各国の経済と政治

世界の国の実数

世界には200以上の国が存在するのかという問いに対しては、単純な「はい」か「いいえ」で答えることができない。なぜなら、「国」という概念自体が非常に政治的かつ複雑な定義を含んでおり、何をもって「国」とみなすかによってその数が変動するからである。本記事では、国の定義、国際的な承認の実態、国連加盟国の数、承認されていない国家や特殊な地域の取り扱いについて包括的に解説し、最終的に「世界に存在する国の数」について多角的に考察する。


「国」とは何か:定義とその複雑性

国とは一般的に、「一定の領域を持ち、そこに住む人々に対して政府が主権を行使している政治的な実体」と定義される。国際法上は、1933年に採択されたモンテビデオ条約において、国と認められる要件として以下の4つが挙げられている:

  1. 恒久的な住民の存在

  2. 明確な領域

  3. 政府の存在

  4. 他国と外交関係を築く能力

しかし、これらの条件を満たしていても、必ずしもすべての国家が国際的に「国家」として承認されるわけではない。政治的な理由、外交上の立場、国際社会の認識などによって、国家の地位は大きく左右される。


国連加盟国の数と広く承認された国家

2025年現在、国際連合(国連)に加盟している国家の数は193カ国である。これが、最も広く認知されている「公式な国の数」として、しばしば学校教育や政府資料などでも用いられている。

また、国連には加盟していないが、国際社会の大半から国家として承認されている「バチカン市国」と「パレスチナ国」を加えると、その数は195カ国になる。

区分 国の数
国連加盟国 193 日本、アメリカ、ドイツなど
非加盟だが広く承認されている国 2 バチカン市国、パレスチナ国

これらを合わせた195カ国が、「ほぼ全世界が国家として認めている国々」といえる。


承認されていない国々(事実上の国家)

国際社会においては認められていないが、自らを独立国家と主張し、政府、軍、通貨、行政機関などを備えている地域も多数存在する。これらを「承認されていない国家」あるいは「事実上の国家」と呼ぶ。以下はその代表例である:

名称 自称独立年 承認状況(国連加盟国から) 説明
台湾(中華民国) 1949年 一部のみ 国連未加盟だが、経済・政治的に高度に発展した民主国家
北キプロス 1983年 トルコのみが承認 キプロス島北部。トルコの支援を受けて存在
南オセチア 1991年 ロシアなど少数 ジョージアからの独立を主張
アブハジア 1999年 ロシアなど少数 同上
ナゴルノ=カラバフ 1991年 承認国なし アルメニアとの関係が深い地域
ソマリランド 1991年 承認国なし ソマリア北部に位置し、安定した統治を維持

これらの事例を含めれば、「国」と呼べる主体は200を大きく超えることになるが、ほとんどの国際機関ではこれらの地域を「国」とは認めていないため、統計には含まれないことが多い。


特殊な地域と領土問題

世界には国家とは言い難いが、一定の自治や独自の統治を行っている地域、もしくは国家に属していない地域も存在する。これらは「準国家的地域」や「属領」として分類されることが多い。

例:イギリスの海外領土

イギリスには「海外領土(Overseas Territories)」と呼ばれる地域が14ある。これらは独自の法体系や議会を持つことがあるが、イギリスに属することが国際的に認められている。代表例としては:

  • フォークランド諸島

  • ケイマン諸島

  • ジブラルタル

例:アメリカ合衆国の準州

  • プエルトリコ

  • グアム

  • 北マリアナ諸島

これらの地域は「国家」ではないが、国際的には一定の政治的自治が認められている存在である。ゆえに「世界の国の数」を定義する際、これらを数に入れるか否かで大きく総数が変わってくる。


スポーツや文化イベントで見られる独立地域の扱い

興味深いのは、国際スポーツや文化イベントにおいて、国家として参加しているが国連加盟国ではない地域も存在することである。

  • オリンピック:国際オリンピック委員会(IOC)は、国家とは異なる基準で参加資格を認めている。たとえば、香港プエルトリコは独自の代表団を出している。

  • FIFA(国際サッカー連盟):211の国と地域が加盟しており、国連加盟国よりも多い。これは、スコットランドやウェールズ、フェロー諸島などが個別に加盟しているためである。

このような文化・スポーツの場では、「国」とは異なる定義が使われているため、より多くの主体が「代表」として活動している実態が見られる。


結論:世界に国は何カ国あるのか?

「世界には200以上の国があるのか?」という問いに対しては、次のようにまとめられる:

  1. 国連加盟国は193カ国

  2. 国連非加盟だが広く承認されている国を含めると195カ国

  3. 承認されていないが独立を主張する地域を含めると200を超える

  4. スポーツや文化機関によっては、参加主体が250を超えることもある

したがって、狭義には195カ国、広義には200以上の「国のような存在」があるといえる。どの基準を採用するかによって、その数は柔軟に変動するため、答えは「場合による」が最も正確な表現となる。


参考文献・出典


このテーマは政治的、歴史的、国際法的に深く関わる問題であり、単なる数の問題ではなく、**「国家とは何か」「国際的承認とは何か」**を考える重要な機会でもある。読者には、数の表面的な把握だけでなく、その背後にある構造や背景にまで目を向けてほしい。

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