妊娠中の胎児の発育は、週ごとにさまざまな重要な変化を経ていきます。ここでは、妊娠初期から後期にかけての胎児の成長過程を、週単位で詳しく解説します。
妊娠1週目〜2週目:受精と着床
妊娠は、精子と卵子が結びつき受精が行われることで始まります。最初の2週間は、受精卵が子宮内膜に着床し、妊娠が確定するための準備期間です。この時期には、まだ胎児という形にはなっていませんが、胚(はい)が分裂を始め、今後の成長に向けた基礎が整えられます。

妊娠3週目〜4週目:胚盤と神経管の形成
受精後3週目には、受精卵が胚盤として成長を始め、胎児の主要な器官を形成するための基盤が作られます。4週目には、神経管が形成され、この神経管は後に脳と脊髄となります。心臓や血管が発達し始め、初期の心拍も確認できるようになります。
妊娠5週目〜6週目:心臓の鼓動と器官の発達
この時期には、胎児の心臓が速いペースで鼓動を始め、超音波で確認できるようになります。6週目には、四肢の芽が形成され、手や足の原型が現れます。また、脳の発達が急速に進み、感覚器官の基礎も作られます。
妊娠7週目〜8週目:顔と四肢の形成
7週目には、顔の基本的な形が整い始めます。目の周りの皮膚が少し膨らんで、耳の原型も現れます。8週目には、手足の指が分かり始め、胚の体長が約2.5cmに達します。この段階では、すでに胎児というよりも、ヒトの特徴を持った形に近づいています。
妊娠9週目〜10週目:器官の成熟と動き
9週目になると、ほぼすべての主要な器官が形成され、機能を始めます。心臓はほぼ完成し、血液循環が活発に行われるようになります。また、この時期に胎児はわずかながら動き始め、母体に伝わることもあります。10週目には、顔の表情がさらに細かく形成され、性別も判別できるようになります。
妊娠11週目〜12週目:顔の詳細と指の発達
12週目には、顔の表情がさらに細かく、目が開き始め、指や爪が形成されます。また、腎臓は尿を作り始め、胃や腸も機能し始めます。この時期に胎児は約5〜6cmの大きさに成長します。
妊娠13週目〜16週目:体のバランスと成長
13週目には、胎児の手や足がさらに発達し、動きがより活発になります。14週目以降は、骨が固まり始め、手足がしっかりとした形に整います。16週目には、胎児の顔立ちが明確になり、外部刺激に反応するようになります。
妊娠17週目〜20週目:感覚器官の発達と胎動
17週目に入ると、胎児は耳を使って音を聞き始め、目も開く準備が整います。19週目から20週目には、胎動を感じることができるようになります。この時期の胎児は約16cmほどの大きさで、皮膚はまだ透けて見えるほど薄いですが、脂肪が少しずつ蓄えられ、保護されるようになります。
妊娠21週目〜24週目:肺の発達と外部刺激への反応
21週目から24週目にかけて、胎児の肺が発達し、呼吸の準備を始めます。また、この時期には胎児が外部からの音や触覚に反応するようになります。24週目には、胎児が約30cmに成長し、体重はおおよそ600gに達します。
妊娠25週目〜28週目:眼球の発達と体重増加
25週目から28週目には、胎児の眼球がほぼ完成し、まぶたが開く準備をします。また、皮膚がより厚くなり、脂肪の蓄積が進んで、体温を保持できるようになります。この時期の胎児はおおよそ35〜38cmの長さで、体重は約1kgに達します。
妊娠29週目〜32週目:呼吸と神経系の発達
29週目から32週目には、胎児の肺がさらに成熟し、酸素交換が可能になるため、外の世界に出ても生存可能な状態に近づきます。また、脳が急速に発達し、感覚や運動機能が高度に発達します。この時期には、胎児はおおよそ40〜42cmの大きさに成長します。
妊娠33週目〜36週目:脂肪の蓄積と準備
33週目から36週目にかけて、胎児は体脂肪を蓄え始め、体温調節の能力が向上します。また、脳や内臓の発達が最終段階に入り、外部の音や声を認識できるようになります。この時期に胎児は約45〜47cm、体重はおおよそ2.5〜2.8kgに達します。
妊娠37週目〜40週目:出産に向けた準備
妊娠後期、37週目以降は胎児は「正期産」に入り、出産の準備を整えます。肺が完全に成熟し、骨盤内に降りてきて、出産のタイミングを待ちます。妊娠40週目には、ほとんどの胎児はおおよそ50〜52cm、体重は3kg前後に達し、出産に備えた準備が整います。
妊娠中の胎児の成長は、母体の健康状態や食生活に大きく影響されます。健康的な生活を送りながら、胎児の発達をサポートすることが大切です。