医学と健康

てんかん発作の応急処置

エピレプシー(てんかん)の応急処置について

エピレプシー(てんかん)は、脳内の神経活動の異常により発生する、繰り返し起こる発作性の症状を特徴とする神経疾患です。てんかんの発作は突然起こることが多く、周囲の人々がどう対応するかが非常に重要です。正しい応急処置を行うことで、発作を受けている人の安全を確保し、予後を改善することが可能です。この記事では、てんかんの発作に対する適切な応急処置について詳しく説明します。

1. てんかん発作の種類と特徴

てんかんにはさまざまな発作のタイプがあります。大きく分けて「全般発作」と「部分発作」の2つに分類されます。全般発作は脳全体に異常な電気的活動が広がるもので、部分発作は脳の一部で異常が生じるものです。

全般発作

全般発作には以下のようなタイプがあります:

  • 強直間代発作(けいれん発作):体全体が硬直し、次にリズムよくけいれんします。この発作はしばしば意識を失い、発作後に混乱や疲労感を感じることが多いです。
  • 欠神発作:意識が一時的に失われ、目がぼーっとしたり、何もしていないように見えることがあります。通常、数秒以内に回復します。

部分発作

部分発作は脳の一部に異常な電気的活動が生じ、発作の症状がその部分に関連します。例えば、手や足が痙攣を起こすことがあります。

2. エピレプシーの発作が発生した場合の応急処置

てんかん発作は突然起こることが多いため、周囲にいる人は冷静に対応する必要があります。発作を起こしている人に対して、次の手順を守ることが重要です。

1. 落ち着いて周囲の状況を確認する

発作が始まった際、最も重要なのは慌てないことです。周囲の状況を確認し、発作を受けている人の安全を確保することが最優先です。人が倒れる前に、周囲の障害物や危険物を取り除き、怪我を避けるために場所を整えます。

2. 人を安定した位置に移動させる

もし可能であれば、発作を起こしている人を床に寝かせ、頭を保護するために柔らかい物(例えばジャケットやクッション)を頭の下に置きます。頭を硬い床に直接ぶつけないようにすることが重要です。

3. 舌をかみ込まないようにする

発作中に舌をかみ込むことがありますが、無理に舌を引き出したり、口に物を突っ込んだりしてはいけません。これはかえって危険を招くことがあります。発作が治まるまで、口の中に物を入れないようにします。

4. 発作が終わるまで見守る

発作は通常、数分以内に治まります。発作が終わるまで、静かに見守り、他の人が発作を起こしている人に無駄に触れないように注意します。

5. 発作後のケア

発作が終わった後、患者が目を覚ましたら、混乱していることが多いので、穏やかに落ち着かせるようにします。周囲に不安を与えないように、静かな環境を提供しましょう。もし患者が完全に回復しない場合や意識が戻らない場合は、直ちに救急車を呼ぶ必要があります。

6. 発作の後、患者を一人にしない

発作後は混乱や疲労感を伴うことが多いため、患者が安全に過ごせるように見守りましょう。また、発作の前後に何が起こったかを把握するために、記録を取ることも役立ちます。

3. 発作時にやってはいけないこと

  • 口に物を入れること: てんかん発作の最中に口に物を入れることは非常に危険です。患者が歯で噛んでしまったり、誤って窒息するリスクがあるため、絶対に行わないでください。
  • 発作を制止しようとすること: けいれんを止めようとして無理に手足を押さえつけることは、骨折や筋肉損傷を引き起こす可能性があるため、避けるべきです。
  • 発作中に水や食べ物を与えること: 発作中に飲食物を与えると、誤って喉に詰まらせる危険があります。

4. てんかん患者へのサポート

発作を経験した人は、その後の精神的なサポートも重要です。発作が起きたことにより、患者は不安や恐怖を感じることがあります。家族や友人は、患者が安心できるように話を聞いたり、励ましたりすることが必要です。

また、てんかん患者は医師と定期的に面談し、治療法の見直しを行うことが求められます。治療には薬物療法や外科的手術、さらにはライフスタイルの改善などが含まれることがあります。

5. まとめ

てんかん発作は予測不可能な場合が多く、発作を目撃した場合には冷静かつ迅速に行動することが求められます。適切な応急処置を施すことで、患者の安全を確保し、発作後の回復を助けることができます。最も重要なのは、発作中に患者を支援し、不要な危険を避けることです。また、発作後も患者のケアを怠らず、必要に応じて専門的な医療支援を受けることが大切です。

Back to top button