イラクは中東に位置する国で、豊かな歴史と文化を有し、政治的にも多様な地域が存在します。イラクには全体で18の行政区(州、または「モハーフザ」)があります。これらの州は、イラクの主要な地域を構成し、それぞれが独自の文化、歴史、経済的背景を持っています。各州にはその地域の特性を反映した政府機関が存在し、中央政府とは異なる行政権限を有することもあります。
イラクの行政区は、以下のように分類されます。

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バグダード州 (Baghdad)
イラクの首都バグダードを含むバグダード州は、国の政治、経済、文化の中心であり、最も重要な州の一つです。バグダードは中東で最も古い都市の一つであり、歴史的にも非常に重要な役割を果たしてきました。 -
バスラ州 (Basra)
イラクの南部に位置し、ペルシャ湾に面するバスラは、イラクの主要な石油輸出港を有する経済的に重要な州です。また、バスラは商業活動や農業にも注力しており、多くの都市と貿易が行われています。 -
アラビア州 (Anbar)
イラク西部に広がるアラビア州は、広大な砂漠地帯を含んでおり、地域的には戦略的に重要な位置を占めています。アラビア州は、長い間紛争の舞台となることも多かった地域です。 -
ナジャフ州 (Najaf)
ナジャフ州はシーア派イスラム教徒にとって非常に重要な宗教的都市を擁しています。ナジャフ市にはシーア派の重要な霊的リーダーが集まるモスクや聖地があります。 -
カーディムヤ州 (Karbala)
カーディムヤもナジャフ同様、シーア派にとって重要な宗教都市であり、特にアシュラの祭りで知られています。この地域は、歴史的な背景から多くの巡礼者が訪れる場所でもあります。 -
ディワニヤ州 (Diwaniya)
イラク中部に位置し、農業が盛んな地域です。ディワニヤはイラクの農業地域の中でも特に水源が豊富で、稲作などが行われています。 -
ミサーン州 (Maysan)
イラク南部に位置するミサーンは、石油資源が豊富な地域で、特にイランとの国境に近い場所にあります。地域経済は石油とガスの開発に依存しています。 -
サラハッディン州 (Salah ad-Din)
イラク中部に位置し、バグダードの北に広がるサラハッディン州は、特に農業が盛んな地域です。歴史的にも重要な場所であり、古代文明との関連が深い地域です。 -
ナイナワー州 (Nineveh)
ナイナワー州はモスルを中心とする地域で、シリアとの国境に接しています。この州はアッシリア帝国の中心地としても知られており、数多くの歴史的遺産があります。 -
ディヤラ州 (Diyala)
イラク東部に位置し、イランとの国境にも接するディヤラ州は、農業が重要な地域ですが、近年は政治的な緊張も高い場所です。様々な民族が混在する地域でもあります。 -
スラマニヤ州 (Sulaimaniyah)
クルド自治区に属するスラマニヤは、イラク北部に位置し、クルド人の文化や政治が色濃く反映された地域です。スラマニヤはまた、イラクで最も発展した地域の一つとして知られています。 -
アルスラ州 (Al-Qadisiyyah)
この州はイラク南部に位置し、歴史的にアラブ文化が色濃く残る地域です。アルスラは古代バビロニアの遺跡などが多く、観光地としても重要な場所です。 -
バビル州 (Babil)
バビルはイラク中部に位置し、古代バビロン遺跡があり、歴史的に重要な地域です。バビロンの遺跡は世界遺産にも登録されています。 -
カイミヤ州 (Kaimiya)
イラク北部のカイミヤ州は、山岳地帯が広がる地域で、自然の美しさとともに、農業が重要な産業となっています。 -
ハウィジャ州 (Hawija)
イラク北部にあるハウィジャは、山地と農業地帯が広がる地域です。近年では、テロ活動の影響を受けた地域でもあります。 -
ムサンナ州 (Muthanna)
イラク南部に位置するムサンナは、砂漠地帯が広がっており、主に農業と畜産が行われています。この地域は乾燥しており、限られた水源に依存しています。 -
ナズィーフ州 (Najaf)
ナズィーフはシーア派の聖地が集中している場所であり、宗教的な中心としても知られています。 -
カークーク州 (Kirkuk)
イラク北部のカークーク州は、民族的な多様性が特徴で、クルド人、アラブ人、トルクメン人が共存しています。この地域は石油資源が豊富であり、経済的に重要な位置を占めています。
イラクの18の州はそれぞれ異なる文化的背景と経済的特性を持っており、イラク全体を構成する重要な地域です。これらの州はイラクの多様性を象徴しており、地理的、文化的、経済的に重要な役割を果たしています。