完全かつ包括的な記事:種類別の乾癬(かんせん)について
乾癬は皮膚に現れる慢性的な病気で、免疫系が異常に働くことによって引き起こされます。これにより皮膚細胞のターンオーバーが異常に早くなり、通常よりも多くの皮膚細胞が表面に現れることになります。その結果、赤くてかゆみを伴う斑点や鱗屑(うろこ状の皮膚)が形成されます。乾癬は治療が難しく、病状によっては生活の質に大きな影響を及ぼすことがあります。乾癬にはさまざまな種類があり、各タイプには異なる症状や治療法が存在します。本記事では、乾癬の主要なタイプを紹介し、それぞれの特徴や治療法について説明します。

1. 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
尋常性乾癬は最も一般的なタイプで、乾癬患者の約80%がこのタイプに該当します。この乾癬は、赤くてかゆみを伴う斑点が体のさまざまな部位に現れ、通常は肘、膝、頭皮、背中などに発症します。病変はしばしば鱗屑に覆われており、鱗屑を剥がすと血が出ることもあります(これを「ステアリン現象」と呼びます)。尋常性乾癬はしばしば遺伝的な要因に関連しており、免疫系が皮膚細胞を異常に攻撃することが原因とされています。
治療法:
尋常性乾癬の治療法には、局所療法(外用薬)、光線療法、システム療法(全身薬)が含まれます。局所療法としては、ステロイド外用薬やビタミンD3誘導体(カルシポトリオール)などが使用されます。また、光線療法(紫外線B療法)は、皮膚に紫外線を照射することで症状を改善することが知られています。重症の場合には、システム療法(免疫抑制薬や生物製剤)が選ばれることもあります。
2. 乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)
乾癬性関節炎は、乾癬を持っている患者の約10~30%に見られる合併症です。このタイプでは、皮膚の症状に加えて、関節に痛みや腫れが現れることがあります。関節痛は通常、手足の指や足首、膝などに影響を与え、しばしば関節の可動域が制限されることがあります。乾癬性関節炎は、皮膚の症状が比較的軽い場合でも、関節症状が強く現れることがあります。
治療法:
乾癬性関節炎の治療には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や病態修飾抗リウマチ薬(DMARDs)などが使用されます。特に生物製剤や免疫抑制薬が効果的とされ、関節炎の進行を抑えるために重要です。早期の診断と治療が重要であり、放置すると関節の変形や障害を引き起こすことがあります。
3. 逆向性乾癬(ぎゃくこうせいかんせん)
逆向性乾癬は、体の皮膚のひだや皺ができやすい部分、例えば腋の下、陰部、乳房の下などに発生する乾癬です。このタイプは、皮膚が赤くただれて湿ったように見えることが特徴です。逆向性乾癬は、他のタイプの乾癬と比べて鱗屑が少なく、むしろ皮膚の炎症が顕著に現れることが多いです。
治療法:
逆向性乾癬には、通常、ステロイド外用薬が使われますが、湿った状態で症状が悪化するため、抗真菌薬や抗菌薬が併用されることがあります。また、皮膚がこすれやすい部分に発生しやすいため、摩擦を避けることが重要です。重症の場合には、システム療法が必要となることもあります。
4. 膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)
膿疱性乾癬は、膿を含んだ小さな膿疱(膿がたまった膨らみ)が現れる乾癬の一形態です。この膿疱は、手のひらや足の裏に現れることが多いです。膿疱性乾癬は急性の発症が特徴で、非常に痛みを伴うことがあります。膿疱が破れて皮膚が乾燥して鱗屑が形成されることもあります。膿疱性乾癬は、非常に治療が難しい場合が多く、患者の生活に深刻な影響を与えることがあります。
治療法:
膿疱性乾癬の治療は非常に難しく、ステロイド外用薬や免疫抑制薬が使われます。また、全身療法として生物製剤や免疫調節薬が使用されることがあります。急性期には入院が必要となることもあります。
5. 滴状乾癬(てきじょうかんせん)
滴状乾癬は、小さな点状の皮疹が皮膚に現れる乾癬の一形態で、通常は急性に発症します。このタイプの乾癬は、ストレス、感染症、特に喉の感染症(例:扁桃炎)によって引き起こされることがあります。皮疹は通常、点状で薄く、赤みを帯びたものです。最も多く現れる場所は、背中、胸部、四肢です。
治療法:
滴状乾癬の治療には、通常、局所ステロイドや光線療法が使われます。症状が急激に発症するため、感染症の治療も並行して行うことが必要です。適切な治療を行うことで、症状は比較的早く改善することが多いです。
6. 紅皮症乾癬(こうひしょうかんせん)
紅皮症乾癬は、非常に重症な乾癬の一形態で、皮膚が広範囲にわたって赤く腫れ、全身の皮膚に炎症が生じます。この状態では、皮膚が剥がれ落ち、発熱や悪寒などの全身症状も伴うことがあります。紅皮症乾癬は命に関わることがあるため、早急な医療介入が必要です。
治療法:
紅皮症乾癬の治療には、入院治療が必要です。高用量のステロイド療法や免疫抑制薬、生物製剤が使用されることがあります。治療は急性期に集中的に行われ、その後の維持療法が重要です。
結論
乾癬は多くの形態があり、各タイプによって症状や治療法が異なります。どのタイプの乾癬であっても、適切な治療を受けることが重要であり、特に重症のタイプでは早期の診断と治療が必要です。乾癬は慢性的な病気であるため、患者の生活の質を向上させるためには、長期的な治療とサポートが必要です。医師との連携を密にし、個別の治療計画を立てることが大切です。