がん

唾液腺癌の症状と治療

唾液腺癌は、唾液腺に発生する悪性腫瘍の一種です。唾液腺は口の中で唾液を分泌する器官であり、主に耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つの主要な腺から成り立っています。これらの腺のいずれかで癌が発生すると、唾液腺癌と呼ばれます。この癌は、比較的稀ではあるものの、発生した場合には早期発見と治療が重要です。本記事では、唾液腺癌の概要、症状、原因、診断方法、治療法、予後などについて包括的に説明します。

唾液腺癌の種類と発生部位

唾液腺癌はその発生場所や細胞の種類によっていくつかのタイプに分類されます。主に次のような種類があります。

  1. 耳下腺癌

    耳下腺は最も大きな唾液腺で、唾液腺癌の約70%がここで発生します。耳下腺にできる癌は、腫瘍が比較的大きくなることがあり、発見が遅れることがあります。

  2. 顎下腺癌

    顎下腺は、口の下のあたりに位置し、唾液腺癌の約10〜15%がここで発生します。顎下腺癌は、顔の下部に腫れができることが多く、早期に症状が現れることがあります。

  3. 舌下腺癌

    舌下腺は舌の下に位置する腺で、唾液腺癌の中では最も少ない発生率を誇ります。舌下腺癌は小さな腫瘍ができることがあり、発見が難しいこともあります。

唾液腺癌は、良性の腫瘍と悪性の腫瘍に分けられることがありますが、悪性腫瘍は転移の可能性が高いため、より深刻な治療が必要です。

唾液腺癌の原因

唾液腺癌の正確な原因は解明されていないものの、いくつかの要因がリスクを高めることがわかっています。

  • 年齢と性別

    唾液腺癌は一般的に40歳以上の人々に多く見られ、特に男性に多い傾向があります。

  • 放射線被曝

    頭部や首に対する放射線治療を受けたことがある人々は、唾液腺癌のリスクが高くなるとされています。

  • 遺伝的要因

    家族に唾液腺癌の患者がいる場合、遺伝的な要因が影響している可能性があります。

  • その他の環境要因

    化学物質への曝露や喫煙など、環境的な要因も唾液腺癌のリスクを高めることがあります。

唾液腺癌の症状

唾液腺癌の初期症状は比較的軽微であることが多いため、早期発見が難しい場合があります。以下のような症状が見られることがありますが、これらは必ずしも唾液腺癌によるものとは限りません。

  • 口腔内や顔の腫れ

    唾液腺に腫瘍ができると、顔や口の中に腫れが生じることがあります。これは、唾液腺が腫れることによって引き起こされます。

  • 痛みや不快感

    腫瘍が神経を圧迫することにより、顔や口の中に痛みや不快感が生じることがあります。

  • 唾液の分泌異常

    唾液腺が障害を受けると、唾液の分泌量が減少することがあります。これにより、口の中が乾燥する症状が現れることがあります。

  • 顔面の麻痺

    腫瘍が顔面神経を圧迫することにより、顔面の片側が麻痺することがあります。

  • リンパ節の腫れ

    唾液腺癌が進行すると、リンパ節に転移することがあり、頸部のリンパ節が腫れることがあります。

唾液腺癌の診断

唾液腺癌の診断には、以下のような検査が行われます。

  1. 身体検査と病歴の確認

    まず、医師は患者の顔や口の中をチェックし、腫れや異常がないかを確認します。また、患者の病歴や家族歴についても調査します。

  2. 画像検査

    • CTスキャンMRIは、腫瘍の大きさや位置、周囲の組織への浸潤の程度を確認するために使用されます。

    • 超音波検査も唾液腺の状態を調べるために行われることがあります。

  3. 生検

    唾液腺癌が疑われる場合、腫瘍の一部を採取して細胞診を行うことがあります。これにより、癌の有無を確定することができます。

唾液腺癌の治療

唾液腺癌の治療は、腫瘍の種類や進行度、患者の全体的な健康状態に基づいて決定されます。主な治療方法は以下の通りです。

  1. 外科的手術

    唾液腺癌の治療で最も一般的な方法は手術です。腫瘍が小さい場合や局所的に限定されている場合、腫瘍だけを取り除く手術が行われます。腫瘍が大きかったり、周囲の組織に広がっている場合は、より広範な手術が必要となることがあります。

  2. 放射線治療

    手術後に残存する癌細胞を排除するために、放射線治療が行われることがあります。放射線は、癌細胞を破壊する効果があります。

  3. 化学療法

    化学療法は、転移がある場合や手術後の補助療法として使用されることがあります。薬物が血液を通じて体内の癌細胞に作用します。

  4. ターゲット療法や免疫療法

    近年、ターゲット療法や免疫療法が唾液腺癌の治療においても研究されており、今後の治療の進展が期待されています。

唾液腺癌の予後

唾液腺癌の予後は、腫瘍の種類や進行度、治療の効果によって異なります。一般的に、早期に発見されて治療が適切に行われた場合、良好な予後が期待できます。しかし、進行した場合や転移が確認された場合は、治療が難しくなることがあります。

唾液腺癌の治療後も定期的なフォローアップが重要で、再発や転移を早期に発見するための検査が推奨されます。

結論

唾液腺癌は比較的まれな疾患ですが、早期発見と適切な治療が重要です。症状が現れた場合にはすぐに医師に相談し、検査を受けることが大切です。進行を防ぐためには、定期的な健康診断を受け、リスク因子に注意を払いながら生活することが求められます。

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