栄養

ラマダンのチキンカレーとデザート

ラマダン第十二日目の特別メニュー:チキンカレーとバラシュームのスイーツ

ラマダンの第十二日目を迎えるにあたり、断食明けのイフタールにふさわしい、心も体も満たしてくれるレシピを紹介する。今宵の食卓には、スパイシーで香り高い「チキンカレー」と、香ばしく揚がった甘美なデザート「バラシューム(シリア風シュー菓子)」を取り合わせ、伝統と現代の美味しさが調和する一皿を提案する。


第一の料理:スパイス香るチキンカレー

概要

チキンカレーは、世界中で愛される料理だが、特に断食明けには、栄養価が高く、体を温めるスパイスの効能によって疲労回復にもつながる。本レシピでは、ヨーグルトで鶏肉をマリネし、クミン、ターメリック、コリアンダー、ガラムマサラなどのスパイスを組み合わせた本格的な風味を重視している。


材料(4人分)

材料 分量
鶏もも肉(骨なし) 600g
ヨーグルト(無糖) 100g
玉ねぎ 2個(薄切り)
トマト 2個(すりおろし)
にんにく(みじん) 2片
生姜(すりおろし) 小さじ1
サラダ油 大さじ3
クミンパウダー 小さじ1
ターメリック 小さじ1/2
コリアンダー粉 小さじ2
チリパウダー 小さじ1
ガラムマサラ 小さじ1
小さじ1〜調整可能
200ml
フレッシュパクチー 適量(飾り用)

手順

  1. 鶏肉のマリネ

    • 鶏肉を一口大に切り、ヨーグルト、にんにく、生姜、ターメリックの半量、塩少々でマリネする。

    • 冷蔵庫で30分〜1時間置く。

  2. ベースの調理

    • 鍋に油を熱し、クミンを入れて香りを出す。

    • 玉ねぎを加え、きつね色になるまでじっくり炒める(約10分)。

    • トマト、残りのスパイス類(コリアンダー、チリパウダー、残りのターメリック)を加え、ペースト状になるまで炒める。

  3. 鶏肉を加える

    • マリネした鶏肉を加え、表面が白くなるまで中火で炒める。

    • 水を加え、蓋をして15分煮込む。

  4. 仕上げ

    • ガラムマサラを加えてさらに5分煮込み、味を調える。

    • 盛り付け時にフレッシュパクチーを飾る。


栄養と効能

スパイスの効能には、消化促進、抗炎症作用、血糖値の安定などがある。ヨーグルトの乳酸菌は腸内環境の改善に寄与し、鶏肉のたんぱく質は断食後の筋肉修復にも最適である。


第二の料理:シロップ香るバラシューム(Balashoom)

概要

バラシュームは、揚げたシュー生地に甘いシロップをたっぷり絡めた中東の伝統的スイーツで、日本では「シリア風ゼッパーラ」と呼ばれることもある。外はカリッと、中はしっとりの絶妙な食感が特徴で、ラマダン中のイフタールには欠かせない存在だ。


材料(約20個分)

材料 分量
1カップ(約240ml)
無塩バター 50g
小麦粉 1カップ
2個
ひとつまみ
揚げ油 適量

シロップ用:

材料 分量
砂糖 1カップ
1/2カップ
レモン汁 小さじ1
ローズウォーター 小さじ1(好みで)

手順

  1. シロップの準備

    • 小鍋に水と砂糖を入れて中火にかけ、沸騰させる。

    • レモン汁とローズウォーターを加えて5〜7分ほど煮詰め、冷ましておく。

  2. シュー生地の作成

    • 鍋に水、バター、塩を入れて火にかけ、バターが溶けたら火を止める。

    • 小麦粉を一気に加え、木べらで素早く混ぜる。

    • 再度弱火にかけ、鍋底に薄い膜ができるまで練る(約1〜2分)。

  3. 卵の加え方

    • 火から下ろし、粗熱を取ってから溶いた卵を少しずつ加える。

    • 滑らかな生地になるまで混ぜる(ハンドミキサー可)。

  4. 揚げる

    • 生地を絞り袋に入れ、170℃の油に直接一口サイズで絞り出す。

    • 黄金色になるまで揚げる(約4〜5分)。

  5. シロップに浸す

    • 揚げたてのバラシュームを冷やしたシロップにすぐ浸し、しっかり絡める。


保存と提供方法

  • 出来立てが一番美味しいが、冷蔵保存すれば翌日でも風味を保てる。

  • イフタールプレートにミントティーと共に提供することで、食後の幸福感が高まる。


食卓のまとめと文化的意義

チキンカレーとバラシュームの組み合わせは、栄養のバランスと満足感を両立させたラマダンに理想的な献立である。カレーの深い旨味とスパイスの刺激に続き、甘くて香ばしいバラシュームが舌を癒す流れは、まさに断食後の身体に寄り添う構成と言える。

また、スパイスと甘味は単なる味覚体験ではなく、家族との絆や、信仰の静けさを象徴する重要な要素でもある。日本の読者にとっても、異文化の料理を通じてラマダンの精神性や食文化に触れることは、心を豊かにする旅となるだろう。


出典・参考文献

  • 中東料理研究会『アラブの食卓』(東京書籍、2020年)

  • WHO:Spices and Health Benefits in Traditional Diets(2023年報告)

  • Food Chemistry Journal, Vol. 334(2022):「Yogurt-marinated poultry and microbiological safety」

日本の食卓に、世界の伝統の香りを。ラマダン第十二日目も、慈しみと感謝を込めて。

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