「加齢黄斑変性(AMD)」完全ガイド:目の健康とその予防法
加齢黄斑変性(AMD)は、特に高齢者に多く見られる視力障害で、視覚に関わる黄斑部分に影響を与えます。この病気は、視野の中心部分に異常を引き起こし、結果として日常生活に大きな影響を与えることがあります。特に日本では、高齢化社会が進む中で、AMDは増加傾向にあり、その理解と予防方法について知ることが重要です。

加齢黄斑変性とは?
加齢黄斑変性(Age-Related Macular Degeneration、AMD)は、目の網膜にある黄斑という部分が損傷を受ける疾患です。黄斑は視覚の中心にあたる部分で、細かい視力や色の識別を担当しています。AMDが進行すると、中心部分の視力が失われ、物を見る際に歪んだり、中心が見えにくくなったりします。
AMDには主に「乾燥型(非滲出型)」と「湿潤型(滲出型)」の二つのタイプがあります。
乾燥型AMD(非滲出型)
乾燥型AMDは、最も一般的なタイプで、全体のAMD患者の約80~90%を占めます。乾燥型は、黄斑の細胞が少しずつ破壊されることによって視力が低下します。視界の中心に小さな暗点が現れることが多く、初期段階では症状があまり目立たないことがあります。しかし、時間が経つにつれて視力が徐々に悪化し、最終的には視野の中心部分が見えにくくなります。
湿潤型AMD(滲出型)
湿潤型AMDは、乾燥型に比べて進行が早く、重篤な視力障害を引き起こす可能性が高いタイプです。このタイプでは、網膜の下に新たに異常な血管が成長し、血液や液体が漏れ出すことで黄斑が損傷を受けます。これにより、急激に視力が低下し、歪んだ視界や中心部分が暗く見えることが多くなります。湿潤型AMDは早期に治療を受けることが重要です。
加齢黄斑変性の原因
AMDの主な原因は加齢ですが、遺伝的要因や生活習慣も大きく影響します。以下のようなリスク要因が知られています:
-
年齢:加齢が最大のリスク因子で、50歳以上の人々に多く見られます。
-
遺伝:家族にAMDを患った人がいる場合、リスクが高くなることがあります。
-
喫煙:喫煙はAMDのリスクを大きく高めることが分かっています。
-
食生活:果物や野菜、特に緑黄色野菜を十分に摂取しないことがリスクを増加させます。
-
紫外線:長期間強い紫外線にさらされることもAMDを引き起こす要因とされています。
AMDの症状
AMDの初期段階では、視力の低下や歪みを感じにくいことがありますが、進行するにつれて次のような症状が現れます:
-
視界の中心がぼやける:文字や顔を読むときに中心が見えにくくなる。
-
視野の歪み:直線が歪んで見えることがあります。
-
暗点が見える:視界に黒い点が現れることがあります。
-
色の識別が難しくなる:色合いがかすんで見えることがあります。
診断方法
AMDの診断には、いくつかの検査が行われます。最も一般的な方法は以下の通りです:
-
視力検査:視力を測定し、視界の変化を確認します。
-
眼底検査:網膜の状態を直接観察することで、黄斑の変性の有無を確認します。
-
OCT(光干渉断層計)検査:網膜の断層画像を得ることで、黄斑の損傷具合を詳細に把握できます。
-
フルオレセイン眼底造影検査:目の中に特殊な色素を注入し、血管の異常を検出します。
治療法
AMDの治療法は、その進行具合やタイプによって異なります。乾燥型AMDには直接的な治療法はなく、主に生活習慣の改善と定期的な経過観察が重要です。一方、湿潤型AMDには以下の治療法が用いられます:
-
抗VEGF療法:新たに成長した異常血管を抑制する薬剤を眼内に注射します。この治療により、視力の低下を防ぐことができます。
-
光線力学療法(PDT):レーザー治療を用いて異常血管を破壊する方法です。
-
レーザー治療:一部の湿潤型AMD患者には、直接レーザーを照射して異常血管を治療する方法があります。
予防と生活習慣
AMDを予防するためには、以下の生活習慣の改善が推奨されます:
-
禁煙:喫煙を避けることで、AMDのリスクを大幅に減らすことができます。
-
バランスの取れた食事:抗酸化物質を豊富に含む食べ物(ビタミンC、E、亜鉛、ルテインなど)を摂取することが重要です。特に、緑黄色野菜や果物を積極的に食べましょう。
-
紫外線対策:日差しの強い時期はサングラスを着用し、紫外線から目を守りましょう。
-
定期的な眼科検診:早期発見が視力を守るために重要です。特に50歳以上の人は定期的に眼科で検診を受けることが推奨されます。
まとめ
加齢黄斑変性(AMD)は、高齢者にとって深刻な視力障害を引き起こす可能性がある病気ですが、早期の発見と適切な治療によって、視力の低下を防ぐことができます。生活習慣を見直し、健康的な食生活と定期的な眼科検診を通じて、AMDのリスクを減らすことが可能です。年齢と共に目の健康に対する意識を高め、予防に努めることが重要です。