ルーマニアの公用語はルーマニア語です。この言語は、インド・ヨーロッパ語族に属し、ラテン語を基盤として発展しました。ルーマニア語は、ラテン語の影響を強く受けたロマンス諸語の一つであり、特にローマ帝国の支配下にあった時期に形作られました。ルーマニア語は、周辺のスラブ語族、ハンガリー語、トルコ語、ギリシャ語などからも影響を受けており、そのため語彙には様々な外来語が見られます。
ルーマニア語の特徴の一つは、文法における性の分類です。名詞は男性、女性、中性に分類され、動詞は時制や人称、数に応じて変化します。また、名詞や形容詞は冠詞を持っており、これはロマンス語では珍しい特徴です。例えば、ルーマニア語では「家(casă)」という名詞に定冠詞がつく場合、「casa」となり、意味が「その家」と特定されます。

ルーマニア語の発展と歴史
ルーマニア語の歴史は、ローマ帝国時代に遡ります。ローマ帝国が紀元106年にダキアを征服したことにより、ラテン語が現地の言語と融合し、後のルーマニア語が形成されました。中世には、ルーマニア語は東ローマ帝国(ビザンチン帝国)やモンゴル帝国など、周囲の文化や帝国の影響を受けながら進化しました。
15世紀には、ルーマニア語の文献が増え、宗教的な文書や法律の文書においても使用されるようになりました。19世紀には、ルーマニア語の標準化が進み、文学や教育の場で広く使われるようになりました。
言語の方言
ルーマニア語には、いくつかの方言が存在します。主なものとしては、ダキア方言、モルダヴィア方言、ムンテニア方言、そしてトランシルヴァニア方言が挙げられます。これらの方言は、地域によって発音や語彙、文法に違いがありますが、いずれもルーマニア語の共通の基盤を持っています。
ルーマニア語と外国語
ルーマニア語は、国際的にも通用する言語ではありますが、近隣国の言語(例えば、ハンガリー語やウクライナ語)とは異なり、ロマンス語としては独自の位置を占めています。また、ルーマニアはEUに加盟しているため、英語やフランス語も比較的よく理解されています。しかし、ルーマニア語が公用語であるため、行政や日常生活ではルーマニア語が優先されます。
ルーマニア語の文化的影響
ルーマニア語は、文学、音楽、映画など、多くの文化的な分野で重要な役割を果たしています。著名なルーマニアの作家であるミハイ・エミネスクやイオン・ルカ・カリネスクは、ルーマニア語文学において非常に大きな影響を与えました。また、ルーマニア語は音楽や詩においても重要な役割を果たし、特に伝統的な民謡や現代音楽でその影響が見られます。
結論
ルーマニア語は、ロマンス語族の中で独特の特徴を持ち、長い歴史と文化的背景を有する言語です。周囲の他の言語から影響を受けつつも、独自の進化を遂げ、現代のルーマニアにおいて重要なコミュニケーション手段として使われ続けています。