ルートフィルター(Route Filters)は、ネットワークにおける経路制御において非常に重要な役割を果たす技術です。主にBGP(Border Gateway Protocol)を使用するネットワークで使用され、トラフィックの経路選択を制限したり、制御するために利用されます。以下では、ルートフィルターの概要とその動作方法について詳しく説明します。
1. ルートフィルターの概要
ルートフィルターは、ルーティングテーブルに追加される経路情報を制限または変更するために使用されるフィルターのことです。ネットワークの運用において、管理者は特定の経路がルーティングテーブルに追加されないようにしたり、不要な経路が流入するのを防ぐことが求められます。これにより、トラフィックの制御やネットワークの効率化が図られます。

2. ルートフィルターの種類
ルートフィルターにはいくつかの種類があり、目的や使用するプロトコルに応じて選択されます。主に以下の3つのタイプがあります。
2.1. インポートフィルター(Import Filter)
インポートフィルターは、外部から受信した経路情報を制限するために使用されます。外部のBGPピアやネットワークから送られてきた経路のうち、特定の条件に一致する経路を受け入れないようにするためのものです。これにより、不要な経路をフィルタリングし、ネットワークの最適化を図ります。
2.2. エクスポートフィルター(Export Filter)
エクスポートフィルターは、自分のネットワークから外部に送信する経路情報を制限するために使用されます。自分のネットワーク内で設定した経路を外部に送信する際に、特定の経路を除外することで、他のネットワークに不必要な情報を伝達しないようにします。
2.3. フィルタリング条件
ルートフィルターは、特定の条件に基づいて経路を選別します。例えば、IPプレフィックス(ネットワークアドレス)の範囲や、AS番号、メトリックなどの属性を基にフィルタリングを行います。これにより、より細かい経路選択が可能となります。
3. ルートフィルターの使用方法
ルートフィルターは、ルーティングプロトコル(特にBGP)と組み合わせて使用されることが多いです。以下に、実際にルートフィルターを使用する場面をいくつか紹介します。
3.1. 不要な経路の排除
あるBGPピアから受け取った経路の中に、ネットワークに不要なものが含まれている場合、その経路をフィルタリングすることで、無駄なトラフィックを削減します。例えば、特定のIPアドレス範囲の経路が不要な場合、その経路を除外するためにフィルターを適用します。
3.2. セキュリティの強化
外部から流入する経路に対して、悪意のある経路や不正な経路情報を受け入れないようにするために、ルートフィルターを使用します。これにより、ルーティングテーブルが不正な情報で汚染されることを防ぎ、ネットワークのセキュリティを高めることができます。
3.3. 経路の最適化
特定の経路が望ましくない場合、それをフィルタリングすることで、ネットワークトラフィックの最適化が可能になります。例えば、特定のパスが他のパスに比べて遅延が大きい場合、その経路を除外し、より速い経路を選択することができます。
4. ルートフィルターの構成
ルートフィルターを適用するためには、通常、ルーティングデバイス(例えば、ルーター)に対して設定を行います。具体的な設定方法は、使用するルーターの種類やBGPの設定方法によって異なりますが、一般的には以下のような手順で設定します。