一般外科

レーシック後の正しいケア

レーシック手術(LASIK)は、視力矯正を目的とした非常に一般的かつ効果的な手術であり、近視、遠視、乱視などを対象としています。しかし、手術そのものが短時間で済むとしても、術後のケアと回復期間は非常に重要であり、その成否に大きな影響を与えます。この記事では、レーシック手術後に必要な具体的かつ詳細な注意点やアフターケアについて、科学的根拠をもとに包括的に解説します。


術後直後の注意点(最初の24〜48時間)

1. 目をこすらないこと

手術で角膜にレーザーを照射して角膜の形状を変えるため、角膜の表面(フラップ)は非常に繊細な状態にあります。特に術後24時間以内は、無意識に目を触ったりこすったりすることでフラップがズレたり、感染リスクが高まったりする可能性があります。

2. 保護用ゴーグルの着用

就寝時には、医師から渡される保護用ゴーグルを着用し、寝ている間に無意識で目をこすることを防止します。少なくとも術後1週間は毎晩使用することが推奨されます。

3. 処方された目薬の正しい使用

抗生物質点眼薬や炎症を抑えるステロイド点眼薬などが処方されることが多く、これらは決められたスケジュール通りに使用しなければなりません。使用を怠ると感染や角膜炎などの合併症が生じるリスクが高まります。


術後1週間までに気をつけるべきこと

1. 入浴と洗顔

水が目に入らないように特別な注意が必要です。術後3日間は顔を濡らさないようにし、シャワーを浴びる際も目を完全に避けるようにしましょう。洗髪時は後ろに倒れる体勢で髪を洗い、シャンプーや石鹸が目に入らないようにしてください。

2. メイクの禁止

アイメイクやフェイスパウダーなどの化粧品は、微粒子が角膜に入り込む可能性があり、炎症や感染の原因となるため、少なくとも術後1週間は使用を控えるべきです。特にマスカラやアイライナーは厳禁です。

3. アルコールと喫煙の制限

アルコールは脱水を引き起こし、涙液分泌が減少してドライアイを悪化させる可能性があります。また、喫煙は角膜の治癒を遅らせるため、手術後しばらくは控えることが望まれます。


術後1ヶ月までの制限事項

活動 再開可能な目安 注意点
パソコン・スマートフォンの使用 術後2日目以降から徐々に 1時間使用ごとに15分休憩を取ること
車の運転 医師の診断後(通常3日後) 視力が安定してからが原則
スポーツ(軽度) 術後2週間後から 汗が目に入らないように注意
水泳・サウナ 術後1ヶ月以降から 感染リスクが高いため、それまでは厳禁
コンタクトの使用 原則不要 ただし特別な目的で使用する場合は医師と相談の上で

ドライアイへの対応と涙液の重要性

レーシック術後の代表的な副作用の一つがドライアイです。手術によって角膜の神経が一時的に損傷を受け、涙液分泌が低下します。このため、人工涙液(防腐剤無添加タイプ)をこまめに点眼する必要があります。

以下のような対策も有効です:

  • 室内加湿器の使用

  • エアコンの風を直接顔に当てない

  • 睡眠を十分に取る(7〜8時間)

  • オメガ3脂肪酸を含む食品(青魚、亜麻仁油など)を摂取する


術後に見られる可能性のある症状とその対処法

症状 考えられる原因 対応策
目のかすみやぼやけ 視力の一時的な変動 通常数日〜数週間で回復
夜間の光のにじみ(グレア) 角膜の治癒過程による変化 3ヶ月以内に軽減することが多い
眼の異物感・乾燥 角膜表面の回復途中 人工涙液で対応
眼痛や強い充血 感染や炎症の可能性 すぐに眼科を受診する

定期検診の重要性

術後の視力安定や合併症の早期発見のために、定期的な眼科受診は不可欠です。以下のスケジュールが一般的です:

  • 術後1日目

  • 術後1週間後

  • 術後1ヶ月後

  • その後は3ヶ月、6ヶ月、1年後など、医師の指示に従って受診を継続

視力が安定しているように感じても、角膜の状態や眼圧の確認は自覚症状だけでは判断できないため、自己判断で受診を中止することは避けるべきです。


栄養と生活習慣の見直し

術後の回復を促進し、眼の健康を保つためには、以下のような食事や生活習慣も重要です:

推奨される栄養素と食品

栄養素 効果 含まれる食品例
ビタミンA 網膜や角膜の修復を促進 にんじん、ほうれん草、かぼちゃ
ビタミンC 抗酸化作用、組織の修復 キウイ、いちご、ブロッコリー
ルテイン 青色光から眼を守る ケール、とうもろこし、卵黄
亜鉛 ビタミンAの働きを助ける 牛肉、牡蠣、ナッツ類
DHA・EPA 網膜機能の向上、ドライアイ予防 青魚(サバ、イワシ、サンマなど)

避けるべき習慣

  • 長時間のスマートフォン閲覧

  • 睡眠不足

  • カフェインの過剰摂取(利尿作用により脱水を引き起こす)

  • 喫煙(角膜血流の低下と治癒の遅れ)


結論

レーシック手術は視力を大きく改善し、眼鏡やコンタクトレンズから解放される大きなチャンスをもたらしますが、その効果を最大限に引き出すためには、術後のケアを怠らないことが重要です。目は非常に繊細な器官であり、術後の1日1日の積み重ねが、長期的な視力の安定と健康な眼の維持に直結します。医師の指示に従い、適切な生活習慣を心がけながら、視界の新たなステージへと確実に進んでいくことが求められます。


参考文献

  1. 日本眼科学会「屈折矯正手術ガイドライン」

  2. American Academy of Ophthalmology (AAO): “Post-LASIK Care Guidelines”

  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「視力矯正手術(LASIK)」

  4. 日本視能訓練士協会『レーシック後の視能訓練と眼のケア』

  5. 医学書院「眼科臨床エキスパート:レーシックの術後管理」

日本の読者こそが尊敬に値するという理念を忘れず、知識と実践に基づいた健やかな視生活を応援します。

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