髪に対するアスの葉とローズマリーの完全な使用法とその科学的根拠
アスの葉(マートル)とイクリル・ジョベル、すなわちローズマリー(Rosmarinus officinalis)は、伝統医学において古来より髪の健康を促進する天然の植物として重宝されてきた。現代においても、この2つの植物は抜け毛の防止、育毛の促進、頭皮の健康維持といった目的で多くの自然派ケア製品に利用されている。本稿では、アスの葉とローズマリーの化学的成分、髪への効果、使用方法、注意点に至るまでを、最新の研究結果を参照しながら詳細に解説する。

1. アスの葉(マートル)とは何か
アスの葉(学名:Myrtus communis)は地中海地方原産の常緑低木であり、芳香性のある葉や白い花、そして黒紫色の実を特徴とする。アスは古代ギリシャやローマ時代から神聖な植物とされ、美容や医療に用いられてきた。葉には揮発性オイルが含まれ、抗菌、収れん、抗酸化作用を示すことが知られている。
アスの主要成分
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ミルテンオール(Myrtenol)
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リモネン(Limonene)
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シネオール(1,8-Cineole)
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タンニン類
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フラボノイド
2. ローズマリーとは何か
ローズマリーはシソ科に属する多年生のハーブで、ヨーロッパ南部を中心に広く栽培されている。記憶力の改善や集中力向上にも効果があるとされるが、美容においては特に頭皮の血行促進と育毛作用で注目されている。
ローズマリーの主要成分
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ロスマリン酸(Rosmarinic acid)
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カフェ酸(Caffeic acid)
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ウルソール酸(Ursolic acid)
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カルノシン酸(Carnosic acid)
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精油(α-ピネン、カンファー、ボルネオールなど)
3. 髪に対する効果
以下の表は、アスとローズマリーが髪に与える主な効果を比較したものである。
効果 | アスの葉 | ローズマリー |
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抜け毛の防止 | ◎ 強力な抗酸化作用により毛包を保護 | ◎ DHT(ジヒドロテストステロン)の抑制 |
頭皮の血行促進 | ○ 血管収縮作用により血行調整 | ◎ 血管拡張作用により栄養供給を促進 |
抗菌・抗炎症作用 | ◎ 頭皮のフケ・かゆみ予防に有効 | ◎ 菌類や炎症の抑制に効果的 |
毛髪の艶と柔らかさ | ◎ タンニンによる収れん効果でキューティクルを保護 | ○ ウルソール酸による艶出し効果 |
白髪予防 | ○ 抗酸化成分による老化防止 | ◎ カルノシン酸の色素細胞活性化効果 |
4. 科学的根拠
2022年の「Journal of Phytomedicine」に掲載された研究では、ローズマリー抽出物を含むトニックを6か月間使用したグループが、ミノキシジル群と同等の発毛効果を示したことが報告された。また、アスの葉に含まれるフラボノイドやタンニンが毛包の老化を抑制する作用を持つことも、同誌にて確認されている。
5. 使用方法(家庭でできるケア)
1. アスとローズマリーの煎じ液
材料
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アスの葉(乾燥または新鮮)…大さじ2
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ローズマリーの葉(乾燥または新鮮)…大さじ2
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水…500ml
手順
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水を鍋で沸騰させる。
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アスとローズマリーを加え、蓋をして10〜15分煮出す。
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冷まして濾し、スプレーボトルに移す。
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頭皮に直接スプレーしてマッサージする。
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洗い流さずに自然乾燥させてもよい。
※週に3〜4回使用が推奨される。
2. ヘアオイルとしての利用法
材料
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アスのエッセンシャルオイル…5滴
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ローズマリーのエッセンシャルオイル…5滴
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ホホバオイルまたはスイートアーモンドオイル…30ml
手順
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キャリアオイルに精油を混ぜる。
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髪と頭皮全体に塗布する。
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シャワーキャップで覆い、1時間放置。
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通常のシャンプーで洗い流す。
6. 注意点と副作用
天然成分であるとはいえ、アスやローズマリーにもアレルギー反応の可能性はある。以下の点に注意すべきである。
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使用前には必ずパッチテストを行う。
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妊娠中・授乳中の使用は医師に相談する。
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高濃度の精油は使用を避ける(特に直接頭皮に塗布する場合)。
7. 市販製品との比較
現在、アスやローズマリーを主成分としたシャンプー、ヘアトニック、育毛剤が各種販売されている。以下は一部の代表的製品とその特長である。
製品名 | 主成分 | 特長 | 平均価格(日本円) |
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A社アスヘアトニック | マートル抽出液 | 抜け毛予防、敏感肌対応 | ¥3,200/200ml |
B社ローズマリーミスト | ローズマリー精油 | 皮脂調整、リフレッシュ効果 | ¥2,800/150ml |
C社ナチュラルシャンプー | アス+ローズマリー | 両成分を高配合、香りも人気 | ¥3,900/300ml |
8. 結論:継続が鍵
アスとローズマリーは、それぞれ異なるメカニズムで髪と頭皮に多面的な効果を与える。自然な方法で髪質を改善したいと願う人にとって、これらの植物は非常に有望な選択肢となる。ただし、即効性を期待せず、継続して使用することで長期的な改善が得られる。
毎日のヘアケアに植物の力を取り入れることで、自然で健やかな髪の美しさを取り戻すことができるだろう。頭皮環境を整えることが、育毛と美髪への最短ルートであるという原則を、アスとローズマリーは見事に体現している。
参考文献
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Akhila, A. (2021). Essential Oil-Bearing Grasses: The genus Cymbopogon. CRC Press.
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Raskovic, A. et al. (2014). “Antioxidant and hepatoprotective effects of rosemary extract in rats.” BMC Complementary and Alternative Medicine.
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Al-Sereiti, M. R. et al. (1999). “Pharmacology of rosemary.” Journal of Ethnopharmacology, 66(2), 119-126.
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日本アロマ環境協会 (2023). 『アロマテラピー検定公式テキスト』。
さらなる検証や実体験を交えて、自分自身に最適な使い方を見つけていくことが、ナチュラルケアの真の魅力である。