妊娠後期における「妊娠高血圧症候群」または「妊娠中毒症」は、妊婦の健康に深刻な影響を与える可能性のある状態です。特に妊娠9ヶ月目、つまり妊娠後期に入ると、そのリスクが高まります。この記事では、妊娠9ヶ月における妊娠高血圧症候群(または妊娠中毒症)の症状について、完全かつ包括的に解説します。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)とは?
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に発生する高血圧の症状の一つで、妊娠後期に多く見られます。この状態は、母体にとって深刻な危険因子となるだけでなく、胎児の発育にも影響を及ぼす可能性があります。具体的には、妊娠20週以降に高血圧が発症し、最も顕著な症状としては高血圧やたんぱく尿の増加が挙げられます。

妊娠高血圧症候群の主な症状
妊娠9ヶ月目における妊娠高血圧症候群の症状は、多岐にわたります。以下はその代表的な症状です。
1. 高血圧
妊娠高血圧症候群の最も基本的な症状は、血圧の上昇です。通常、血圧は120/80mmHg以下が健康な基準とされていますが、妊娠後期に血圧が140/90mmHgを超える場合、高血圧が疑われます。この高血圧は、母体の臓器や胎盤に過度の負担をかけることになります。
2. 蛋白尿(たんぱく尿)
尿中に異常に多くのたんぱく質が含まれている場合、妊娠高血圧症候群の兆候とされます。通常、尿中のたんぱく質は少ないですが、妊娠後期にたんぱく尿が現れることがあります。この症状は腎臓が正常に機能していないことを示唆しています。
3. むくみ
妊娠後期になると、体全体にむくみが生じることがありますが、特に手や顔、足に顕著なむくみが見られる場合は注意が必要です。妊娠高血圧症候群によって、血流が不安定になり、体液の循環が悪化することから、むくみが悪化することがあります。
4. 頭痛
頭痛も妊娠高血圧症候群の一般的な症状です。特に後頭部や目の奥が痛むタイプの頭痛が現れることが多く、この頭痛は血圧の上昇による影響として現れることがあります。頭痛がひどくなった場合は、早期に医師に相談することが重要です。
5. 視力障害
視力のぼやけや、突然視界が暗くなる、光がチラつくなどの視力障害も妊娠高血圧症候群の兆候とされています。血圧が高くなることで、目の網膜や血管に圧力がかかり、これらの視覚的な症状が引き起こされます。
6. 上腹部の痛み
妊娠高血圧症候群が進行すると、特に右上腹部に痛みを感じることがあります。これは肝臓が影響を受けているサインかもしれません。痛みが鋭く感じたり、持続的な痛みが続く場合は、医師にすぐに相談することが重要です。
7. 吐き気や嘔吐
妊娠高血圧症候群では、母体が体調不良を感じることが多く、吐き気や嘔吐が伴うこともあります。これらの症状は特に食後に悪化することがあります。妊娠初期のつわりと似た症状ですが、後期に突然現れた場合は注意が必要です。
8. 呼吸困難
呼吸がしづらくなることも妊娠高血圧症候群の症状の一つです。高血圧によって血液の循環が悪くなり、肺への血流が不十分になると、呼吸困難が生じることがあります。この症状は急を要する場合が多いので、早急に受診が必要です。
妊娠高血圧症候群のリスク
妊娠高血圧症候群が進行すると、母体や胎児に対する重大なリスクが伴います。具体的なリスクとしては、以下が挙げられます。
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胎盤早期剥離:胎盤が早期に剥がれると、胎児が栄養や酸素を十分に供給されず、胎児の健康に深刻な影響を与える可能性があります。
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早産:妊娠高血圧症候群による血流の不足が原因で、早産が引き起こされることがあります。
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母体の臓器障害:高血圧が続くと、腎臓や肝臓に負担がかかり、最悪の場合、これらの臓器が機能不全を起こすことがあります。
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脳卒中や心臓発作:極端な高血圧が続くと、脳卒中や心臓発作のリスクも高まります。
まとめ
妊娠9ヶ月目における妊娠高血圧症候群の症状は非常に多岐にわたり、母体と胎児に深刻な影響を及ぼす可能性があります。これらの症状が現れた場合、早期に適切な治療を受けることが重要です。妊婦は定期的な産婦人科の受診を受け、血圧の管理を行い、症状に注意を払うことが求められます。妊娠高血圧症候群は早期に発見し、適切な対処をすることで、母体と胎児の健康を守ることができます。