大腸癌（癌性腸疾患）は、特に日本をはじめとする多くの国々で、発症率が高い癌の一つです。大腸癌は通常、結腸（大腸）または直腸の細胞が異常に増殖し、腫瘍を形成する病気です。これらの腫瘍は、良性のものから悪性のものまでさまざまなタイプがありますが、悪性腫瘍が発症すると、周囲の組織や他の臓器に転移する可能性があります。大腸癌の早期発見は、治療の成功に大きく影響するため、症状の把握と定期的な検診が重要です。
大腸癌の症状は初期段階では目立たないことが多く、進行するとさまざまな症状が現れます。以下では、大腸癌の代表的な症状を詳しく説明します。
1. 便通の異常
大腸癌の最も一般的な症状の一つは便通の変化です。これには以下のような症状が含まれます：
-
便秘や下痢: 癌が腸内に発生すると、腸の通過障害が起こり、便秘や下痢が繰り返し現れることがあります。
-
便の形状の変化: 便が細くなることがあります。特に、便が鉛筆のように細くなる場合は、大腸癌の兆候の一つとして警戒が必要です。
-
排便後の不完全感: 排便後にすっきりしない、または便意が残っていると感じることがあります。
2. 血便
大腸癌の進行に伴い、腫瘍が出血を引き起こすことがあります。そのため、便に血が混じることがあります。血便の色は鮮やかな赤色であることもあれば、黒っぽいタール状になることもあります。黒い便は消化器官の上部からの出血を示す場合があり、赤い便は直腸や肛門近くの出血を示唆することがあります。
3. 腹痛や不快感
腫瘍の成長が進むと、腸内で詰まりや膨張を引き起こし、腹部に痛みや不快感を感じることがあります。特に、食後に腹部が膨らんだり、腸が詰まったような感じがすることがあります。また、食欲不振や吐き気、膨満感も伴うことがあります。
4. 体重減少
大腸癌が進行すると、体重が原因不明で減少することがあります。これは、癌細胞が体のエネルギーを消費するため、または腸内で栄養吸収が妨げられることによって発生します。意図しない体重減少は、癌の進行を示す重要なサインです。
5. 貧血
大腸癌の患者では、腫瘍からの微細な出血が慢性的に続くことがあります。このため、貧血（鉄欠乏性貧血）が引き起こされることがあります。貧血の症状としては、顔色が悪くなる、疲れやすい、息切れがする、めまいを感じるなどがあります。
6. 便秘や腹部膨満感が続く
大腸癌が進行すると、腸内での通過障害がひどくなり、便秘が長期間続くことがあります。また、腹部膨満感やガスが溜まる感覚が続くこともあります。これは、大腸が腫瘍によって部分的に閉塞され、便の移動が妨げられるためです。
7. 尿路症状
まれに、大腸癌が直腸や膀胱に隣接している場合、尿道に影響を与えることがあります。この場合、排尿時の痛みや頻尿、尿の漏れなどの尿路症状が現れることがあります。
8. 皮膚や目の黄疸
大腸癌が肝臓に転移した場合、皮膚や目が黄色くなることがあります。これは、肝臓の機能が低下し、ビリルビンという物質が血液中に溜まるためです。このような症状が現れた場合は、癌が転移している可能性があるため、すぐに医師の診察を受けることが重要です。
9. 脂肪便
大腸癌が進行すると、脂肪が十分に消化されず、便に脂肪が多く含まれるようになることがあります。これにより、便が非常に脂っこく、油分を含んだような見た目になります。この症状は、消化不良が原因であることを示唆しており、早期に医療機関で診断を受けるべきです。
10. 感染症や発熱
癌が進行すると、免疫システムが弱くなるため、感染症を起こしやすくなることがあります。また、体温が上昇し、発熱を引き起こすことがあります。特に長期間続く発熱は、大腸癌が原因である可能性があるため注意が必要です。
まとめ
大腸癌は、初期段階では無症状であることが多いため、定期的な健康診断や便潜血検査、内視鏡検査が非常に重要です。進行するとさまざまな症状が現れますが、それらの症状は他の病気とも共通していることがあるため、自己診断は避け、専門医による診断と治療が求められます。早期に発見することができれば、大腸癌は治療可能な場合が多く、予後も改善します。そのため、体調に異変を感じた場合は、すぐに医師に相談することを強くお勧めします。