数学

中央値の計算方法

中央値(メディアン)の計算に関する完全かつ包括的な記事

中央値(メディアン)は、統計学においてデータの中心を示す重要な指標の一つです。特に、データが偏っている場合や外れ値が存在する場合、平均値よりも中央値を用いることで、より実態に即した中心値を得ることができます。この記事では、中央値の定義、計算方法、そして具体的な問題を解説し、理解を深めていきます。

1. 中央値の定義

中央値とは、データセットを昇順または降順に並べたときに、中央に位置する値のことです。データセットに含まれる値の数が奇数であれば中央の1つの値が中央値となり、偶数であれば中央の2つの値の平均が中央値となります。

例:

  • データセット: 1, 3, 5

    • 奇数個のデータで、中央値は3。

  • データセット: 1, 3, 5, 7

    • 偶数個のデータで、中央値は(3 + 5) / 2 = 4。

2. 中央値の計算方法

中央値を計算するためには、まずデータセットを順番に並べ替える必要があります。その後、データの個数が奇数か偶数かを確認し、適切な方法で中央値を求めます。

奇数個のデータの場合:

データが奇数個の場合は、データセットを昇順または降順に並べ、中央の位置にある値が中央値となります。

  • 例: データセットが[2, 7, 5]の場合、昇順に並べると[2, 5, 7]となり、中央値は5です。

偶数個のデータの場合:

データが偶数個の場合は、中央の2つの値の平均を取ります。

  • 例: データセットが[1, 4, 7, 9]の場合、昇順に並べると[1, 4, 7, 9]となり、中央の2つの値は4と7です。したがって、中央値は(4 + 7) / 2 = 5.5となります。

3. 中央値の計算に関する問題例

ここでは、いくつかの実際のデータセットを使用して、中央値の計算方法を確認します。

問題1: 奇数個のデータの場合

データセット: [12, 18, 3, 7, 5]

  1. データを昇順に並べます: [3, 5, 7, 12, 18]

  2. 中央に位置する値は7です。

    • よって、中央値は7です。

問題2: 偶数個のデータの場合

データセット: [6, 9, 2, 15, 10, 4]

  1. データを昇順に並べます: [2, 4, 6, 9, 10, 15]

  2. 中央の2つの値は6と9です。

    • そのため、中央値は(6 + 9) / 2 = 7.5となります。

問題3: 外れ値の影響

データセット: [2, 3, 4, 5, 100]

  1. データを昇順に並べます: [2, 3, 4, 5, 100]

  2. 中央に位置する値は4です。

    • 外れ値(100)は中央値の計算には影響を与えません。

このように、中央値は外れ値に強い特性を持ち、偏ったデータを扱う際には非常に有効です。

4. 中央値の特徴と使い方

中央値は、データの偏りや極端な外れ値の影響を受けにくいため、特に以下のような場合に有効です。

  • 外れ値が存在する場合: 外れ値がデータセットに含まれていると、平均値はその影響を強く受けますが、中央値はその影響をほとんど受けません。

  • 所得や収入の分布: 所得分布において極端に高い収入を得ている人が少数存在する場合、その影響を避けるために中央値を使用します。

  • 体温や年齢の分布: 偏りが強い分布の場合、中央値が実際的な中心値を示します。

5. 中央値と平均値の違い

中央値と平均値はどちらもデータの「中心」を示す指標ですが、それぞれ異なる特性を持っています。

  • 平均値はすべてのデータの合計をデータの個数で割った値であり、外れ値の影響を受けやすいです。例えば、5人のグループで4人が年収100万円、1人が年収5000万円の場合、平均年収は約1,200万円となりますが、中央値は100万円であり、実態に即した指標となります。

  • 中央値はデータを並べたときに中央に位置する値であり、外れ値に強い特性を持っています。したがって、極端な値がデータに含まれる場合は、中央値がより適切な代表値となることが多いです。

6. まとめ

中央値は、データセットの中心を示す重要な統計指標であり、特に外れ値や偏りがある場合に役立ちます。中央値を計算する際には、データセットを昇順または降順に並べ、データの個数が奇数か偶数かによって適切に計算を行います。中央値は平均値に比べて外れ値の影響を受けにくいため、特定の状況下ではより信頼性の高い指標となります。

参考文献

  1. 西村信行, 『統計学入門』, 数学教育出版社, 2019.

  2. 田中広志, 『統計学の基礎』, 東京大学出版会, 2021.

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