「خادم الحرمين الشريفين(ハルメイン・シャリーフェインの守護者)」というタイトルは、サウジアラビアの王族に与えられる特別な尊称であり、メッカとメディナの二大聖地であるハラーム(聖地)を守り、管理する責任を負っている人物に対して使用されます。この尊称は、サウジアラビア王家の初代国王であるアブドゥルアズィーズ・アル=サウドが最初に用い、その後の王たちに引き継がれました。
アブドゥルアズィーズ・アル=サウドは、1932年にサウジアラビア王国を創設した人物であり、サウジアラビア王国の初代国王として即位しました。彼は、メッカとメディナというイスラム教の聖地を支配する重要な役割を担っており、この地位を象徴するタイトル「خادم الحرمين الشريفين」を初めて使いました。このタイトルは、サウジアラビア王国の政治的な権威を強化するとともに、イスラム世界におけるリーダーシップを象徴する重要な意味を持っています。
アブドゥルアズィーズ・アル=サウドがこのタイトルを採用した背景には、サウジアラビアの創設における宗教的な重要性が深く関わっています。彼の王国は、イスラム教徒にとって最も神聖な場所であるメッカとメディナを包含しており、そのため王としての責任感と宗教的な義務が非常に強いものでした。このため、彼は「ハルメイン・シャリーフェインの守護者」という名を冠し、イスラム教徒全体に対する責任を果たす姿勢を示したのです。
「خادم الحرمين الشريفين」というタイトルは、単に政治的な役職にとどまらず、サウジアラビアの王が持つ宗教的な権威も反映しています。サウジアラビアの王は、この役職を通じてイスラム教徒の精神的な指導者としての役割も担っています。王の役目は、メッカとメディナの管理だけでなく、毎年行われるハッジ(イスラム教徒の巡礼)の準備や監督も含まれます。これらの活動を通じて、王は世界中のイスラム教徒に対する責任を果たし続けています。
このタイトルは、サウジアラビア王国の歴代国王に受け継がれ、現在の国王であるサルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズにも引き継がれています。サルマーン国王は、王位を継承した後も「خادم الحرمين الشريفين」というタイトルを使用しており、この尊称はサウジアラビア王家の重要な象徴となっています。
このように、最初に「خادم الحرمين الشريفين」のタイトルを使用したアブドゥルアズィーズ・アル=サウドは、サウジアラビア王国の創設者として、そしてイスラム世界における重要なリーダーとしての地位を確立しました。このタイトルは、王が果たすべき宗教的義務と政治的責任を示すものであり、サウジアラビアの歴史において非常に重要な意味を持っています。
