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エジプトの面積と人口

エジプト(アラビア語: مصر)は、アフリカ大陸の北東部に位置し、アジア大陸にも一部がまたがる、戦略的に極めて重要な国である。北は地中海、東は紅海と隣接し、北東ではガザ地区とイスラエル、西はリビア、南はスーダンと国境を接している。古代文明の発祥地として知られ、歴史的・文化的遺産に富む国でありながら、21世紀の現代においても人口増加や都市化、経済発展、環境問題といった多面的な課題に直面している。本稿では、エジプトの国土面積と人口について、統計的・地理的・社会的観点から徹底的に解説する。


エジプトの国土面積

エジプトの総面積は約1,001,450平方キロメートルであり、これはアフリカ大陸内で30番目に大きい国土面積を有する国家である。この広大な面積の大半を占めるのがサハラ砂漠に属する乾燥地帯であり、実際に人が定住し、農業や都市生活が可能な地域は全体の4%から5%に過ぎない。人口が集中する地域は主にナイル川の流域およびナイルデルタ地帯であり、この細長い川沿いの土地が国民の生活の中心である。

地形と自然環境

地形的には、大きく分けて以下の四つの地域に分類される:

  1. ナイル川流域およびデルタ地域

    全人口の約95%がこの地域に居住しており、エジプト経済の中心を成す。肥沃な土壌を有し、農業が盛んである。

  2. 西方砂漠(リビア砂漠)

    国土の大部分を占める不毛な砂漠地帯であり、オアシスを除き人間の居住は稀である。

  3. 東方砂漠

    紅海に接する山岳地帯であり、鉱山資源が豊富に存在する。

  4. シナイ半島

    アジア大陸に属する地域であり、戦略的・軍事的に重要視されている。観光資源としても知られる。


人口の推移と分布

現在の人口

2024年の推定によると、エジプトの総人口は約1億1,400万人を超えており、これはアフリカでナイジェリアに次ぐ第2位、アラブ諸国の中では最大である。エジプトの人口増加率は依然として高く、毎年200万人以上が増加している。

年度 推定人口 増加率(前年比)
2000年 約6,850万人
2010年 約8,300万人 +2.0%
2020年 約1億200万人 +2.1%
2024年 約1億1,400万人 +1.9%

都市別人口

エジプトの都市人口は著しく偏在しており、最大都市であるカイロには約2,000万人以上が集中している。以下に主要都市とその人口を示す。

都市名 人口(推定)
カイロ(首都) 約2,100万人
ギザ 約900万人
アレクサンドリア 約550万人
ポートサイド 約100万人
スエズ 約80万人

人口密度とその偏在性

全国平均の人口密度はおおよそ110人/km²とされるが、ナイル流域およびデルタ地帯では2,000人/km²を超える地域もある一方で、砂漠地帯ではほぼゼロに等しい。都市部と農村部の経済的格差、教育水準、インフラ整備状況などの面でも極めて大きな違いがある。


人口構造と社会的側面

年齢構成と若年層の比率

エジプトの人口は非常に若く、15歳未満の人口が全体の約34%、15歳〜29歳の若年層が約30%を占めている。これは経済的には潜在的労働力の大きさを示す一方、教育、雇用、医療などの社会サービスへの需要が極めて高いことを意味する。

年齢層 構成比(2024年推定)
0〜14歳 34%
15〜29歳 30%
30〜64歳 31%
65歳以上 5%

人口ボーナスと経済への影響

この「人口ボーナス期」は経済成長にとって有利な条件とされるが、雇用創出の遅れや高い失業率、教育の質的問題が足かせとなっている。特に大学卒業者の失業率は非常に高く、都市部の若年層では20%以上に及ぶ場合もある。


将来予測と課題

人口予測(2050年まで)

国連の中位推計によると、エジプトの人口は2050年までに1億6,000万人を超えると見られている。人口増加は主に出生率の高さに起因しており、現在の合計特殊出生率(TFR)は約3.3である。これは世界平均を大きく上回る水準である。

社会インフラへの影響

今後数十年にわたる人口増加は、教育・医療・交通・住宅など多方面で国家にとって重大な課題を突き付ける。カイロの慢性的な渋滞や水資源の枯渇リスク、大気汚染など、既に多くの問題が深刻化している。


結論と考察

エジプトは、広大な国土を有しながらも、その大半が人間の居住に適さない乾燥地帯であるという地理的制約を抱えている。一方で、急速な人口増加と都市集中によって、社会的・経済的なプレッシャーが極限まで高まりつつある。こうした状況下で、政府は新都市の建設(例:新首都プロジェクト)や家族計画政策、教育改革などを通じて持続可能な成長を模索している。

地理的多様性と人口ダイナミクスを併せ持つエジプトは、21世紀の国際社会においてその戦略的・文化的・経済的影響力を強めている。したがって、その国土と人口に関する理解は、現代のグローバルな文脈において不可欠である。


参考文献

  1. United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division. World Population Prospects 2022.

  2. Central Agency for Public Mobilization and Statistics (CAPMAS), Egypt.

  3. World Bank Data – Egypt Population Statistics.

  4. FAO, “Egypt Land and Water Resources.”

  5. OECD Development Centre – Youth Well-Being Policy Reviews: Egypt.

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