ネットワーク

パブリックIPとプライベートIPの違い

IPアドレスは、インターネットやローカルネットワーク内の機器が他の機器と通信するために必要不可欠な識別子です。IPアドレスには、公共のネットワーク(インターネット)とプライベートなネットワーク(ローカルネットワーク)で使用される二種類が存在します。これらは「パブリックIPアドレス(Public IP)」と「プライベートIPアドレス(Private IP)」として知られています。本記事では、パブリックIPとプライベートIPの違いと、それぞれの特徴について詳しく解説します。

パブリックIPアドレス(Public IP)

パブリックIPアドレスは、インターネット上でユニークな識別子として使用されます。これは、インターネットサービスプロバイダー(ISP)から提供され、インターネット上で特定のデバイスを一意に識別します。例えば、ウェブサイトやオンラインゲームサーバー、メールサーバーなど、インターネット経由でアクセスされるサービスには必ずパブリックIPが割り当てられています。

パブリックIPの特徴

  1. ユニーク性:
    パブリックIPは世界中で一意の識別番号を持っています。これにより、インターネット上のデバイス間での通信が可能になります。

  2. グローバルアクセス:
    パブリックIPを持つデバイスは、インターネットを通じてどこからでもアクセス可能です。これにより、例えば自宅や会社のサーバーにインターネット越しにアクセスすることができます。

  3. ISPから提供:
    インターネットサービスプロバイダー(ISP)から割り当てられ、通常は有料で提供されます。固定IPと動的IPがあり、動的IPは定期的に変わることがあります。

  4. セキュリティリスク:
    パブリックIPがインターネット上でアクセス可能であるため、ハッキングや不正アクセスのリスクが伴います。これを防ぐために、ファイアウォールやVPNなどのセキュリティ対策が重要です。

パブリックIPの使用例

  • インターネットサービス(ウェブサイト、オンラインゲームなど)にアクセスする際、サーバー側にはパブリックIPが割り当てられています。

  • 自宅や企業のネットワークに対してリモートでアクセスする場合(例えば、VPNを使用して外出先から企業のネットワークに接続するなど)。

プライベートIPアドレス(Private IP)

プライベートIPアドレスは、ローカルネットワーク内で使用されるIPアドレスで、インターネット上では直接的にアクセスすることができません。これらのアドレスは、家庭内のWi-Fiルーターや企業の内部ネットワークに接続されたデバイスに割り当てられ、インターネットと直接通信することなくローカルネットワーク内でデバイス間の通信を可能にします。

プライベートIPの特徴

  1. 非公開性:
    プライベートIPは、インターネットから直接アクセスされることはありません。これにより、ローカルネットワーク内のデバイスが外部からの攻撃を受けにくくなります。

  2. アドレスの再利用:
    プライベートIPは、世界中の任意のネットワーク内で再利用が可能です。つまり、同じプライベートIPアドレスが複数の異なるネットワークで使用されても問題ありません。

  3. 3つのプライベートIP範囲:
    プライベートIPアドレスには、特定の範囲が定められています。これらはRFC 1918に基づき、以下の3つの範囲で定義されています。

    • 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255

    • 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255

    • 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255

  4. NAT(ネットワークアドレス変換)との関連:
    プライベートIPを持つデバイスは、NAT(ネットワークアドレス変換)を使用してインターネットと通信します。NATは、プライベートIPアドレスをインターネットに接続するために、パブリックIPアドレスと変換します。

プライベートIPの使用例

  • 自宅やオフィスのWi-Fiネットワーク内で、パソコンやスマートフォン、プリンターなどが通信する際に使用されます。

  • 企業内のネットワークにおいて、内部システムやサーバーが他のデバイスと連携する際にもプライベートIPが使用されます。

パブリックIPとプライベートIPの違い

特徴 パブリックIP(Public IP) プライベートIP(Private IP)
アクセス範囲 インターネット全体からアクセス可能 ローカルネットワーク内でのみ有効
ユニーク性 グローバルで一意 ネットワーク内でのみ有効
セキュリティ 外部からのアクセスリスクあり 外部からアクセスされることはない
提供元 インターネットサービスプロバイダー ユーザー自身が設定することが多い
使用例 インターネット越しにアクセスするサーバー 自宅やオフィス内のデバイス同士の通信

なぜプライベートIPを使用するのか?

プライベートIPアドレスは、ネットワーク内での通信を管理するために不可欠です。これにより、同一のIP範囲を異なる組織や家庭で再利用でき、インターネット上のパブリックIPアドレスの枯渇を防ぐことができます。また、プライベートIPはセキュリティ上も有利で、外部からの直接アクセスを防ぐため、内部ネットワークを保護する役割を果たします。

まとめ

パブリックIPとプライベートIPは、それぞれ異なる目的で使用されるIPアドレスです。パブリックIPはインターネット上で一意であり、外部からアクセス可能ですが、プライベートIPはローカルネットワーク内で使用され、インターネットから直接アクセスされることはありません。それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けることが、ネットワークのセキュリティや効率性を高めるために重要です。

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