妊娠中の高血圧は、特に妊娠7ヶ月目(妊娠中期後半)において、妊婦と胎児の健康に重要な影響を及ぼす可能性があります。この時期、妊娠による体の変化やホルモンの影響により、血圧の変動が見られることがあります。妊娠7ヶ月目における高血圧の発生について詳しく見ていきましょう。
妊娠中の高血圧とは
妊娠高血圧症(または妊娠高血圧症候群)は、妊娠中に血圧が正常範囲を超えて高くなる状態です。一般的に、妊娠中の高血圧は妊娠20週以降に発症することが多く、妊娠7ヶ月目(妊娠26〜30週)に特に注意が必要です。この時期には、妊娠後期に向けて体が急激に変化するため、高血圧が発症するリスクが増加します。
高血圧の基準としては、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上の場合、妊娠高血圧症と診断されます。この状態が続くと、さらに深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期に発見し、適切な対処を行うことが重要です。
妊娠高血圧症の種類
妊娠中の高血圧は、いくつかのタイプに分けられます。
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妊娠高血圧:妊娠20週以降に初めて高血圧が現れ、通常はタンパク尿などの腎臓に対する影響がない状態。
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前置胎盤(妊娠中毒症):血圧が高く、腎臓や臓器に悪影響を及ぼす可能性があり、胎児の発育にも悪影響を与えることがあります。
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妊娠中毒症(子癇前症、子癇):高血圧に加え、タンパク尿や浮腫(むくみ)が現れる状態で、重症化すると命にかかわるリスクがある。
妊娠7ヶ月目における高血圧の影響
妊娠7ヶ月目における高血圧が深刻な問題となることがあります。この時期、胎盤や血液循環に対する影響が大きく、以下のようなリスクが考えられます。
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胎児の発育遅延:高血圧が続くと、胎盤への血流が減少し、胎児が必要とする栄養素や酸素が十分に供給されなくなり、発育が遅れる可能性があります。
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早産のリスク:高血圧が悪化すると、早産を引き起こす原因となることがあります。これは胎児の健康に大きな影響を与えるため、早期の対応が求められます。
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胎盤剥離(ていばんはくり):高血圧が引き金となり、胎盤が子宮から早期に剥がれてしまうことがあります。これにより出血や胎児の酸素不足が生じ、最悪の場合、胎児が死産することもあります。
妊娠高血圧の症状
妊娠中に高血圧が発症すると、初期の段階では症状が軽いため、自覚しにくいことがあります。しかし、次のような症状が現れることがあります。
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頭痛
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めまい
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視力のかすみ
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足のむくみや手のむくみ
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お腹の痛み
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吐き気や嘔吐
これらの症状が現れた場合、すぐに医師に相談することが大切です。
妊娠高血圧の原因
妊娠中に高血圧を引き起こす原因は完全には解明されていませんが、いくつかのリスク要因が知られています。
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肥満:妊娠前から肥満である場合、高血圧を発症するリスクが高くなります。
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高齢妊娠:35歳以上での初産は、高血圧のリスクを高めることがわかっています。
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多胎妊娠:双子や三つ子など、多胎妊娠は高血圧を引き起こしやすくなります。
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高血圧の既往歴:妊娠前に高血圧や腎臓の病気がある場合、妊娠中に高血圧が発症するリスクが高くなります。
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家族歴:高血圧や妊娠高血圧症の家族歴がある場合、その影響を受けやすくなります。
妊娠高血圧の治療と予防
妊娠高血圧症の治療は、症状の重篤さや妊娠の週数に応じて異なります。一般的には、以下の方法が推奨されます。
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定期的な血圧の測定:妊婦は定期的に血圧を測定し、異常を早期に発見することが大切です。
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塩分の制限:塩分を控えることで、血圧の上昇を防ぐことができます。
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安静と休息:過度なストレスを避け、十分な休息を取ることが高血圧の予防に繋がります。
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薬物療法:医師の指示に従い、血圧を正常に保つために薬を服用する場合があります。妊娠中に使える安全な薬が処方されます。
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定期的な健康チェック:妊娠高血圧症が進行する前に、妊婦の健康状態をチェックし、問題があれば早期に対応することが重要です。
まとめ
妊娠7ヶ月目の高血圧は、母体と胎児の健康に深刻な影響を与える可能性があるため、注意が必要です。早期に高血圧の兆候を認識し、適切な対処を行うことで、健康リスクを最小限に抑えることができます。妊婦自身が自分の体調に敏感になり、定期的に検診を受けることが、母子の健康を守るための重要な一歩です。
