コンピュータを使用する際、画面の明るさは作業効率や目の健康に大きな影響を与える。画面が暗すぎると、目が疲れやすくなり、細かい文字や画像が見えづらくなる。一方で、明るすぎると目の乾燥や疲労の原因となり、長時間の作業に支障をきたす恐れがある。そのため、自分の使用環境や目的に応じて適切にディスプレイの明るさを調整することは極めて重要である。本記事では、WindowsやMacを含む各種オペレーティングシステム、デスクトップとノートパソコンの違い、ディスプレイ設定、専用ソフトウェア、キーボードショートカット、外部ディスプレイとの連携に至るまで、完全かつ包括的に画面の明るさを増す方法を解説する。
1. ハードウェア別の基本操作:キーボードによる明るさ調整
多くのノートパソコンや一部のデスクトップ用キーボードには、明るさを調整するための専用キーが搭載されている。これは最も直感的で即時的な方法である。

メーカー | 明るさ調整キーの例 | 補足説明 |
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富士通 | Fn + F6(暗) / Fn + F7(明) | モデルによって異なる場合あり |
東芝 | Fn + F6 / F7 または Fn + ↑ / ↓ | 液晶モデルによる |
NEC | Fn + F5 / F6 | BIOS設定で無効になっている場合もある |
Lenovo | Fn + Home(明) / Fn + End(暗) | ThinkPadシリーズに多い |
HP | F2(暗) / F3(明) | Fnキーの有効無効に注意 |
Dell | F11 / F12 | BIOS設定で動作する場合あり |
注意点として、明るさ調整キーが動作しない場合は、キーボードドライバーやチップセットドライバーのインストール・更新が必要なことがある。また、BIOS設定によりFnキーの挙動が変更されている場合もある。
2. Windows環境における明るさ調整方法
Windowsは、システム設定やクイックアクセスメニューから明るさを調整することができる。
2.1 アクションセンターから調整(Windows 10/11)
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タスクバー右下の通知領域にある吹き出しアイコン(アクションセンター)をクリック
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表示されたクイック設定パネルの中にある「明るさ」スライダーを調整
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スライダーが表示されない場合は「編集」から追加可能
2.2 「設定」アプリから調整
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スタートメニュー →「設定」→「システム」→「ディスプレイ」
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「明るさと色」セクションにあるスライダーで調整
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「明るさを自動的に調整する」のチェックボックスをオフにすると手動調整が可能
2.3 電源プランによる明るさの最適化
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「コントロールパネル」→「電源オプション」→使用中のプランを選択→「プラン設定の変更」
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バッテリー使用時と電源接続時で異なる明るさを設定可能
3. Mac(macOS)環境における明るさ調整
Apple製品には統一されたUIが存在するため、明るさの調整も比較的直感的に行える。
3.1 キーボード操作
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MacBookの場合:F1キー(暗) / F2キー(明)
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Touch Bar搭載モデルでは、Touch Bar上の明るさアイコンを使用
3.2 「システム設定」からの調整(macOS Ventura以降)
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「アップルメニュー」→「システム設定」
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「ディスプレイ」→「明るさ」スライダーを調整
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「自動で明るさを調整」のオンオフ切り替えも可能
3.3 ディスプレイのプロファイル調整
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「システム設定」→「ディスプレイ」→「カラー」→「プロファイル」
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色温度や輝度のカスタマイズが可能
4. デスクトップPCにおけるディスプレイの明るさ調整
デスクトップ環境では、多くの場合モニター本体の物理ボタンを使用して明るさを調整する必要がある。
4.1 モニター側の設定メニュー(OSD)
メーカー | 設定メニューの呼び出しボタン | メニュー構成の特徴 |
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EIZO | 正面または側面の「Menu」ボタン | 高精度な調整が可能 |
LG | 下部にあるジョイスティック操作 | OSDがグラフィカルで直感的 |
BenQ | 側面のボタンまたはリモコン | ゲーミング用のプリセットあり |
ASUS | 背面のボタン | ブルーライト軽減モード搭載モデルあり |
4.2 ディスプレイユーティリティの使用
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一部のモニターは専用ソフトウェア(例:BenQのDisplay Pilot、LGのOnScreen Control)により、PC上から明るさを調整可能。
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デュアルディスプレイ構成時に一括制御できるメリットあり。
5. 外部ソフトウェアによる明るさ調整
OS標準機能では対応できない細かい調整や、夜間の自動制御を行いたい場合、以下のようなサードパーティ製ソフトが有用である。
5.1 f.lux(Windows / macOS)
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日照時間に応じて画面の色温度と明るさを自動調整
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夜間に目への負担を軽減
5.2 Twinkle Tray(Windows)
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マルチモニター環境での明るさ一括制御に対応
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タスクトレイ常駐型で軽量
5.3 Monitorian(Windows)
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シンプルなUIで物理ディスプレイの明るさ調整が可能
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外部ディスプレイ対応
6. グラフィックドライバーの設定
一部のPCでは、グラフィックボードの制御ソフトウェアから明るさの補正が可能である。
6.1 Intel Graphics Command Center
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Intel搭載ノートPC向け
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「ディスプレイ」→「色」セクションで輝度を調整
6.2 NVIDIA Control Panel
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「ディスプレイ」→「デスクトップカラー設定の調整」
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明るさだけでなく、コントラスト・ガンマも調整可能
6.3 AMD Radeon Software
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「ディスプレイ」→「カスタムカラー」から調整
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色温度の調整も容易
7. 明るさが調整できない場合のトラブルシューティング
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ドライバーの問題:ディスプレイドライバーやグラフィックドライバーが正しくインストールされていないと、スライダーが表示されない。
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ハードウェアの制限:一部の外部モニターはOS側から明るさ調整ができない。
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省電力モードの影響:電源オプションで「省電力モード」が有効になっていると、自動的に明るさが下げられることがある。
8. 明るさの最適な目安と注意点
使用シーン | 推奨明るさ | 備考 |
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昼間(太陽光あり) | 高(80〜100%) | 画面が見づらくならない程度に明るく |
夜間(部屋の照明あり) | 中(50〜70%) | 目の負担を考慮しやや暗めに |
暗所での作業 | 低(30〜50%) | ブルーライト軽減と併用推奨 |
9. ブルーライトと明るさの関連
画面の明るさを上げすぎると、ブルーライトの発光量が増加し、睡眠の質に悪影響を及ぼすとされている。夜間作業時はブルーライトカットモードや「夜間モード」(Windows)、「Night Shift」(Mac)を併用することで、目の疲労を抑えつつ快適な作業環境を構築できる。
10. 結論
画面の明るさは、単に視認性の問題にとどまらず、作業の効率、健康、さらにはデバイスの寿命にも影響を与える重要な要素である。自分の使用スタイルや時間帯、周囲の照明環境に応じて柔軟に明るさを調整することで、より快適で健康的なPCライフが実現できる。明るさの調整に不具合がある場合は、ドライバー更新や専用ソフトの導入を検討することが重要であり、日々の使用状況に応じて定期的な見直しを行うことが推奨される。