子宮は女性の生殖器の中心的な役割を果たしており、妊娠や月経周期において重要な役割を担っています。子宮に関する疾患はさまざまな形態があり、その症状は異なることがあります。子宮に関連する病気は多岐にわたり、適切な診断と治療が必要です。本記事では、子宮に関連する主要な疾患とその症状について詳しく解説します。
1. 子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋肉層に発生する良性の腫瘍です。これは女性の生殖年齢の間で非常に一般的な疾患であり、多くの場合、症状がないこともありますが、場合によっては以下のような症状を引き起こすことがあります:

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月経過多(月経の出血量が多くなる)
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月経痛(通常よりも痛みが強くなる)
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排尿困難や便秘
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下腹部の膨張感や圧迫感
筋腫の大きさや位置によって症状の重さが異なりますが、進行すると不妊症を引き起こすこともあります。治療方法としては、薬物療法や外科的手術、最終的には子宮摘出術が考慮されることもあります。
2. 子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮内膜組織が子宮の外に異常に発生する疾患です。この組織が月経の周期に応じて反応し、炎症や癒着を引き起こすことがあります。子宮内膜症の主な症状には次のようなものがあります:
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強い月経痛
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不妊症(受精が困難になることがある)
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性交痛
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排便時や排尿時の痛み
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下腹部の不快感や圧痛
子宮内膜症は、婦人科での早期の診断と治療が重要です。治療には、痛みを和らげる薬物療法やホルモン療法が使われることが多いですが、手術で内膜症の組織を取り除くこともあります。
3. 子宮がん
子宮がんは、子宮内膜や子宮頸部に発生する悪性腫瘍です。子宮がんには主に2種類あり、子宮内膜がんと子宮頸がんです。子宮がんの初期にはあまり症状が現れませんが、進行すると以下の症状が現れることがあります:
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不正出血(特に閉経後に見られる)
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月経異常(周期が不規則になる)
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性交時の出血
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骨盤の痛みや圧迫感
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排尿や排便時の痛み
早期発見が非常に重要であり、定期的な婦人科検診での検査が推奨されます。治療は、がんの進行度に応じて手術、放射線治療、化学療法が行われます。
4. 子宮頸部異常(子宮頸がん前病変)
子宮頸部に異常が生じると、早期に治療しないとがんに進行することがあります。これには、ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染が関係していることが多いです。症状はほとんど感じられませんが、異常細胞が発見された場合、がんに進行する前に治療を受けることができます。
子宮頸部異常の兆候としては、以下のようなものがあります:
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性交後の不正出血
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不規則な月経
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排尿時や便通時の痛み
早期の検査(子宮頸部細胞診)を受けることで、異常があっても早期に発見し、対処が可能です。
5. 子宮頸管炎
子宮頸管炎は、子宮頸部の炎症です。多くは感染症によって引き起こされます。症状としては以下のものが考えられます:
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不正出血(特に性交後)
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腹痛や腰痛
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排尿時の痛み
この疾患は、感染症を治療することによって回復することが多いですが、放置すると不妊症を引き起こす可能性があります。
6. 子宮脱
子宮脱は、子宮が正常な位置から下がり、膣の外に出てくる状態です。これは、出産後や加齢によって筋肉や靭帯が弱くなることが原因となることが多いです。子宮脱の症状には以下があります:
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下腹部の圧迫感
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排尿や排便の困難
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性交時の不快感
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膣からの突き出た感覚
軽度の子宮脱は、骨盤底筋体操や物理療法で改善することがありますが、重度の場合は手術が必要になることがあります。
7. 子宮の感染症(骨盤内炎症性疾患)
骨盤内炎症性疾患(PID)は、子宮や卵管、卵巣などの女性生殖器に感染が広がった状態です。この疾患は、通常、性感染症が原因で発生します。PIDの症状には以下のようなものがあります:
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腹痛や腰痛
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不正出血
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発熱や悪寒
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性交時の痛み
PIDは早期に治療することが重要で、適切な抗生物質による治療が必要です。
8. 子宮のポリープ
子宮ポリープは、子宮内膜に発生する良性の腫瘍です。これらのポリープは通常、無症状であることが多いですが、次のような症状を引き起こすことがあります:
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不正出血(特に性交後や閉経後)
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月経過多
ポリープは超音波検査で発見され、治療はポリープの切除によって行われます。
結論
子宮に関する病気は多様であり、症状もさまざまです。定期的な婦人科検診と早期の発見が、健康を保つために非常に重要です。症状が現れた場合、早期に医師に相談することが、疾患の進行を防ぎ、適切な治療を受けるための第一歩です。