コンピュータの「工場出荷時設定へのリセット(リセット)」は、システムが遅くなったり、動作が不安定になったりした場合や、完全に新しいスタートを切りたいときに有効な方法です。これにより、すべてのデータや設定が初期化され、購入時の状態に戻ります。リセットの方法は使用しているオペレーティングシステムやメーカーによって異なりますが、一般的な手順を以下に示します。
1. リセット前の準備
工場出荷時設定に戻す前に、重要なデータやファイルをバックアップすることが非常に重要です。リセット後、すべての個人データ、アプリケーション、設定が消去されます。以下のものをバックアップしましょう:

- ドキュメント、写真、ビデオなどの個人ファイル
- 必要なソフトウェアやアプリケーション
- 重要なメールや連絡先
- 必要に応じて、ウェブブラウザのブックマークやパスワード
バックアップ方法には、外部ハードディスク、クラウドストレージサービス(Googleドライブ、OneDrive、Dropboxなど)を利用することが一般的です。
2. Windowsの場合
2.1 設定からリセットする方法
-
設定を開く
スタートメニューから「設定」をクリックします。 -
「更新とセキュリティ」へ移動
設定メニュー内で「更新とセキュリティ」を選択します。 -
「回復」タブを選択
左側のメニューから「回復」を選び、右側の「このPCをリセットする」オプションを見つけます。 -
リセットを開始
「開始する」をクリックします。リセット方法を選択する画面が表示されます。- 「個人ファイルを保持」:アプリケーションや設定はリセットされますが、個人ファイルは保持されます。
- 「すべて削除」:個人ファイル、アプリケーション、設定がすべて削除され、工場出荷時の状態に戻ります。
-
リセットの確認と実行
選択肢に応じて確認画面が表示されます。必要に応じて指示に従い、リセットを完了させます。
2.2 Windowsの再インストール
場合によっては、リセットだけでなく、OSの再インストールを行いたいことがあります。この場合は、インストールメディア(USBドライブやDVD)を使用して新たにインストールを行います。
3. Macの場合
3.1 macOSのリセット方法
-
Macを再起動
Macを再起動し、再起動中に「Command(⌘)」キーと「R」キーを同時に押し続けます。 -
macOSユーティリティを開く
リカバリモードに入ると、macOSユーティリティが表示されます。 -
「ディスクユーティリティ」を選択
初めに「ディスクユーティリティ」を選んでMacのハードディスク(またはSSD)を選択し、「消去」ボタンをクリックしてディスクを消去します。これにより、Macの中のすべてのデータが消去されます。 -
macOSの再インストール
ディスクの消去が完了したら、再度「macOSを再インストール」を選択し、画面の指示に従ってインストールを開始します。
3.2 iCloudとApple IDの確認
リセット後に新たにMacをセットアップする際、iCloudアカウントやApple IDに関連付けられた情報を再入力する必要があります。
4. リセット後の注意点
リセットが完了した後、コンピュータは初期状態に戻りますので、再設定が必要です。以下の設定を確認しましょう:
-
オペレーティングシステムの更新
リセット後、最新のOSアップデートを適用することが推奨されます。セキュリティアップデートも含まれているため、早急に実行しましょう。 -
ソフトウェアの再インストール
必要なアプリケーションを再インストールします。バックアップからデータを復元することもお忘れなく。 -
バックアップの確認
事前にバックアップしたデータが問題なく復元されているか確認します。
5. 注意点とリスク
工場出荷時設定へのリセットは強力な手段ですが、注意が必要です。特に「すべて削除」を選んだ場合、データが完全に消去され、復元不可能になる場合があります。そのため、必ず事前にバックアップを取るようにしましょう。
また、リセット後のパフォーマンス向上は一時的な場合もあり、根本的な原因を解決しない限り、同じ問題が再発する可能性もあります。ソフトウェアの再インストールやウイルス対策ソフトの導入など、再発防止のための対策を講じることが大切です。
6. まとめ
コンピュータの工場出荷時設定へのリセットは、システムの不具合やパフォーマンス低下を解決する有効な手段です。しかし、リセット前には必ずバックアップを取り、データを失わないように注意しましょう。また、リセット後はOSやソフトウェアの更新、再インストールを行い、必要な設定を再確認することが重要です。