内臓および消化管

ピロリ菌感染症の症状

胃の細菌感染症、通称「ピロリ菌感染症」は、胃の内壁に存在するヘリコバクター・ピロリという細菌によって引き起こされる病気です。この細菌は、胃の粘膜に生息し、長期的には胃炎や胃潰瘍、さらには胃癌の原因になる可能性もあります。以下に、胃の細菌感染症における典型的な症状を詳細に解説します。

1. 胃痛や腹部の不快感

ピロリ菌感染症の最も一般的な症状は、胃痛や腹部の不快感です。痛みの場所は通常、胃の上部(みぞおち)に集中します。この痛みは食後に強くなることがあり、空腹時に痛みが和らぐ場合もあります。痛みは鈍い感じであったり、刺すように鋭いこともあります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍が進行するにつれて、痛みが慢性化することもあります。

2. 胸焼け(逆流性食道炎)

ピロリ菌が胃の酸分泌を刺激するため、胃酸が食道に逆流しやすくなります。この状態が続くと、胸焼けを感じることが多くなります。胸焼けは、食後に胸の中で熱感を感じることがあり、特に横になると強く感じることがあります。

3. 食欲不振

ピロリ菌感染症では、胃の炎症や不快感が食欲を減退させる原因となります。患者は食事をとるのを避けるようになり、結果的に体重が減少することもあります。食欲不振は、慢性的な胃の不調と関係しています。

4. 悪心(吐き気)や嘔吐

胃に炎症があると、悪心や嘔吐が頻繁に起こることがあります。特に食後に吐き気を感じやすくなります。吐き気が続くと、食事を摂ること自体が難しくなり、体力が落ちることがあります。嘔吐は、胃潰瘍が進行している場合にも見られる症状です。

5. 膨満感(お腹の張り)

ピロリ菌によって引き起こされる胃の炎症や腸内ガスの蓄積により、お腹の膨満感や張りを感じることがあります。この症状は、胃の動きが悪くなったり、消化が遅くなったりすることが原因です。食後に膨満感が特にひどくなることがあります。

6. 黒色便(タール便)

ピロリ菌が引き起こす胃潰瘍や出血が進行すると、黒色便が出ることがあります。黒色便は、胃内で出血があり、血液が消化されて便に混ざることで起こります。この場合、出血があるため、迅速な医療機関での検査が必要です。

7. 口臭

ピロリ菌に感染していると、口臭が悪化することがあります。これは、胃内で発生したガスや消化不良物質が口から出てくるためです。特に胃の不調が続くと、口臭が強くなることが多いです。

8. 全身のだるさや疲労感

胃の不調が長期間続くと、体全体に疲労感を感じることがあります。特に、慢性的な胃痛や食欲不振が続くと、栄養の摂取が不十分になり、エネルギー不足から全身のだるさや疲労感が生じます。

9. 胃の膨満感やガスの排出

ピロリ菌に感染すると、胃内でガスが発生しやすくなることがあります。このため、膨満感やガスの排出を頻繁に感じることがあり、これがさらに不快感を引き起こします。

10. 進行した場合の症状

ピロリ菌感染が長期にわたって治療されない場合、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が進行し、最終的には胃癌のリスクが高くなります。胃癌の症状としては、体重減少、食欲不振、血便、持続的な胃痛などがあります。胃癌は早期に発見されることで治療可能な場合があるため、症状が続く場合は早期に医療機関を受診することが重要です。

まとめ

ピロリ菌感染症の症状は、初期段階では軽度な胃の不快感や痛みとして現れますが、放置しておくと、慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃癌へと進行する可能性があります。上記の症状が続く場合や、胃の不調が強くなった場合は、医師による診断と治療が必要です。ピロリ菌は、血液検査や呼気テスト、内視鏡検査によって診断が行われ、抗生物質を用いた治療で効果的に治療することができます。早期に対応することで、胃の健康を守ることができます。

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