7種類の食品:ラマダン中に絶対に避けるべき食べ物
ラマダンは、イスラーム教徒にとって霊的・身体的浄化の時期であり、断食(サウム)はその核心的な実践の一つです。この月においては、日中の断食時間の後、日没時にイフタール(断食明けの食事)をとり、夜明け前にはスフール(断食前の食事)をとります。食事の時間が限られているため、摂取する食べ物の質が非常に重要になります。しかし、多くの人々は無意識のうちに、体に悪影響を及ぼしかねない食品を口にしてしまっています。本稿では、ラマダン期間中に避けるべき7つの代表的な食品について、科学的・栄養学的な観点から詳述します。

1. 高脂肪で揚げ物中心の食品
断食明けのイフタールに、サモサ、スプリングロール、フライドチキンといった揚げ物を好んで食べる習慣は多くの家庭に見られます。しかし、これらの食品には飽和脂肪酸とトランス脂肪酸が豊富に含まれており、消化器官に大きな負担をかけます。ラマダン中は胃腸が長時間空の状態になるため、突然重い脂っこい食べ物を摂取すると、胃もたれや胸やけ、消化不良の原因になります。
また、長期間にわたって揚げ物を摂取すると、動脈硬化、高血圧、糖尿病リスクの増加にもつながります。したがって、調理法としては蒸す、焼く、茹でるといった方法に切り替えることが推奨されます。
2. 精製炭水化物(白米・白パン・菓子パン)
精製炭水化物は、繊維質や栄養素が取り除かれた状態であり、血糖値を急激に上昇させる「高グリセミック指数(GI値)」食品です。イフタールやスフールでこれらを摂取すると、短時間で血糖が急上昇し、その後急下降する「血糖スパイク」が発生し、倦怠感、集中力の低下、空腹感を早期に感じることがあります。
代替としては、玄米、全粒粉パン、キヌア、オートミールなど、低GIで食物繊維を含む食品を選ぶことが望ましいです。これにより、エネルギーの持続性が高まり、日中の断食時間も快適に過ごせます。
3. 塩分の高い食品(加工肉・漬物・チップス)
塩分の多い食品は、体内の水分保持を促進し、喉の渇きを強めます。ラマダン中は水分摂取可能な時間が限られているため、塩分の過剰摂取は特に問題となります。特にスフールでこれらの食品を摂ると、日中に強い口渇を感じ、水分不足による頭痛や疲労感の原因となることがあります。
さらに、塩分の摂りすぎは高血圧や心血管疾患のリスクを高めるため、味付けは薄味を心がけ、天然のハーブやスパイスを利用することが推奨されます。
4. 甘すぎるデザートや糖質の多い飲料
伝統的なラマダンスイーツ(バクラヴァ、クナーファ、シュバキアなど)は非常に甘く、砂糖やシロップがふんだんに使われています。また、糖質の高い清涼飲料水やフルーツジュースも一般的にイフタール時に消費されます。
しかし、糖質過多は血糖値の乱高下を招き、インスリン抵抗性の原因となることが知られています。さらに、満腹感が短く、空腹感を再び引き起こす原因にもなります。
代替としては、ナツメヤシ(デーツ)やフレッシュフルーツを少量取り入れること、ハーブティーや無糖ヨーグルトを利用することで、甘味欲求を満たしつつ健康を維持することができます。
5. カフェインを含む飲料(コーヒー・紅茶・エナジードリンク)
カフェインには利尿作用があり、体内の水分を早期に排出してしまう作用があります。ラマダン中は水分を十分に蓄えることが重要であるため、特にスフールでのカフェイン摂取は控えるべきです。
加えて、日常的にカフェインを多量摂取している人が断食中に突然カフェインを断つと、離脱症状として頭痛、倦怠感、集中力の低下が現れることがあります。徐々に摂取量を減らし、ハーブティーやデカフェ飲料に切り替えると良いでしょう。
6. インスタント食品・ファストフード
ラマダン期間中は調理にかける時間が限られることもあり、インスタント麺、レトルト食品、冷凍ピザ、ハンバーガーといったファストフードに頼りがちです。しかし、これらの食品は高脂肪、高塩分、保存料、化学調味料が多く、栄養バランスが著しく偏っています。
これらを常食とすると、栄養失調、免疫力の低下、内臓への負担が蓄積し、ラマダン後半には著しい疲労や集中力の欠如を引き起こすこともあります。手作りの料理をできるだけ取り入れ、食材本来の風味を生かした食事を心がけるべきです。
7. 冷たすぎる飲み物・食べ物
暑い地域では、断食明けに冷えた飲み物やアイスクリームなどを摂取したくなるのは自然なことです。しかし、長時間空腹で冷えたものを摂ると、胃腸に急激な刺激が加わり、腹痛や下痢、胃痙攣の原因になることがあります。
断食明けには常温の水、ぬるめのスープ、温かい食事で胃をゆっくり慣らしてから、徐々に体温と同程度の飲食物を摂ることが重要です。
栄養士の推奨:バランスと節制を重視すること
ラマダンの真の目的は、単なる空腹を我慢することではなく、節制、自己抑制、霊的向上を図ることにあります。食事もまたその一環であり、暴食や偏食は避けなければなりません。以下の表は、推奨される食品と避けるべき食品を簡潔にまとめたものです:
カテゴリー | 推奨される食品 | 避けるべき食品 |
---|---|---|
主食 | 玄米、全粒粉パン、オートミール | 白米、白パン、菓子パン |
タンパク源 | 焼き魚、茹で鶏、豆腐、レンズ豆 | 揚げ物、加工肉、ファストフード |
飲料 | 常温の水、ハーブティー | 清涼飲料水、エナジードリンク、コーヒー |
スイーツ・間食 | フレッシュフルーツ、デーツ | 甘いデザート、シロップ系菓子 |
結論:節度と意識を持った食選びがラマダンの質を高める
ラマダンは、体と心のリセットの絶好の機会です。断食時間中の倦怠感や空腹感は、単なる空腹ではなく、前夜の食事選びが原因であることも少なくありません。上記のような食品を避け、代わりに栄養価の高い食材を選ぶことで、体のリズムを整え、より健康的に、そして精神的に充実したラマダンを過ごすことができます。
栄養は信仰の一部であり、健康な体があってこそ、祈りや慈善活動にも心を込めて取り組むことができます。したがって、食卓に向かうその瞬間から、信仰と同様に食事にも敬意と意識を持つことが、真のラマダンの精神といえるでしょう。
参考文献:
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世界保健機関(WHO): Ramadan Nutrition Guide
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日本栄養士会:断食における食事管理に関する提言
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「The Role of Diet in Fasting during Ramadan」(Nutrition Journal, 2022)
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「Glycemic index and satiety in Ramadan meals」(Clinical Nutrition, 2021)