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フェスの創設者イドリース1世

フェス(Fès)はモロッコで最も歴史的な都市の一つであり、その設立と発展には深い歴史的背景があります。この都市は、モロッコの文化と知識の中心地として広く認識されており、その歴史は古代にさかのぼります。フェスの創設者について詳しく見ていきましょう。

フェスの創設者は、モロッコの初期のイスラム王朝であるイドリース朝の創設者であるイドリース1世(Idris I)です。イドリース1世は、イスラム教がアフリカ北部に広がる中で、モロッコ地域におけるイスラム教の拡大を推進しました。彼は、アラブの軍隊からの逃避行の中で、フェス地域に定住することを決め、そこに都市を築いたとされています。

イドリース1世は、モロッコの地にイスラム文化を広めるとともに、フェスをその政治的、宗教的中心地として発展させました。フェスの設立は、イドリース1世の子孫たちによっても継承され、都市はその後、学問、芸術、そして商業の重要な中心となりました。

イドリース1世がフェスを選んだ理由の一つは、その地理的な優位性です。フェスは、モロッコの北部に位置し、アラビア半島や他の北アフリカ地域との貿易路にアクセスしやすい場所にありました。また、フェスの地域は肥沃な土地で、水源も豊富だったため、農業や商業の発展にも適していたと考えられます。

フェスは、その後数世代にわたって発展し、特に9世紀から12世紀にかけて、学問や宗教の中心地として名を馳せました。この時期に、フェスには多くのモスクや学校(マドラサ)が建設され、知識の集積地としての役割を果たしました。特に、フェスのアル=カラウィーン大学(University of Al Quaraouiyine)は、世界最古の大学の一つとしても知られ、学問の中心地としての地位を確立しました。

フェスは、イドリース1世の設立から何世代にもわたる発展を遂げ、モロッコの重要な都市として現在も存在しています。その歴史的遺産は、都市内の建築物や文化遺産に色濃く残っており、フェスの旧市街(メディナ)はユネスコの世界遺産に登録されています。

フェスの創設者であるイドリース1世の影響は、モロッコのみならず、北アフリカ全体の歴史と文化に深く刻まれており、彼の遺産は今もなお、フェスを訪れる人々に強い印象を与え続けています。

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