シリアは中東の西部に位置する国で、その行政区画は複雑で多様な背景を持っています。シリアの行政区画は、州(モハファザ)に分けられており、これらの州はさらに小さな区画に分かれています。シリアの行政区画の中心となるのが、モハファザ(محافظة)であり、このモハファザはシリアの政治、経済、文化の各地域における重要な役割を担っています。
シリアには現在、14のモハファザがあります。これらのモハファザは、それぞれの地域に特有の地理的、歴史的、文化的な特徴を持っており、シリア国内での生活や社会の構成に深い影響を与えています。これらのモハファザは、シリア政府によって統治され、各モハファザにはそれぞれ知事が任命されていることが特徴です。

シリアの14のモハファザは以下の通りです:
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ダマスカス(Damascus)
シリアの首都であり、政治、経済、文化の中心です。ダマスカスは、シリアで最も人口が多く、最も重要な都市として知られています。歴史的な背景を持つこの都市は、世界でも最古の都市の一つとして評価されています。 -
アレッポ(Aleppo)
シリアの第二の都市であり、商業と工業の中心地です。アレッポは、シリア内戦において大きな戦闘の舞台となり、その影響を色濃く受けています。しかし、アレッポは依然としてシリアにおける文化的・経済的な中心としての重要性を保持しています。 -
ホムス(Homs)
シリアの中部に位置する都市で、産業と農業の中心地でもあります。ホムスは、シリア内戦で重要な戦闘が行われた場所の一つでもあり、その結果、都市の一部は大きな被害を受けました。 -
ラッカ(Raqqa)
シリア北部に位置し、かつてはシリアの首都として知られていたこともあり、文化的にも重要な都市です。現在では、シリア内戦とIS(イスラム国)による占拠の影響で、復興には時間がかかると見られています。 -
ダーラ(Daraa)
シリア南部に位置する小さな都市で、シリア内戦の始まりとなった場所としても有名です。ダーラは、反政府運動の発端となった場所であり、その後のシリア情勢に大きな影響を与えました。 -
スウェイダ(Suwayda)
シリア南部の山岳地帯に位置し、ドゥルーズ教徒の大きなコミュニティがあります。この地域は、宗教的に多様な背景を持つ人々が共存している場所として知られています。 -
カミシュリ(Qamishli)
シリア北東部に位置する都市で、クルド人が多く住む地域です。シリア内戦の影響を受けつつも、カミシュリは安定した部分もあり、クルド人自治が進んでいる地域でもあります。 -
デリゾール(Deir ez-Zor)
シリア東部にある都市で、油田地帯として知られています。デリゾールは、シリア内戦中にISISによって占拠され、その後、政府軍によって奪還されました。 -
ラタキア(Latakia)
シリアの西部に位置する都市で、地中海に面しており、観光業や港湾業が盛んな地域です。シリア内戦の影響を受けることなく比較的安定した地域とされています。 -
タルトゥース(Tartus)
シリアの西部に位置する都市で、ラタキアと並ぶ地中海沿岸の重要な港町です。タルトゥースはロシア軍の軍事拠点としても知られています。 -
イドリブ(Idlib)
シリアの西北部に位置する都市で、シリア内戦において非常に激しい戦闘が繰り広げられました。現在も反政府勢力が支配する地域が多く、状況は不安定です。 -
ハマー(Hama)
シリア中部に位置する都市で、歴史的な遺産や農業が重要な産業となっている地域です。シリア内戦の影響で多くの被害を受けましたが、依然として重要な都市です。 -
アスワイダ(As-Suwayda)
ドゥルーズ教徒が多く住むシリア南部の都市で、他の地域に比べて比較的静かな地域です。シリア内戦中も他の地域に比べて安定を保っていた部分がありました。 -
アレッポ郊外(Aleppo Governorate Suburbs)
アレッポの周辺地域で、シリア内戦の影響を強く受けた場所が多いです。特に農業が盛んな地域ですが、内戦による被害が深刻でした。
これらのモハファザは、それぞれが異なる地理的な特徴を持ち、文化的にも多様性を有しています。シリアの行政区画は、単に政治的な役割だけでなく、地域ごとの経済的な特徴や社会的なダイナミクスを反映しています。それぞれのモハファザは、シリア全体の社会と経済の発展において重要な役割を果たしていることがわかります。