ネットワーク

ネットワークルーティングの基本

ネットワークにおけるルーティングの種類とテーブルに関する完全かつ包括的な記事を以下に記述します。

1. ルーティングとは

ネットワークにおけるルーティングとは、データパケットが送信元から目的地まで最適な経路を選んで送信されるプロセスを指します。このプロセスは、ネットワークに接続されたルーターによって行われます。ルーターは、送信元から目的地までの最短経路を決定し、その経路に基づいてパケットを転送します。

2. ルーティングの種類

ルーティングには大きく分けて2種類あります。それは、スタティックルーティングとダイナミックルーティングです。

2.1 スタティックルーティング(静的ルーティング)

スタティックルーティングは、ネットワーク管理者が手動で経路を設定する方法です。経路が固定されており、ネットワークの変更があった場合は手動で設定を変更する必要があります。この方法は、小規模なネットワークや、頻繁に変更がないネットワークにおいて有効です。

スタティックルーティングの利点:

  • 設定が簡単で予測可能
  • リソースの消費が少ない
  • 高いセキュリティ(予測可能な経路設定)

スタティックルーティングの欠点:

  • ネットワークが変更されるたびに手動で設定を変更しなければならない
  • 大規模なネットワークでは管理が難しくなる

2.2 ダイナミックルーティング(動的ルーティング)

ダイナミックルーティングは、ルーターがネットワークの状態に応じて自動的に経路を選択する方法です。これにより、ネットワークの変更(障害の発生、ネットワークの追加、削除など)に即座に対応できます。動的ルーティングには、いくつかのルーティングプロトコルが使用されます。

ダイナミックルーティングの利点:

  • ネットワークの変更に自動的に対応
  • 大規模なネットワークに適している
  • 手動で設定を変更する必要がない

ダイナミックルーティングの欠点:

  • ルーター間の通信による帯域幅の消費
  • 設定と管理が複雑になることがある

3. ルーティングプロトコル

ダイナミックルーティングで使用されるルーティングプロトコルには、いくつかの種類があります。これらは、ネットワークの規模や用途によって選ばれます。

3.1 RIP(Routing Information Protocol)

RIPは、最も古く、シンプルな距離ベクトル型のルーティングプロトコルです。RIPは、各ルーターが最寄りの隣接ルーターに対して経路情報を定期的に交換し、その情報をもとに最適な経路を決定します。RIPは最大15ホップまでの経路をサポートし、それ以上のホップ数は到達不可能として扱われます。

3.2 OSPF(Open Shortest Path First)

OSPFは、リンクステート型のルーティングプロトコルで、RIPよりも大規模なネットワークに適しています。OSPFでは、各ルーターが自分のネットワーク状態を全ルーターに知らせ、各ルーターが最短経路を計算します。OSPFは、ネットワークの変更に即座に反応し、スケーラビリティが高いという特徴があります。

3.3 EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)

EIGRPは、Ciscoが開発したダイナミックルーティングプロトコルで、RIPとOSPFの長所を組み合わせたハイブリッド型です。EIGRPは、ルーターが隣接ルーターと情報を交換する際に、メトリックを使用して経路選択を行い、最適な経路を迅速に計算します。

3.4 BGP(Border Gateway Protocol)

BGPは、インターネットにおけるルーティングに使用されるプロトコルで、異なる自治体間で経路情報を交換するために使用されます。BGPは、パスベクトル型のプロトコルであり、最適な経路を選択するために自治体間の情報を交換します。BGPは、特に大規模なインターネットバックボーンのルーティングに使用されます。

4. ルーティングテーブル

ルーターは、経路情報を管理するためにルーティングテーブルを使用します。ルーティングテーブルは、パケットが目的地に到達するために通過すべき経路を示す情報の一覧です。ルーティングテーブルには、次のような情報が含まれます。

  • 宛先ネットワークアドレス
  • サブネットマスク
  • 次ホップ(パケットが向かう次のルーターのアドレス)
  • ルーティングのメトリック(最短経路を決定するための指標)
  • 経路のタイプ(スタティック、ダイナミック)

4.1 ルーティングテーブルのエントリタイプ

ルーティングテーブルには、さまざまなエントリタイプが含まれることがあります。主なエントリタイプは以下の通りです。

  • 直接接続:ルーターが直接接続されているネットワークのエントリです。
  • スタティック経路:ネットワーク管理者が手動で設定した経路情報です。
  • ダイナミック経路:ルーティングプロトコル(RIP、OSPFなど)によって自動的に学習された経路情報です。
  • デフォルト経路:目的地のネットワークがルーティングテーブルに明示的に存在しない場合に使用される経路です。

5. ルーティングの選択基準

ルーターがパケットを送信する際、複数の経路が存在する場合があります。最適な経路を選択するために、ルーターは以下の基準を使用します。

  • メトリック:メトリックは、経路の「距離」を示す指標であり、最短経路を選択するために使用されます。例えば、OSPFはコストをメトリックとして使用し、RIPはホップ数をメトリックとして使用します。
  • 経路タイプの優先度:通常、スタティック経路はダイナミック経路より優先されます。また、直接接続されたネットワークは最も優先されます。
  • 最短経路優先:ネットワークが複数の経路を持つ場合、最も効率的で速い経路が選ばれます。

6. 結論

ネットワークにおけるルーティングは、データの効率的な転送を実現するための重要なプロセスです。スタティックルーティングとダイナミックルーティングの違い、さまざまなルーティングプロトコルの特性、そしてルーティングテーブルの役割を理解することは、ネットワークの管理と運用において不可欠です。特に、ダイナミックルーティングはネットワークの変更に柔軟に対応できるため、大規模なネットワークでは不可欠な技術となっています。

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