結婚から1年が経過しても妊娠しない場合、夫婦がどのような検査を受けるべきかは重要な課題です。特に、女性に関しては妊娠に関わる様々な要因が存在するため、適切な検査を行うことが、妊娠を成功させるための第一歩となります。ここでは、結婚して1年が経過し、妊娠しない場合に必要な検査とその流れについて、完全かつ包括的に解説します。
1. 基本的な婦人科検査
最初に、女性は一般的な婦人科検査を受けることが推奨されます。これには、健康状態を評価し、妊娠に影響を与える可能性のある疾患がないか確認することが含まれます。具体的な検査項目は以下の通りです。

1.1 血液検査
血液検査は、ホルモンバランスの異常をチェックするために行われます。特に以下のホルモンを調べることが重要です。
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FSH(卵胞刺激ホルモン): 卵巣の機能を確認するために重要なホルモンです。
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LH(黄体刺激ホルモン): 排卵に関与するホルモンで、周期の調整にも関わります。
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プロラクチン: 高すぎると排卵を妨げることがあるため、プロラクチン値の確認が必要です。
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TSH(甲状腺刺激ホルモン): 甲状腺機能が妊娠に影響を与える可能性があるため、甲状腺の状態を調べることが大切です。
1.2 超音波検査
超音波検査(エコー)は、卵巣や子宮の状態を確認するために行われます。特に以下の点を確認します。
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卵巣の状態: 卵巣に異常がないか、卵胞の発育が正常かどうかをチェックします。
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子宮の形状と厚さ: 子宮内膜が正常に厚くなっているかどうか、また子宮に異常がないかを確認します。
1.3 子宮頸管粘液の検査
排卵期における子宮頸管粘液の状態を調べ、精子が子宮内に入りやすい環境が整っているかを確認します。粘液の量や質が不十分だと、受精が難しくなることがあります。
2. 排卵に関する検査
妊娠には排卵が必要不可欠です。排卵が正常に行われているかを調べるために、以下の検査が行われます。
2.1 排卵検査
自宅で行う排卵検査キットを使用して、排卵日を特定することができます。この検査では、LHサージ(排卵前に分泌されるホルモンの急激な増加)を検出することができます。
2.2 基礎体温の測定
基礎体温を毎日測定し、体温の変化を確認します。排卵後、体温が上がるため、この変化を利用して排卵のタイミングを確認することができます。
2.3 黄体機能の確認
排卵後に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の量が足りない場合、妊娠の維持が難しくなります。血液検査でプロゲステロンの値を確認し、黄体機能が正常かを調べます。
3. 不妊症の原因を調べるための詳細検査
妊娠しない原因をさらに詳しく調べるため、以下の検査が行われます。
3.1 子宮卵管造影検査(HSG)
子宮卵管造影(HSG)検査は、子宮内膜の状態や卵管の通過性を確認するための検査です。この検査では、造影剤を子宮に注入し、X線で卵管が詰まっていないかを確認します。卵管が閉塞している場合、妊娠が難しくなります。
3.2 腹腔鏡検査
腹腔鏡を使用して、卵巣や子宮内を直接観察する検査です。卵巣にチョコレート嚢胞や子宮内膜症がないか、または卵管の異常がないかを確認します。この検査は、内視鏡手術を行うこともでき、場合によっては治療も同時に行われます。
3.3 抗精子抗体検査
精子に対する免疫反応が異常である場合、女性の体内で精子を攻撃してしまうことがあります。抗精子抗体検査は、女性の血液中に精子に対する抗体があるかを調べます。
3.4 男性の検査(精液検査)
女性の検査に加えて、男性にも検査を行うことが一般的です。男性側に原因がある場合も多いため、精液検査を行い、精子の数、運動性、形態などを確認します。精子に異常がある場合、治療が必要となることがあります。
4. その他の健康状態の確認
女性の健康状態が妊娠に大きな影響を与えるため、以下の状態を確認することが重要です。
4.1 体重と栄養状態の確認
体重が極端に少なかったり、多すぎたりすることは、ホルモンバランスに影響を与える可能性があります。適切な体重管理と栄養バランスの取れた食事が妊娠に有益です。
4.2 ストレスと生活習慣
過度なストレスや不規則な生活習慣は、ホルモンバランスを崩し、排卵に影響を与える可能性があります。ストレス管理や生活習慣の見直しも重要です。
5. まとめ
結婚から1年が経過しても妊娠しない場合、まずは基本的な婦人科検査を受け、排卵の有無やホルモンバランスを確認します。その後、必要に応じて、卵管や子宮の異常を調べるための検査を行い、不妊症の原因を突き止めることが重要です。場合によっては、男性側にも検査が必要となることがあります。適切な検査と治療を受けることで、妊娠の可能性を高めることができます。
不妊症の原因は個々に異なるため、専門医と相談しながら治療を進めていくことが大切です。