肩の痛みは、非常に一般的な症状であり、その原因はさまざまで、痛みが発生する部位やその強さ、症状の進行具合に応じて、さまざまな疾患が考えられます。左肩の痛みは、特に注意が必要です。左肩に感じる痛みが必ずしも肩自体の問題によるものとは限らず、心臓に関連する疾患や神経の問題などが関与していることもあります。このような痛みが発生した場合、早期の評価と適切な治療が重要です。本記事では、左肩の痛みの原因、症状、診断、そして治療法について詳しく解説します。
左肩の痛みの原因
肩の痛みには多くの原因が考えられますが、左肩に特に痛みが出る場合には以下のような原因が考えられます。

1. 肩関節の障害
肩関節は非常に可動域が広く、そのため関節内の構造が負担を受けやすいです。以下のような疾患が肩の痛みの原因となることがあります。
- 肩腱板損傷:肩の回旋筋群(腱板)の損傷や炎症が痛みの原因となることがあります。特に肩を動かすときに鋭い痛みを感じる場合が多いです。
- 肩峰下滑液包炎:肩峰下にある滑液包が炎症を起こし、肩に痛みが生じることがあります。肩を上げる動作で痛みが増すのが特徴です。
- 五十肩(肩関節周囲炎):肩の関節包が炎症を起こし、可動域が制限される疾患です。痛みは徐々に増し、腕を動かすことが困難になることがあります。
2. 心臓疾患
左肩の痛みは、心臓に関する疾患から来ている可能性もあります。特に心筋梗塞や狭心症の発作では、胸の痛みと共に左肩や左腕に放散痛が現れることがあります。これは緊急の状態であり、速やかな医療機関への受診が必要です。
3. 神経の問題
首から肩にかけての神経が圧迫されたり、炎症を起こしたりすると、肩に痛みが放散することがあります。これには以下のような原因が考えられます。
- 頸椎ヘルニア:頸椎の間にある椎間板が突出して神経を圧迫し、肩に放散痛が起こることがあります。しばしば手のしびれや腕の痛みも伴います。
- 神経根障害:頸部の神経が圧迫されることにより、肩や腕に痛みが放散することがあります。特に首を動かすことで痛みが強くなる場合があります。
4. 筋肉の緊張やストレス
肩周りの筋肉が過度に緊張すると、肩に痛みが生じることがあります。特に長時間同じ姿勢を続けたり、ストレスが溜まったりすると、筋肉が硬直し、肩の痛みを引き起こすことがあります。
5. 消化器系の問題
左肩の痛みが消化器系の問題によって引き起こされることもあります。例えば、胃潰瘍や膵炎などの消化器疾患が痛みを引き起こすことがあり、これは「内臓痛」として肩に放散されることがあります。
左肩の痛みの症状
左肩の痛みにはさまざまな症状がありますが、特に注意が必要な症状は次のとおりです。
- 鋭い痛み:肩を動かすたびに鋭い痛みを感じる場合、肩関節や筋肉の問題が考えられます。
- 放散痛:胸や腕に痛みが広がる場合、心臓疾患が疑われます。
- しびれや麻痺:手や腕のしびれ、麻痺感がある場合、神経の圧迫や障害が原因となることがあります。
- 動かしにくさ:肩を動かすときに強い痛みが生じ、肩を動かしづらくなる場合、肩関節や腱板の問題が疑われます。
- 夜間の痛み:寝ている間に痛みが増す場合、五十肩などの慢性的な肩の障害が関与していることがあります。
左肩の痛みの診断
左肩の痛みを診断するためには、以下のような方法が用いられます。
1. 問診と視診
医師はまず患者の症状や痛みの経過について詳しく聞き取り、痛みの特徴を確認します。痛みの発生時期や強さ、伴う症状について詳しく問診が行われます。
2. 触診
肩を実際に触れて、筋肉や関節に異常がないかを確認します。特定の部位を押すことで、痛みが強くなるかどうかをチェックします。
3. 画像検査
X線やMRI、CTスキャンなどの画像検査を行うことで、肩の骨や軟部組織(筋肉、腱、靭帯など)の異常を確認します。特に、肩関節や腱板の損傷を確認するためには、MRIが有効です。
4. 血液検査
心臓疾患の可能性がある場合や、感染症が疑われる場合は血液検査が行われることがあります。特に心筋梗塞や膵炎などが疑われる場合には、血液中の酵素値を確認します。
左肩の痛みの治療法
左肩の痛みの治療法は、痛みの原因によって異なります。以下のような治療が行われることがあります。
1. 保存療法
軽度の肩の痛みや筋肉の緊張が原因の場合、保存療法が効果的です。以下の方法があります。
- 休息:痛みを引き起こす動作を避け、肩を休ませます。
- アイスパックや温熱療法:痛みが強い場合にはアイスパックを、慢性的な痛みの場合には温熱療法が効果的です。
- 理学療法:肩の可動域を回復させるために、物理療法やストレッチ、筋力トレーニングを行います。
2. 薬物療法
痛みが強い場合には、鎮痛剤や消炎剤が処方されることがあります。これにより、炎症を抑え、痛みを軽減することができます。
3. 外科的治療
肩の腱板損傷や関節の異常が重度の場合には、手術が必要になることもあります。特に、腱板損傷が深刻で可動域が大きく制限される場合には、手術が検討されます。
4. 心臓疾患の治療
心臓疾患が原因の場合、速やかな処置が必要です。心筋梗塞や狭心症が疑われる場合は、緊急手術や薬物療法が行われます。
まとめ
左肩の痛みは多くの原因によって引き起こされる可能性があります。肩自体の問題もあれば、心臓や神経に関連する疾患も考えられます。痛みの特徴や症状を注意深く観察し、早期の診断と治療を受けることが重要です。特に、胸の痛みや放散痛が伴う場合には、心臓疾患が疑われるため、速やかな受診が求められます。