各国の経済と政治

国連加盟国一覧

国際連合(United Nations、略称:UN)は、第二次世界大戦後の1945年に創設された国際機関であり、世界平和と安全の維持、人権の尊重、経済的・社会的発展の促進を目的として設立された。2025年現在、国連には193の加盟国が存在し、これらすべての国々は「主権国家」として国際社会に認められており、国連総会などの場で対等な立場で意思決定に関与している。本稿では、国連加盟国すべてを包括的に紹介するとともに、地域別の分類、加盟の歴史的経緯、特筆すべき事項を含めて詳細に解説する。


国連加盟国の地域別一覧

1. アフリカ(54か国)

アフリカは国連加盟国の中で最も多くの国が存在する地域であり、54か国が加盟している。冷戦後に独立を果たした国々や植民地支配からの解放を経て誕生した国が多く、国連にとっても開発支援や人道援助の重点地域とされてきた。

国名(アルファベット順)
アルジェリア、アンゴラ、ベナン、ボツワナ、ブルキナファソ、ブルンジ、カーボベルデ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コモロ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、コートジボワール、ジブチ、エジプト、赤道ギニア、エリトリア、エスワティニ、エチオピア、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、ケニア、レソト、リベリア、リビア、マダガスカル、マラウイ、マリ、モーリタニア、モーリシャス、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、ルワンダ、サントメ・プリンシペ、セネガル、セーシェル、シエラレオネ、ソマリア、南アフリカ、南スーダン、スーダン、タンザニア、トーゴ、チュニジア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ

2. アジア(49か国)

アジアは面積と人口の両面で最大の大陸であり、経済成長の著しい国から内戦状態にある国まで多様性に富む。

国名(アルファベット順)
アフガニスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、バーレーン、バングラデシュ、ブータン、ブルネイ、カンボジア、中国、キプロス、北朝鮮、東ティモール、インド、インドネシア、イラン、イラク、イスラエル、日本、ヨルダン、カザフスタン、クウェート、キルギス、ラオス、レバノン、マレーシア、モルディブ、モンゴル、ミャンマー、ネパール、オマーン、パキスタン、パレスチナ(オブザーバー国家)、フィリピン、カタール、サウジアラビア、シンガポール、韓国、スリランカ、シリア、タジキスタン、タイ、トルクメニスタン、アラブ首長国連邦、ウズベキスタン、ベトナム、イエメン、ジョージア、トルコ(※ヨーロッパにも属する)

※パレスチナは「非加盟オブザーバー国家」であり、正式加盟国ではない。

3. ヨーロッパ(44か国)

ヨーロッパは国連の創設メンバーを多数含む地域であり、欧州連合(EU)との重複も注目される。多数の国が先進国に分類され、国連における経済的・外交的影響力が大きい。

国名(アルファベット順)
アルバニア、アンドラ、オーストリア、ベラルーシ、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、モルドバ、モナコ、モンテネグロ、オランダ、北マケドニア、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、サンマリノ、セルビア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、ウクライナ、イギリス

4. アメリカ大陸(35か国)

北中南米を含むこの地域では、先住民文化、植民地支配、独立戦争を経た多様な国家が存在する。アメリカ合衆国は国連本部が所在する国家でもあり、最大の資金拠出国でもある。

国名(アルファベット順)
アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、バハマ、バルバドス、ベリーズ、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グレナダ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、スリナム、トリニダード・トバゴ、アメリカ合衆国、ウルグアイ、ベネズエラ

5. オセアニア(14か国)

太平洋諸島国家を中心としたこの地域は、人口こそ少ないものの国際社会における気候変動問題に対する発言力を持つ。

国名(アルファベット順)
オーストラリア、フィジー、キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、ナウル、ニュージーランド、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ

国連加盟に関する歴史的経緯と要件

国連憲章第4条に基づき、「平和を愛する国家」であり、「憲章の義務を受け入れ、それを履行する能力と意思がある国家」が加盟の資格を持つ。加盟は国連安全保障理事会の推薦と国連総会の承認をもって確定する。

最も新しい加盟国は2011年に独立を果たした南スーダンである。また、スイスは永世中立国でありながら2002年まで加盟していなかった。**バチカン市国(ローマ教皇庁)**は非加盟オブザーバー国家として国連に参加している。


特筆すべき事項

  • 中華人民共和国と台湾(中華民国)問題:1971年、国連は「中国代表権」を中華人民共和国に認め、台湾は国連から脱退する形となった。

  • パレスチナ問題:パレスチナは「国家としての地位を持つ非加盟オブザーバー」として扱われており、加盟国ではない。

  • 国際承認されていない国家(未承認国家):コソボや北キプロス、ソマリランドなど一部の国は国連に加盟していない。


国連加盟国の役割と意義

国連加盟国は、以下のような多様な役割を担う。

  • 平和維持活動(PKO)への貢献

  • 国際条約・協定の批准

  • 国連機関(UNESCO、UNICEF、WHO等)への拠出と協力

  • 持続可能な開発目標(SDGs)への取り組み

  • 人道危機や災害時の国際連携

また、常任理事国(P5)として安全保障理事会で特権を持つ国(中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカ)は、世界の安全保障において強い影響力を行使する。


おわりに

国連加盟国は、世界のほぼすべての国家を網羅しており、その集合体としての国連は地球規模の課題に取り組む中核的機関である。それぞれの加盟国が持つ多様な文化、政治体制、経済力は、国際協調を促進する一方で複雑な調整を必要とする。国際関係を理解するうえで、国連加盟国の構成とその背景を把握することは不可欠である。今後も新たな国家の誕生や国際政治の変動によって、国連の構成は変化していく可能性があるが、その都度、加盟国の意義と責任が問われ続けるだろう。


参考文献

  • United Nations Official Website(https://www.un.org)

  • 『国際連合とその機構』日本国際問題研究所

  • 世界各国・地域データ集(外務省)

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