チーズ作りは、古代から続く伝統的な技術であり、家庭でも比較的簡単に行うことができます。チーズの種類は非常に多く、それぞれに異なる製法が求められますが、基本的な作り方を理解することが、さまざまなチーズを作るための第一歩です。この記事では、家庭でできる基本的なチーズの作り方を完全に説明します。
1. チーズ作りの基本的な道具と材料
チーズ作りに必要な道具と材料は以下の通りです。

必要な道具:
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大きめの鍋
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温度計
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チーズ用布(またはガーゼ)
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チーズ型
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漉し器(こし器)
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スプーンやヘラ
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計量カップ
必要な材料:
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牛乳(できれば未殺菌の生乳が理想ですが、一般的なパスチャライズドミルクでも作れます)
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酵素(レンネット)またはレモン汁
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塩(お好みで)
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乳酸菌(必要に応じて)
2. チーズ作りの基本手順
チーズ作りは大まかに言うと、乳を凝固させてから、ホエー(乳清)とカード(凝固した乳の固形物)を分け、さらに熟成させるという工程です。以下にその基本的な流れを説明します。
ステップ1: 牛乳を温める
まず、鍋に牛乳を注ぎ、中火で温めます。温度計を使って、牛乳が約30度から40度程度になるように調整します。この温度は乳酸菌や酵素が活発に働く温度帯です。
ステップ2: 酵素(レンネット)を加える
牛乳が適温に達したら、レンネットを加えます。レンネットは牛乳を凝固させるために必要な酵素です。通常、レンネットは少量で十分です。レンネットを加えた後、軽くかき混ぜてから、鍋を静かに放置し、30分から1時間程度で凝固させます。
ステップ3: 凝固した牛乳を切る
牛乳がしっかりと固まったら、カード(固形部分)を切る作業に入ります。専用のナイフまたは大きなナイフを使い、カードを2cm程度の大きさに切ります。カードを切ることで、ホエー(乳清)が分離しやすくなります。
ステップ4: カードを加熱する
カードを切った後は、ゆっくりと加熱していきます。加熱温度は約40度から45度に保つようにし、カードを優しくかき混ぜます。この加熱によってカードの水分がさらに抜け、固まった状態になります。
ステップ5: ホエーを分離する
カードが十分に固まったら、ホエー(液体部分)を分離します。こし器やガーゼを使って、カードとホエーをしっかりと分けます。ホエーはスープやパン作りに使うこともできるので、捨てずに取っておきましょう。
ステップ6: 塩を加える
カードを取り出し、塩を加えてよく混ぜます。塩はチーズの保存性を高めるとともに、風味を引き立てる役割を果たします。塩加減はお好みですが、1kgのカードに対して約20gの塩を目安にすると良いでしょう。
ステップ7: 型に入れて圧力をかける
カードに塩を混ぜたら、チーズ型に詰めます。型に入れた後、上から軽く圧力をかけて、余分なホエーをさらに取り除きます。この圧力をかけることで、チーズがしっかりと形を保つようになります。数時間から一晩程度、この状態で置いておきます。
ステップ8: チーズの熟成
型から取り出したチーズは、好みの熟成時間を経て完成します。熟成期間が短いとフレッシュチーズになり、長期間熟成させると硬いチーズになります。熟成させるためには、温度と湿度を管理できる場所が必要ですが、家庭でも冷蔵庫で数日から数週間の間に熟成させることができます。
3. チーズのバリエーション
上記で紹介した基本的な手法は、多くの種類のチーズに応用できます。例えば、モッツァレラチーズやリコッタチーズなど、異なるチーズを作るためには、以下のような小さな工夫を加えることができます。
モッツァレラチーズ
モッツァレラチーズを作るためには、カードを加熱して柔らかくし、手で伸ばすことが特徴です。この「伸ばし」作業を行うことで、モッツァレラ特有の食感を作り出すことができます。
フェタチーズ
フェタチーズは塩漬けで作られるチーズです。作ったチーズを塩水に漬けて保存することで、フェタ独特の風味と食感を楽しむことができます。
4. チーズ作りの注意点
チーズ作りは楽しいプロセスですが、いくつかのポイントに注意しながら進める必要があります。
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衛生管理: 使用する道具や容器は清潔に保つことが重要です。菌の繁殖を防ぐために、道具をしっかりと洗浄し、消毒しましょう。
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温度管理: チーズ作りでは温度が非常に重要です。適切な温度で処理を行わないと、うまく凝固しなかったり、風味が損なわれることがあります。
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熟成環境: チーズは熟成させることで風味が増しますが、熟成には湿度や温度の管理が必要です。冷蔵庫で保存する際も、通気性のある場所に置くようにしましょう。
5. まとめ
チーズ作りは、基本的な手順を理解し、少しの工夫を加えることで家庭でも十分に楽しめる趣味となります。自分で作ったチーズは、味わいが豊かで、食べる喜びもひとしおです。初めて挑戦する際には、最初は簡単なチーズから始め、徐々に複雑な種類に挑戦してみてください。