世界の海洋資源を利用するための重要な権利を示す「経済的排他的水域（EEZ）」は、国々にとって海洋資源の管理において重要な役割を果たしています。EEZは沿岸国に、領海から200海里（約370km）の範囲内で経済的権利を付与するものです。これにより、漁業、石油・ガスの採掘、海底鉱物の採掘など、多岐にわたる経済活動が可能になります。各国のEEZの面積は、その国の海洋資源にアクセスできる範囲を示し、地理的な要因や海洋の配置に大きく影響されます。本記事では、世界の国々をそのEEZ面積に基づいて順に紹介し、その影響力や戦略的重要性を探ります。
1. フランス
フランスは、その広大な海外領土により、世界で最も広いEEZを持っています。フランスのEEZ面積は約11,035,000平方キロメートルに達し、その面積は日本のEEZを大きく上回ります。フランスの海外領土には、太平洋、カリブ海、大西洋など、世界中の多くの地域に分布する島々が含まれており、これらがフランスのEEZ面積の膨大さを支えています。フランスはその地理的な位置から、多様な海洋資源へのアクセスを確保しており、これを活かした海洋管理や経済活動を行っています。
2. アメリカ合衆国
アメリカ合衆国は、世界で2番目に広いEEZを持っており、その面積は約11,350,000平方キロメートルです。アメリカのEEZには、アラスカやハワイをはじめ、太平洋や大西洋に点在する多数の島々が含まれています。アメリカは、豊富な漁業資源やエネルギー資源に恵まれており、これらを管理するために高度な技術と政策を駆使しています。また、アメリカは海洋科学の研究や環境保護にも力を入れており、EEZ内での活動が国際的な関心を集めています。
3. オーストラリア
オーストラリアは、約8,100,000平方キロメートルのEEZを持ち、これもまた広大な海洋資源を活用するための大きな権限を意味します。オーストラリアは、インド洋、太平洋に広がる領土を含み、特に漁業や海底鉱物の採掘が重要な産業となっています。オーストラリア政府は、EEZ内での環境保護と持続可能な利用を重要視しており、海洋保護区の設置や資源管理の取り組みを強化しています。
4. ロシア
ロシアは、約7,600,000平方キロメートルのEEZを有しており、その広さはユーラシア大陸に広がる広大な領土に起因しています。ロシアのEEZは、北極海や太平洋に接しており、石油や天然ガスの埋蔵量が豊富です。また、ロシアは漁業資源が豊富で、EEZ内での海洋資源の利用が国の経済にとって非常に重要な役割を果たしています。ロシアはこれらの資源を管理するため、技術や国際協力を強化しており、特に北極圏での資源開発が注目されています。
5. カナダ
カナダは約5,600,000平方キロメートルのEEZを持ち、その海域は主に大西洋、太平洋、および北極海に広がっています。カナダはその豊かな漁業資源や鉱物資源に加え、温暖化の影響で開かれる北極海の航路にも注目しており、これらの資源の持続可能な利用が重要な課題となっています。特にカナダはEEZ内での環境保護に力を入れており、海洋生物の保護やエコシステムの維持を優先しています。
6. 日本
日本は、約4,470,000平方キロメートルのEEZを持ち、東アジアの海域に広がるその海洋領域は、漁業、海底資源の採掘、海洋環境保護などの面で非常に重要です。日本のEEZは、特に漁業資源の管理が課題となっており、国内外の漁業活動との調整が求められています。また、海底鉱物や天然ガスの開発にも関心があり、近年では深海資源の採掘が進んでいます。日本はその技術力を活かし、海洋環境の保護と資源の持続的な利用を両立させる努力を続けています。
7. インド
インドは約2,000,000平方キロメートルのEEZを持っており、その海域はインド洋に広がっています。インドは、漁業資源とともに、海底資源の開発や海洋エネルギーの利用に積極的で、特に海上風力発電の可能性を模索しています。インドのEEZは、商業活動にとって重要な戦略的な位置にあり、その海域での資源開発と国際的な協力が鍵となります。
8. 中国
中国は約2,000,000平方キロメートルのEEZを有しており、その主な海域は東シナ海や南シナ海に広がります。中国のEEZは、漁業資源や海底資源の豊富さから、経済的な利益をもたらす重要な領域です。特に南シナ海における領有権を巡る争いが国際的な関心を集めており、その海域での資源開発に対する影響力が大きいです。中国はEEZを通じて、経済的、軍事的な影響力を強化しつつあります。
9. ブラジル
ブラジルは、約4,500,000平方キロメートルのEEZを持ち、南大西洋に広がるその海域は豊かな漁業資源と鉱物資源を有しています。ブラジルはその海洋資源を利用して経済を発展させており、特に石油や天然ガスの採掘が重要です。また、ブラジルはその広大なEEZを守るために海上警備を強化しており、資源の保護と持続可能な開発に力を入れています。
10. メキシコ
メキシコは約3,000,000平方キロメートルのEEZを持ち、その海域は主に太平洋とカリブ海に広がります。メキシコは、特に漁業資源や海洋エネルギーの開発において重要な役割を果たしています。また、メキシコは環境保護にも積極的で、持続可能な漁業や海洋保護区の設置を進めています。
結論
EEZの広さは国の海洋資源へのアクセスとその活用能力を示す重要な指標です。フランスやアメリカ合衆国のように広大なEEZを持つ国々は、その経済活動において海洋資源を最大限に活用しており、これらの海域での活動が世界経済にも大きな影響を与えています。一方、EEZの管理には環境保護や持続可能な資源利用が求められており、各国はそのバランスを取るために努力を続けています。