南アメリカにおけるムスリムの数は、正確な統計が難しいものの、おおよそ300万人程度と推定されています。ムスリム人口は、地域ごとの文化的、社会的な背景により大きく異なりますが、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルーなど、いくつかの国では特に目立つ存在となっています。
まず、ブラジルが南アメリカにおけるムスリム人口の中で最も多い国であり、約120万人のムスリムが住んでいるとされています。ブラジルでは、19世紀末にシリアやレバノンからの移民が多く、その影響でムスリムのコミュニティが形成されました。移民の多くはビジネスを行う中でイスラム教徒としてのアイデンティティを守りながら生活をしており、現在でもその文化や伝統は受け継がれています。

次に、アルゼンチンも重要なムスリムの拠点です。アルゼンチンには、シリアやレバノンからの移民が多く、その後の世代がイスラム教徒として生活しています。アルゼンチンのムスリムコミュニティは、主に大都市圏、特にブエノスアイレスに集中しており、現地でのイスラム文化や宗教的行事も広く受け入れられています。
チリでは、比較的少数派ではありますが、ムスリム人口は着実に増加しています。主にシリアやレバノンからの移民による影響が色濃く、その文化的影響は今も続いています。ペルーでもムスリムのコミュニティは存在しており、商業活動を通じて少しずつ認知度が高まっています。
さらに、コロンビアやウルグアイなどの他の南アメリカ諸国にも小規模なムスリムコミュニティがありますが、これらのコミュニティは他の地域に比べて規模が小さいものの、地域の多文化共生において重要な役割を果たしています。
南アメリカにおけるムスリムの文化的影響は、宗教的行事、特にラマダンやイード(イード・アル=フィトル)などの祝祭において顕著です。また、ムスリムの食文化も地域社会に影響を与えており、特にハラール食品は一部の都市で需要が増加しています。モスクも各地に点在しており、ムスリムたちはそこで礼拝を行い、地域社会とのつながりを深めています。
さらに、南アメリカのムスリムコミュニティは、近年、イスラム教への関心が高まる中で教育や社会貢献活動を強化しています。特に若い世代が積極的に参加しており、ムスリムとしてのアイデンティティを確立するための活動が増加しています。
総じて、南アメリカにおけるムスリム人口は着実に増加しており、地域社会との融合を図りながら、自らの宗教的・文化的なアイデンティティを守り続けています。