情報セキュリティ

古いハードディスクのクローン作成方法

古いハードディスクから新しいハードディスクへの完全なクローン作成方法(すべてのプログラムとデータを含む)

コンピューターのストレージをアップグレードする際、古いハードディスク(HDDまたはSSD)に保存されたすべてのデータやプログラム、オペレーティングシステム(OS)までを、新しいディスクにそのまま移行したいというニーズは非常に一般的です。この作業は「ディスククローン」と呼ばれ、単なるファイルコピーとは異なり、隠れたシステムファイルや起動情報、レジストリなども含めて完全に複製します。

本記事では、Windowsユーザー向けに、古いハードディスクを新しいディスクへ完全にクローンする方法を、ステップバイステップで解説します。この記事を読むことで、システムやアプリケーションを再インストールすることなく、ストレージを安全に移行することが可能となります。


必要な準備

項目 内容
新しいハードディスク 新しいHDDまたはSSD。古いディスクと同じかそれ以上の容量が望ましい。
ディスククローン用ソフト 無料または有料のクローンツール(例:Macrium Reflect、EaseUS Todo Backup、AOMEI Backupperなど)
接続用ハードウェア ノートPCなどの場合、SATA-USB変換アダプターや外付けケースが必要。
バックアップ 万が一に備えて、重要データのバックアップを事前に取っておくこと。

ステップ1:ディスククローンソフトのインストール

まず最初に、信頼性の高いクローンツールをPCにインストールする必要があります。以下に代表的なソフトをいくつか挙げます。

無料で利用できる代表的なクローンソフト

ソフト名 特徴 商用利用 公式サイト
Macrium Reflect Free 高い信頼性と柔軟性 不可 https://www.macrium.com/
AOMEI Backupper Standard 日本語対応、使いやすいUI https://www.ubackup.com/jp/
EaseUS Todo Backup Free 初心者向け、手順が簡単 一部制限あり https://jp.easeus.com/

この記事では、例として「AOMEI Backupper Standard(無料版)」を使用します。


ステップ2:新しいハードディスクを接続

以下の方法で新しいディスクをPCに接続します。

  • デスクトップPC:SATAケーブルと電源ケーブルをマザーボードと電源ユニットに接続。

  • ノートPC:SATA-USBアダプターや外付けハードディスクケースを使ってUSBポートに接続。

接続が完了すると、「ディスクの管理」画面やエクスプローラーに新しいディスクが表示されるはずです。


ステップ3:ディスクの初期化とパーティション確認

新しいディスクが未初期化の場合、次の手順で初期化します。

  1. Windowsの「ディスクの管理」を開く。

  2. 新しいディスクが「未割り当て」と表示される。

  3. 右クリックして「ディスクの初期化」を選択。

  4. GPTまたはMBRを選択(古いBIOSではMBR、UEFIではGPTが推奨)。

その後、新しいディスクにパーティションを作成する必要はありません。クローンソフトがすべてのパーティション構成を複製するため、ここでは空の状態で構いません。


ステップ4:クローン作成の実行

AOMEI Backupperでの操作例を以下に示します。

  1. AOMEI Backupperを起動。

  2. 「クローン」タブを選択し、「ディスククローン」をクリック。

  3. クローン元(古いハードディスク)を選択。

  4. クローン先(新しいハードディスク)を選択。

  5. 「SSDに最適化」オプションを選択(SSDの場合)。

  6. 「開始」をクリックしてクローンを実行。

処理時間は、ディスクの容量や接続速度によって異なります(通常1時間以内〜数時間)。


ステップ5:ディスクの入れ替えと起動確認

クローンが完了したら、以下の手順で新しいディスクをシステムに組み込みます。

ノートPCの場合:

  1. PCの電源を切る。

  2. 古いハードディスクを取り外す。

  3. 新しいディスクを内蔵スロットに装着。

  4. 電源を入れ、Windowsが正常に起動するか確認。

デスクトップPCの場合:

BIOS設定を確認し、起動ディスクの優先順位を新しいディスクに設定する必要があります。


ステップ6:不要なパーティションの整理(オプション)

クローン後、元ディスクと同じパーティション構成がコピーされるため、新しいディスクの容量が増えた場合、空き領域が「未割り当て」として残ることがあります。

その場合は「ディスクの管理」で空き領域を既存パーティションに結合(拡張)することができます。

  1. 「Windows + X」→「ディスクの管理」

  2. 対象パーティションを右クリック → 「ボリュームの拡張」


トラブルシューティング

問題 解決方法
Windowsが起動しない BIOS設定で起動ディスクを正しく選択しているか確認。Secure Bootの無効化も検討。
クローン後に容量が正しく認識されない 「ディスクの管理」で未割り当て領域を拡張。
アクティベーションが解除された 一部のWindowsライセンスでは、ハードウェア構成の変更により再認証が必要になる。Microsoftアカウントと紐付けておくと自動再認証が可能。

専門的補足:セクタ単位とファイル単位の違い

ディスククローンには「ファイル単位のコピー」と「セクタ単位のコピー」があります。セクタ単位のクローンは、システム情報やブートレコードまで忠実に再現できるため、トラブルの可能性が最も低くなります。AOMEIやMacriumはこの方式を採用しています。


まとめ

ハードディスクのクローン作成は、専門知識がなくても信頼できるツールと手順を守れば、安全にシステム移行を実現できます。重要なのは、正しい接続、正しいソフト、正しい操作順序です。

アップグレードや交換の際に再インストールの手間を避け、すべての設定やソフトをそのまま新しい環境で使いたい場合、この記事で紹介した方法は最も実用的かつ効率的です。

参考文献:

  1. AOMEI公式ガイド:https://www.ubackup.com/jp/clone/

  2. Macrium Reflect公式ドキュメント:https://knowledgebase.macrium.com/

  3. EaseUSクローンソフトの使用方法:https://jp.easeus.com/backup-recovery/clone-hard-drive.html

常に日本の読者の皆様のために、信頼性と実用性の高い情報をお届けすることを使命としています。

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