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ハライブ・トライアングルの領有権問題

ハライブ・トライアングルは、エジプトとスーダンの国境沿いに位置する約20,580平方キロメートルの地域であり、両国が主権を主張している領土です。この地域は、紅海沿岸に位置し、ハライブ、シャラティーン、アブ・ラマドといった主要な町を含んでいます。​

歴史的背景と領有権の主張

1899年、イギリスとエジプトの共同統治下で、北緯22度線がエジプトとスーダンの公式な国境として設定されました。しかし、1902年、イギリス当局は地元部族の移動や行政上の便宜を考慮し、ハライブ・トライアングルをスーダンの行政下に置くことを決定しました。これにより、法的な国境と行政的な境界が一致しない状況が生まれ、現在の領有権問題の根源となっています。​

1958年、スーダンの独立後、エジプトはこの地域に軍隊を派遣しましたが、同年中に撤退しました。その後も両国はこの地域への主権を主張し続け、1992年にはスーダンがカナダの石油会社に対し、ハライブ沖での探査権を付与したことから、エジプトが強く反発し、緊張が高まりました。​

1995年、エチオピアのアディスアベバで発生したエジプト大統領ホスニー・ムバーラク暗殺未遂事件にスーダンが関与したとされる疑惑が浮上し、エジプトはハライブ・トライアングルへの軍事的支配を強化しました。2000年にはスーダンが同地域から軍を撤退させ、以降、エジプトが実効支配を続けています。​

現状と両国の立場

エジプトはハライブ・トライアングルを自国の領土と主張し、行政的な統治を行っています。2017年12月、エジプト外務省はスーダンの主張を全面的に否定し、国連事務局に抗議文を提出する意向を示しました。​

一方、スーダンもこの地域の主権を主張し続けており、2010年には当時の大統領オマル・アル=バシールが「ハライブはスーダンのものであり、常にスーダンのものである」と述べています。​

地元住民と部族の視点

ハライブ・トライアングルには、アバブダ、バシャリヤ、ベジャといった部族が居住しています。2010年、これらの部族の首長たちは、自分たちがエジプト国民であり、エジプトの市民権を有していると表明しました。​

経済的・戦略的重要性

ハライブ・トライアングルは紅海に面しており、漁業資源や鉱物資源の潜在的な存在が指摘されています。また、紅海沿岸の戦略的な位置から、海上交通の要衝としての重要性も持っています。​

国際的な対応と解決への道筋

国際社会は、エジプトとスーダンが平和的な対話を通じてこの領有権問題を解決することを期待しています。2001年、両国はハライブ・トライアングルにおける軍事力の削減と、地域を統合の場とすることで合意しました。​

しかし、領有権問題は依然として未解決であり、両国間の外交関係にも影響を及ぼしています。今後の解決には、国際的な仲介や調停、さらには国際司法裁判所への提訴など、多角的なアプローチが必要とされています。

結論

ハライブ・トライアングルの領有権問題は、歴史的背景、地元部族の意向、経済的・戦略的重要性など、多くの要因が絡み合った複雑な問題です。エジプトとスーダンの双方が平和的な対話と交渉を通じて、持続可能な解決策を見出すことが求められています。

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