国の歴史

トルコの現代史の歩み

トルコの現代史は、オスマン帝国の終焉と新しい共和国の創設という大きな転換点から始まります。以下に、トルコの近代史における重要な出来事や人物を取り上げ、包括的に説明します。

1. オスマン帝国の崩壊と第一次世界大戦

オスマン帝国は16世紀から17世紀にかけて最盛期を迎えましたが、19世紀末から20世紀初頭にかけて、内外の多くの問題に直面していきました。第一次世界大戦(1914–1918)では、オスマン帝国は中央同盟国側に参戦しましたが、戦争の結果、連合国に敗北しました。この敗北はオスマン帝国の崩壊を加速させ、領土は分割され、各地で独立運動が起こりました。

2. トルコ独立戦争と共和国の誕生

オスマン帝国が崩壊し、連合国による占領が進む中、トルコではムスタファ・ケマル・アタチュルクを中心に独立運動が活発化しました。アタチュルクは1919年、サムスンに上陸し、トルコ独立戦争を指導。1922年には連合国を退け、1923年にトルコ共和国が宣言されました。この年は、トルコの近代化の始まりを示す重要な年となります。

3. アタチュルクの改革

アタチュルクは、トルコ共和国の初代大統領として、国の近代化を目指して多くの改革を実施しました。彼は、教育制度、法制度、経済政策などに革新をもたらしました。最も注目すべきは、オスマン帝国時代の伝統的な体制を一掃し、西洋化を進めるために以下の改革を実施したことです:

  • 文字改革:アタチュルクは、オスマン帝国で使用されていたアラビア文字を廃止し、ラテン文字を採用しました。これにより、識字率が急増し、国民の教育水準が向上しました。

  • 宗教改革:アタチュルクは、トルコを世俗国家にすることを目指し、イスラム教の影響を政治から排除しました。彼は、スルタン制度を廃止し、イスラム教の教義に基づく法律を廃止しました。

  • 女性の権利の向上:女性には選挙権が与えられ、教育や職業の機会が広がりました。

これらの改革により、トルコは急速に西洋化し、近代的な国家へと変貌を遂げました。

4. 第二次世界大戦と冷戦時代

第二次世界大戦(1939–1945)の間、トルコは中立を維持しましたが、戦後は冷戦が始まるとともに、アメリカ合衆国や西側諸国との関係が強化されました。トルコはNATO(北大西洋条約機構)に加盟し、共産主義の拡大を防ぐために西側の防衛の一翼を担いました。

また、1950年代には経済の発展を目指して工業化が進められましたが、政治的には軍の影響力が強く、政治的不安定が続きました。1960年、軍事クーデターが起こり、トルコの政治は再び混乱に陥ります。

5. 1970年代から1990年代:経済危機と社会的不安定

1970年代と1980年代には、トルコ経済は度重なるインフレーションと財政危機に直面しました。1970年代の終わりには、左翼と右翼の対立が激化し、国内は暴力的な政治闘争の時代を迎えました。1980年には再び軍事クーデターが発生し、軍は政権を掌握しました。このクーデターは、トルコの政治に深い影響を与えました。

その後、1980年代後半から1990年代にかけては、経済改革と民間企業の成長が進み、トルコは経済的な発展を遂げました。しかし、依然として政治的な混乱や治安問題が続きました。

6. 2000年代:エルドアンの台頭とAKPの政権

2000年代初頭、アフメト・ネジプ・エルデミスが率いる公正発展党(AKP)が台頭しました。2002年、エルドアンはトルコの首相に就任し、急速に政治的な安定をもたらしました。エルドアン政権は、経済の発展やインフラの整備を進める一方で、社会的保守主義を強調しました。また、EU加盟交渉を進め、トルコの国際的な地位を高めました。

エルドアンは、2003年に首相として就任した後、2014年にはトルコ共和国の大統領に就任し、2017年には憲法改正を通じて大統領制への移行を果たしました。この改革により、大統領の権限が大幅に強化され、エルドアンの政治的な支配力が増大しました。

7. 近年のトルコ

エルドアン政権下でのトルコは、政治的な自由の制限や人権問題で国際的に批判されることもありました。特に2016年のクーデター未遂事件後、エルドアンは強硬な手段で反対派を弾圧し、国内外での非難を受けました。

また、経済面では、インフレ率の上昇や通貨リラの価値の低下など、厳しい状況が続いています。しかし、エルドアン政権は依然として強力な支持基盤を持ち、トルコの中東における影響力を拡大し続けています。

結論

トルコの現代史は、戦争と革命、経済的な浮き沈み、政治的な変動を経て、現在に至ります。ムスタファ・ケマル・アタチュルクが築いた共和国の理念は、トルコの政治や社会に深く根付いていますが、近年では大統領制への移行とともに新たな政治的課題に直面しています。トルコは依然として西洋と東洋の接点に立つ重要な国であり、その未来は注目されています。

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