三次方程式の解法に関する完全かつ包括的な解説
三次方程式は、数式の中で最高次の項が3次の項(つまり、x³)が含まれる方程式です。一般的な三次方程式は以下の形で表されます:

ax3+bx2+cx+d=0
ここで、a、b、c、d は定数で、a=0 でなければなりません。三次方程式を解く方法にはいくつかのアプローチがあります。この記事では、三次方程式の解法を理論的な背景から、具体的な手法まで順を追って解説します。
1. 三次方程式の一般的な解法の概要
三次方程式を解くためには、まずその方程式がどのような形式かを理解することが重要です。三次方程式は、一見すると複雑に見えるかもしれませんが、実際には数学的に扱いやすい方法がいくつかあります。これらの方法は以下の通りです:
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因数分解法
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カルダノの解法
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数値解法(ニュートン法など)
それぞれについて、順を追って詳細に解説していきます。
2. 因数分解法による解法
三次方程式が簡単な形で因数分解できる場合、その解法は非常に簡単になります。例えば、次のような三次方程式を考えます:
x3−6x2+11x−6=0
この場合、因数分解を試みると次のように分解できます:
(x−1)(x−2)(x−3)=0
この式から、方程式の解は x=1、x=2、x=3 であることがわかります。これは単純な例ですが、すべての三次方程式がこのように因数分解できるわけではありません。因数分解法を使うには、まず方程式の解の候補を見つける必要があります。
因数分解法のステップ
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有理数の候補を求める: 有理数解が存在する場合、それは有理数定理(有理数係数の多項式の解の候補を探す方法)に従って求めることができます。
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候補を試す: 方程式の解の候補を代入して、実際に解が成立するか確認します。
3. カルダノの解法
カルダノの解法は、16世紀に数学者ジェロラモ・カルダノによって発表された三次方程式を解くための公式です。カルダノの解法を使うと、一般的な三次方程式の解を公式で求めることができます。カルダノの公式は次のように表されます:
x=3−2q+(2q)2+(3p)3+3−2q−(2q)2+(3p)3
ここで、三次方程式の標準形を次のように変形します:
x3+px+q=0
この変形により、カルダノの公式を使って解を求めることができます。ただし、この方法は非常に複雑であり、計算が煩雑になることが多いため、実際に手計算で行うことは稀です。代わりに、数式処理ソフトウェアや計算機を使用して解くことが一般的です。
4. 数値解法
三次方程式を解くための最も一般的な方法の1つは、数値解法です。数値解法を使用すると、近似解を求めることができます。特に、ニュートン法はその中でも広く使用されている手法です。
ニュートン法
ニュートン法は、関数の零点(解)を求めるための反復的な手法です。三次方程式の解を求めるために、以下の式を使用します:
xn+1=xn−f′(xn)f(xn)
ここで、f(x) は三次方程式を表す関数、f′(x) はその導関数です。初期値を適切に選び、反復的に解を求めることで、解に収束させていきます。
5. 解の種類
三次方程式の解には、実数解と複素数解が含まれる場合があります。実数解だけの場合もあれば、複素数解が現れる場合もあります。解の種類は、判別式を用いて予測することができます。
三次方程式の判別式は以下のように定義されます:
Δ=18pqr−4p3r+p2q2−4q3−27r2
この判別式の値により、解の性質が異なります。
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Δ>0:3つの異なる実数解が存在します。
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Δ=0:少なくとも2つの解が重解になります。
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Δ<0:1つの実数解と2つの複素数解が存在します。
6. まとめ
三次方程式を解く方法は、因数分解法、カルダノの解法、数値解法などがあります。解法を選択する際は、方程式の形や解の性質に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。因数分解法は簡単な場合に有効ですが、一般的にはカルダノの解法や数値解法がより広く使用されます。