トリガーポイント(筋筋膜痛症候群に関連する痛みの原因)は、筋肉の特定の部位に発生する過剰な緊張と不快感によって引き起こされます。これらのポイントは、圧力をかけると痛みを引き起こすことがあり、周囲の筋肉や神経に影響を与えることがあります。トリガーポイントの解剖学的な原因には、筋肉の繰り返しの使用や怪我、ストレス、または不適切な姿勢などがあります。今回は、トリガーポイントが発生する解剖学的な理由について、主に2つの側面から詳しく説明します。
1. 筋肉の過緊張と結びついた筋肉内の微細な損傷
トリガーポイントの一因として、筋肉の過緊張が挙げられます。筋肉は普段から緊張状態を保っており、特に負担がかかる状況や姿勢を維持し続けることが、筋肉内に微細な損傷を引き起こします。これにより、筋肉の一部が異常な状態に陥り、血行不良や酸素不足が発生します。この酸素不足が筋肉内の代謝を低下させ、さらなる緊張を引き起こすという悪循環が生じます。

筋肉は本来、収縮と弛緩を繰り返すことで柔軟性を保ち、適切な力を発揮するものですが、過度な負荷や繰り返しの運動、長時間の静止姿勢などが続くと、筋肉内の繊維が一時的に収縮したままとなり、トリガーポイントを形成します。この状態は「筋肉内の過緊張状態」とも呼ばれ、特に肩や首、背中などの上半身に多く見られます。トリガーポイントが形成されることで、痛みが放散する場合もありますが、その痛みの多くは元々のトリガーポイントに関連していることが多いです。
2. 神経の圧迫とその影響
トリガーポイントが発生するもう一つの重要な解剖学的な原因は、神経の圧迫です。筋肉が過度に緊張すると、その周囲の神経を圧迫することになります。これにより、痛みが発生し、場合によっては神経痛や痺れ、筋肉の力が弱くなることがあります。神経が圧迫されることによって、神経伝達が正常に行われなくなり、痛みの信号が脳に伝わりにくくなるか、逆に誤って強く伝わってしまうことがあります。
特に頸部や肩周り、背中においては、筋肉の緊張によって神経が圧迫されることがよくあります。例えば、首の筋肉が過緊張した場合、そこにある神経根が圧迫され、腕や手に放散する痛みを引き起こすことがあります。これを「放散痛」と呼び、神経圧迫が引き金となり、痛みが予期しない場所にも現れるのです。
また、神経の圧迫が慢性的に続くと、筋肉の力をコントロールするための信号が正常に送られなくなり、筋肉の機能低下が進行することがあります。このような状態では、筋肉自体の修復が遅れ、さらなるトリガーポイントの形成を促すことになります。
結論
トリガーポイントの発生にはさまざまな解剖学的な要因がありますが、主に筋肉の過緊張と神経の圧迫が大きな原因となります。過度の緊張や不適切な姿勢、運動の繰り返しなどが筋肉内で微細な損傷を引き起こし、その結果としてトリガーポイントが形成されます。また、神経が圧迫されることによって、痛みが放散したり、筋肉の機能に支障をきたすことがあります。これらの要因を理解し、適切な治療法を取ることが、トリガーポイントを解消するための鍵となります。