炎症性心膜炎:原因、症状、診断、治療
炎症性心膜炎(炎症性心膜炎、または単に心膜炎)は、心臓を覆う膜である心膜の炎症を指します。この疾患は、心臓を守り、圧力を調整する役割を持つ心膜が何らかの理由で炎症を引き起こすことにより発症します。心膜炎は、軽度の症状から重篤な疾患に至るまで、さまざまな状態を引き起こす可能性があります。この疾患の原因、症状、診断法、治療法について詳しく見ていきます。
1. 心膜炎の原因
心膜炎の原因は多岐にわたります。以下に主な原因を挙げます:
1.1 感染症
感染が心膜炎の主な原因の一つです。ウイルス、細菌、真菌、または寄生虫による感染が心膜に影響を与えることがあります。ウイルス性心膜炎が最も一般的であり、特に風邪を引き起こすコクサッキーウイルスやエコーウイルスが関与することが多いです。
1.2 自己免疫疾患
自己免疫疾患では、体の免疫系が誤って自分自身の組織を攻撃します。例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)やリウマチ性疾患は、心膜炎の原因となることがあります。自己免疫疾患による炎症はしばしば慢性化するため、治療が難しくなることもあります。
1.3 外傷
胸部への外傷や心臓手術、心臓カテーテルなどが原因で心膜炎が発生することがあります。これらの物理的な影響が心膜に炎症を引き起こすことがあります。
1.4 その他の原因
薬物や化学物質、がん、特に肺癌や乳癌などが心膜に浸潤することにより心膜炎を引き起こすこともあります。また、慢性的な腎不全や甲状腺機能異常も心膜炎の発症を促進することがあります。
2. 心膜炎の症状
心膜炎の症状は、疾患の原因や重症度によって異なりますが、一般的な症状には以下のようなものがあります:
2.1 胸痛
心膜炎の最も特徴的な症状の一つが胸痛です。痛みは通常、鋭い痛みとして感じられ、深呼吸や咳、体を動かすことで悪化することがあります。この痛みは心膜が炎症を起こすことによって生じる圧迫感から来るものです。
2.2 息切れ
心膜炎が進行すると、心臓の働きに支障をきたし、血液の循環が悪化することがあります。これにより息切れや呼吸困難が生じることがあります。
2.3 発熱
感染症が原因の場合、発熱が見られることがあります。体温が上昇することで、体が感染に対抗しようとします。
2.4 その他の症状
倦怠感、動悸、体のむくみ、急激な体重増加なども心膜炎の症状として現れることがあります。
3. 心膜炎の診断
心膜炎の診断は、症状や病歴、身体検査に加え、いくつかの検査によって行われます。以下の診断方法が一般的です:
3.1 身体検査
心膜炎の診断を最初に行うのは医師による身体検査です。心音を聞くときに、心膜の摩擦音(心膜摩擦音)を聞き取ることがあります。これは、炎症を起こした心膜が心臓の表面でこすれる音です。
3.2 血液検査
炎症が進行しているかどうかを確認するために、血液検査が行われます。白血球数の増加や、炎症マーカー(CRPやESR)の上昇が確認されることがあります。
3.3 心エコー検査
心エコー(超音波検査)を使用して、心膜の状態を視覚的に確認することができます。心膜に液体がたまっている場合(心膜液貯留)や心膜が厚くなっている場合などが示されることがあります。
3.4 CTスキャンやMRI
さらに詳細な情報が必要な場合、CTスキャンやMRIを用いて心膜の炎症や液体のたまり具合を評価することがあります。
4. 心膜炎の治療法
心膜炎の治療は、その原因と症状の重症度に応じて異なります。以下は、主な治療法です:
4.1 薬物療法
薬物療法は、心膜炎の治療の基本となります。一般的には以下の薬が使用されます:
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非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): 炎症を抑え、痛みを和らげるために使用されます。イブプロフェンやアスピリンなどが代表的です。
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コルチコステロイド薬: 特に自己免疫疾患や重度の炎症がある場合、炎症を抑えるために使用されます。
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抗生物質: 感染が原因であれば、抗生物質が処方されます。ウイルス性の場合は抗ウイルス薬が使用されることもあります。
4.2 液体の排除
心膜に液体が溜まっている場合、心膜液を排除するために穿刺が行われることがあります。これにより、圧力が軽減され、呼吸困難や胸痛が和らぐことがあります。
4.3 手術
まれに、心膜炎が進行して心膜が硬くなり、心臓の働きに支障をきたす場合には、手術が必要になることがあります。この場合、心膜の切除や心膜を開放する手術が行われることがあります。
5. 予後と生活習慣
心膜炎の予後は、原因や治療の進行具合によって異なります。軽度の心膜炎は適切な治療によって回復することが多いですが、慢性化したり、再発したりする場合もあります。生活習慣の改善としては、規則正しい生活を送り、過度なストレスを避け、十分な休養と栄養を取ることが推奨されます。また、心膜炎の予防として、感染症の予防や自己免疫疾患の管理が重要です。
まとめ
心膜炎は心膜に炎症が生じる疾患で、さまざまな原因から発症する可能性があります。感染症、自己免疫疾患、外傷などが主要な原因です。症状としては、胸痛、息切れ、発熱などが一般的ですが、診断は身体検査や血液検査、心エコー検査などで行われます。治療には薬物療法や液体の排除、まれに手術が必要となります。適切な治療を受けることで、多くの患者は回復が可能ですが、慢性化や再発することもあるため、生活習慣の改善と予防が重要です。
