菌が生きているヨーグルトでないと発酵しないので、無糖で「生きた乳酸菌入り」の表示を確認すること

よくある失敗とその対処法

症状 原因 対処法
固まらない 温度不足または種菌の死滅 温度を正確に保つ。種菌は新鮮なものを使用
水っぽい 過発酵または成分調整牛乳の使用 発酵時間を短くするか、牛乳の種類を見直す
酸味が強い 発酵時間が長すぎる 次回は時間を短縮して調整

栄養価と健康効果

自家製のラバン・ラービには以下のような栄養素が豊富に含まれています。

栄養素 働き
タンパク質 筋肉や免疫の構成要素として重要
カルシウム 骨の形成と維持に不可欠
ビタミンB群 エネルギー代謝を促進
乳酸菌 腸内環境の正常化、免疫力の向上

また、ラクトース(乳糖)が分解されているため、乳糖不耐症の人にも比較的消化しやすいという利点があります。


バリエーション:応用レシピ

  • ギリシャ風ヨーグルト:完成後、清潔な布で水分(ホエー)をこして濃縮すると濃厚なヨーグルトに

  • スムージー:果物やハチミツと混ぜて朝食に最適なスムージーに

  • ヨーグルトソース:ハーブやニンニク、塩を加えてソースとして料理に使用


まとめ

家庭で作るラバン・ラービは、手間はかかるものの、素材を自分で選べる安心感と、無添加で高栄養な食品を手に入れられるという大きな利点があります。温度管理と衛生面に気を付ければ、初心者でも失敗なく美味しく仕上げることができます。

発酵の科学を理解することで、ヨーグルト作りは単なる家庭料理の域を超え、発酵文化を体験する手段にもなります。ぜひ自宅での発酵生活の第一歩として、今回紹介したレシピを試してみてください。


参考文献

  1. Tamime, A. Y., & Robinson, R. K. (2007). Yoghurt: Science and Technology. CRC Press.

  2. 日本乳業技術協会「発酵乳の製造基準と安全性に関する報告書」(2020年版)

  3. Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO). “Fermented milk: General aspects.”

  4. 厚生労働省「食品の微生物制御に関するガイドライン」


日本の皆さん、安心で美味しい発酵食品をご自宅で楽しんでください。

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