耳、鼻、喉

中耳炎の症状と治療

中耳炎は、耳の中の中耳と呼ばれる部分が炎症を起こす病気です。この病気は、風邪やインフルエンザなどの上気道感染症が引き金となることが多く、特に小さな子供に多く見られます。中耳炎の症状は多岐にわたり、個々の症例により異なりますが、一般的な症状とその原因について詳しく説明します。

1. 耳の痛み(耳痛)

中耳炎の最も一般的な症状は耳の痛みです。痛みは突発的に始まることが多く、特に耳の中が圧迫される感覚や、耳を触ると痛みが強くなることがあります。この痛みは、耳の中に液体が溜まることで圧力がかかるために起こります。痛みの程度は軽度から激痛までさまざまで、夜間に悪化することがよくあります。

2. 発熱

中耳炎が進行すると、体の免疫反応として発熱が現れることがあります。発熱は通常、軽度から中等度のもので、時には高熱を伴うこともあります。特に乳幼児や小さな子供では、発熱とともに不機嫌になったり、食欲が低下したりすることがあります。

3. 聴力の低下

中耳炎が進行することにより、中耳に液体が溜まると、音が正常に伝わりにくくなります。これにより、聴力が一時的に低下することがあります。多くの場合、この聴力低下は中耳炎が治癒するにつれて回復しますが、長期化すると聴力に永久的な影響を与える可能性もあります。

4. 耳からの分泌物

中耳炎がひどくなると、耳の中から分泌物が漏れることがあります。これらの分泌物は膿や透明な液体であり、耳の感染症が進行するサインです。耳からの分泌物は、耳内の圧力が高くなると外に出てくることがあります。分泌物が出ることで、痛みが和らぐこともあります。

5. 不快感や耳の詰まった感じ

中耳炎では、耳の中に圧力がかかり、耳が詰まった感じがします。この感覚は、耳の中に液体がたまることによって引き起こされ、周囲の音がぼやけて聞こえることがあります。耳が詰まったような感じが続くことがあり、特に飛行機の離着陸時や気圧が変化する際にこの症状が強く感じられることがあります。

6. 頭痛

中耳炎の症状として、頭痛が伴うこともあります。頭痛は耳の圧力の変化や炎症によって引き起こされることがあり、特に耳の痛みとともに現れることが多いです。痛みの程度は個人差があり、軽度から強い痛みまでさまざまです。

7. 吐き気や嘔吐

特に子供では、耳の痛みや不快感が原因で吐き気や嘔吐が現れることがあります。耳の痛みが強くなると、体がストレスを感じて吐き気を引き起こすことがあるため、症状の一環として嘔吐が見られることがあります。

8. 不機嫌や落ち着きのない動き

子供の場合、痛みや不快感により不機嫌になり、落ち着かなくなることが多いです。大人でも、耳の痛みや圧迫感によって気分が悪くなり、イライラや不安を感じることがあります。子供は自分の症状を言葉で表現できないため、泣き出したり、耳を頻繁に触ったりすることが見られます。

9. 呼吸器系の症状

中耳炎は、風邪やインフルエンザなどの上気道感染症が原因であることが多いため、呼吸器系の症状が併発することがあります。鼻水、喉の痛み、咳などが見られることがあり、これらは中耳炎の前兆として現れることがあります。

中耳炎の種類と症状の違い

中耳炎にはいくつかの種類があり、それぞれの症状が異なることがあります。以下は、主な中耳炎の種類とその特徴です。

  1. 急性中耳炎(AOM)
    急性中耳炎は、突然の耳の痛みや発熱を伴い、耳の中に液体がたまることが特徴です。急性中耳炎は通常、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症が引き金となり、細菌による二次感染が原因となることもあります。

  2. 滲出性中耳炎(OME)
    滲出性中耳炎は、耳に液体がたまっているが、急性の痛みや発熱はあまりない状態です。このタイプの中耳炎は、しばしば聴力低下を引き起こしますが、痛みはほとんど感じないことがあります。

  3. 慢性中耳炎
    慢性中耳炎は、長期間にわたって耳に炎症が続く状態です。しばしば耳から膿が出ることがあり、痛みや聴力の低下が長期間続くことがあります。治療が必要ですが、放置すると聴力に永続的な損傷を与えることがあります。

中耳炎の治療方法

中耳炎の治療には、以下の方法があります。

  • 抗生物質の使用:細菌感染が原因であれば、抗生物質が処方されます。しかし、ウイルス性の場合は抗生物質は効果がないため、症状の緩和が目的となります。

  • 鎮痛薬:耳の痛みを和らげるために、鎮痛薬(例えばアセトアミノフェンやイブプロフェン)が使用されます。

  • 温湿布:耳に温湿布を当てることで、痛みの軽減が期待できます。

  • 鼻うがいや蒸気吸入:風邪やアレルギーが原因の場合、鼻の通りをよくするために鼻うがいや蒸気吸入を行うことが有効です。

  • 外科的治療:重症例では、耳に溜まった液体を取り出すための手術が行われることがあります。

中耳炎は適切に治療を行えば、ほとんどのケースで回復しますが、症状が長引いたり、悪化する場合は早めに医師の診察を受けることが重要です。

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