アルブミンは、血液中で最も多く含まれるタンパク質であり、体内で重要な役割を果たしています。血液中のアルブミン濃度は、体調の指標となることが多く、その測定は多くの疾患や状態の診断や管理に役立ちます。ここでは、アルブミンの役割、測定方法、異常値が示す意味について、そしてその臨床的な重要性について詳しく解説します。
アルブミンの役割
アルブミンは、肝臓で合成されるグロブリンと呼ばれるタンパク質群に分類され、血液中の主要な血漿タンパク質です。成人の血清アルブミンの濃度はおおよそ3.5〜5.0 g/dL(グラム/デシリットル)です。このタンパク質は、体内で以下のような重要な役割を担っています。

-
浸透圧の維持
アルブミンは、血液中の水分が血管内にとどまるための圧力を維持します。この浸透圧の作用により、血管から組織に水分が漏れ出すのを防ぎます。アルブミンが不足すると、浮腫(むくみ)が起こりやすくなります。 -
栄養素やホルモンの運搬
アルブミンは、脂肪酸、ホルモン、ビタミン、薬剤などの物質を血液中で運ぶ役割も果たします。このため、アルブミンの低下は、これらの物質の血中濃度にも影響を及ぼす可能性があります。 -
抗酸化作用
アルブミンはフリーラジカルを結合し、酸化ストレスから細胞を守る働きもあります。これにより、体内の炎症反応が抑制されることが期待されます。
アルブミン測定の方法
血液中のアルブミン濃度は、通常、血液検査で測定されます。最も一般的な方法は、ビウレット法または比色法です。これらの方法では、アルブミンが試薬と反応して色を変えることを利用して、その濃度を定量的に測定します。
検査の結果、アルブミン濃度が基準値から外れる場合、さらなる診断が必要となります。アルブミン濃度の異常値は、肝臓や腎臓の疾患、栄養状態の悪化などを示唆することがあります。
アルブミン異常の原因とその影響
アルブミン濃度が正常範囲外である場合、その原因はさまざまであり、異常値が示す病状や体調の変化を理解することが重要です。アルブミンの異常は、以下のような疾患や状況に関連しています。
アルブミン低値の原因
-
肝疾患
アルブミンは肝臓で合成されるため、肝炎や肝硬変などの肝疾患がある場合、合成能力が低下し、アルブミン濃度が低くなることがあります。 -
腎疾患
糖尿病性腎症やネフローゼ症候群などの腎疾患では、腎臓がアルブミンを尿中に排出してしまうため、血中アルブミン濃度が低下することがあります。 -
栄養不良
十分なタンパク質を摂取しない場合、アルブミンの合成が減少し、低アルブミン血症を引き起こすことがあります。特に飢餓状態や慢性的な栄養失調のある患者に見られます。 -
炎症や感染症
体内で炎症反応が起きると、肝臓は急性期タンパク質を優先的に合成するため、アルブミンの合成が抑制され、低アルブミン血症を引き起こすことがあります。
アルブミン高値の原因
-
脱水症
体内の水分が減少すると、血液中のアルブミン濃度が相対的に高くなることがあります。脱水症状は、下痢や嘔吐、大量の発汗などによって引き起こされます。 -
多発性骨髄腫
骨髄で異常な免疫グロブリン(M蛋白)が産生される多発性骨髄腫では、血液中のタンパク質が異常に増加し、アルブミン濃度が高くなることがあります。 -
慢性疾患の影響
慢性疾患においても、アルブミン濃度が高くなることが報告されていますが、これはしばしば脱水と関連しています。
アルブミンの臨床的な重要性
アルブミン濃度は、単独で診断を行うための指標としては不十分ですが、他の検査結果と組み合わせることで、患者の健康状態を評価するうえで非常に重要な情報を提供します。たとえば、肝疾患、腎疾患、心不全、栄養失調などの診断や治療経過の監視に役立ちます。
アルブミン/グロブリン比
アルブミン濃度だけでなく、アルブミンと他の血漿タンパク質(グロブリン)との比率(アルブミン/グロブリン比)も重要です。この比率の低下は、肝疾患や腎疾患、または慢性炎症状態を示唆することがあります。逆に比率が高い場合、脱水や一部の血液疾患を示唆することがあります。
結論
アルブミンは、体内で重要な役割を担っているタンパク質であり、血液中のアルブミン濃度を測定することは、患者の健康状態を評価するために非常に有用です。アルブミンの異常値は、肝疾患、腎疾患、栄養不良、炎症などさまざまな病態を示すため、適切な診断と治療に役立つ指標となります。定期的な血液検査とともに、アルブミンの状態をチェックすることが、健康管理において重要なステップです。