北極はアジア大陸、ヨーロッパ大陸、またはアメリカ大陸の一部ではありません。実際には、北極は地理的には特定の大陸には位置していません。地球上の北極は、すべての大陸から等距離にあり、北極圏と呼ばれる地域にあります。この地域は北極点を中心に広がり、北緯66.5度以北の地域を指します。
北極自体は、大部分が海で覆われており、厳しい寒冷環境が広がっています。この海は「北極海」と呼ばれ、氷に覆われているため、「北極氷床」や「北極の氷」などと表現されることがあります。北極の周辺には、カナダ、ロシア、グリーンランド(デンマークの自治領)、アラスカ(アメリカ)、ノルウェーなど、いくつかの国々が領土を有していますが、これらの国々が北極そのものを所有しているわけではありません。

北極は地理的な位置だけでなく、気候や生態系でも特異な特徴を持っています。例えば、昼夜の長さが極端で、夏の間は24時間明るく、冬の間は24時間暗い「極昼」や「極夜」の現象が見られます。また、北極圏には極端な寒さが支配しており、一年を通じて気温は氷点下であることが多いです。この過酷な環境にもかかわらず、北極にはシロクマやアザラシ、北極キツネなどの動物が生息しており、独自の生態系を形成しています。
歴史的には、北極探検が行われたこともあります。19世紀から20世紀初頭にかけて、多くの探検家が北極点を目指して冒険を繰り広げましたが、極端な寒さと氷に覆われた海による障害が多く、探検は困難を極めました。それでも、20世紀初頭にはアメリカのロバート・ピアリーやノルウェーのフリードリヒ・アムンセンなどが北極に到達し、その成果は歴史的な偉業とされています。
近年では、地球温暖化が進む中で、北極の氷が急速に融解していることが問題となっています。この氷の減少は、海面上昇を引き起こす一因となり、また、北極圏に住む動植物にも深刻な影響を与えています。さらに、北極の氷の減少により、新たな航路が開かれる可能性があり、これが国際的な関心を集めています。特にロシアやカナダなどの国々は、北極海を巡る領有権問題に関して対立することがあります。
このように、北極は単なる地理的な場所にとどまらず、気候変動や国際政治、環境問題にも大きな影響を与える重要な地域です。