問題解決の技法：第一部
問題解決は日常生活における重要なスキルであり、仕事から個人的な問題まで、あらゆる場面で必要とされます。このシリーズでは、問題解決のための基本的なアプローチとその実践的な方法を掘り下げていきます。今回は、問題解決の第一歩として「問題の特定」と「根本原因の分析」について詳しく解説します。
1. 問題の特定
問題解決の最初のステップは、問題を明確にすることです。多くの場合、問題が発生したと感じたとき、最初に行うべきはその問題が何であるかを正確に把握することです。しかし、表面的な問題に焦点を当てるだけでは不十分であり、問題の背後にある本当の原因を突き止める必要があります。
1.1 問題の範囲を明確にする
問題を特定するには、まずその範囲を明確にすることが重要です。問題がどこで、どのように発生しているのかを洗い出すことが求められます。例えば、業務上の問題であれば、その問題が特定の部署や作業に関係しているのか、全体に影響を及ぼしているのかを見極める必要があります。この段階では、問題の影響を受ける範囲を明確にしておくことで、その後の解決策が具体的かつ適切に策定できるようになります。
1.2 複数の視点を取り入れる
問題を一人で考えるのではなく、関係者や他の視点を取り入れることが有効です。問題の全体像を把握するためには、異なる視点から情報を集めることが大切です。たとえば、チームメンバーや上司、または部門間での意見交換を行うことで、より包括的な理解を得ることができます。これにより、自分だけでは見落としがちな重要な情報を発見することができるのです。
2. 根本原因の分析
問題を特定した後に行うべきは、根本原因の分析です。表面的な症状に対処するのではなく、問題の根本的な原因を見つけることが、効果的な解決策を導くためには不可欠です。この段階では、「なぜ問題が起きたのか？」という問いを繰り返し、原因を深掘りしていきます。
2.1 「5つのなぜ」技法
問題の根本原因を特定するために広く使用される方法に、「5つのなぜ（5 Whys）」という技法があります。この方法は、問題に対して「なぜ？」と5回繰り返し問いかけることで、根本原因にたどり着くというものです。例えば、製造業における不良品の問題を取り上げると、最初に「なぜ不良品が発生したのか？」と問い、その回答に対してさらに「なぜそれが起こったのか？」と問い続けていきます。このように、層を重ねていくことで、表面的な原因にとどまらず、組織やプロセス全体の根本的な問題を明らかにできます。
2.2 フィッシュボーンダイアグラム（因果関係図）
また、根本原因を視覚的に整理するために、「フィッシュボーンダイアグラム（因果関係図）」を使用することも有効です。これは、問題の原因を「人」「プロセス」「機械」「材料」などのカテゴリに分けて整理する手法です。フィッシュボーンダイアグラムを使うことで、問題の原因がどこに存在するのかを一目で理解することができ、どの分野に対して改善を行うべきかを明確にすることができます。
3. 解決策のアイデア出し
問題の特定と根本原因の分析が終わったら、次に行うべきは解決策のアイデア出しです。ここでは、創造的な思考を活用して、複数の解決策を考案することが重要です。アイデア出しの際には、解決策を多角的に検討するために、以下のような方法を使うことが効果的です。
3.1 ブレインストーミング
ブレインストーミングは、チームで集まって自由にアイデアを出し合う方法です。初めにルールを決めて、批判や評価をせずにアイデアを出し続け、後でその中から実行可能なものを選びます。この方法は、多くのアイデアを一度に生み出すことができ、解決策の選択肢を広げることができます。
3.2 SCAMPER法
SCAMPER法は、既存の解決策やプロセスに変更を加えることで新しいアイデアを得る手法です。「Substitute（代用する）」「Combine（結合する）」「Adapt（適応させる）」「Modify（変更する）」「Put to another use（他の用途に使う）」「Eliminate（削除する）」「Reverse（逆にする）」の頭文字を取ったこの方法は、創造的な思考を促し、異なる角度から問題にアプローチすることを可能にします。
結論
問題解決の第一部では、問題の特定と根本原因の分析、そして解決策のアイデア出しについて説明しました。これらのステップは、問題を解決するための基礎となる重要な過程です。問題を明確にし、その背後にある原因を突き止めることで、効果的な解決策を導き出すことができます。この方法論を実践することで、個人やチームは、より複雑な問題に直面したときでも、冷静かつ効果的に対処できるようになるでしょう。