医学と健康

急性膵炎の診断と治療

急性膵炎:その定義と診断

急性膵炎は、膵臓の炎症が急激に発症する疾患であり、軽度のものから重度のものまで様々な形態を取ります。この疾患は膵臓の消化酵素が本来の場所である腸ではなく、膵臓内で活性化することによって引き起こされます。この酵素が膵臓自身を消化してしまうため、膵臓の組織が損傷を受け、炎症が生じます。急性膵炎は、時に生命を脅かすことがあり、適切な治療が早期に行われないと重篤な合併症を引き起こすこともあります。

急性膵炎の定義

急性膵炎は膵臓の炎症性疾患であり、その主な特徴は急激に発症する症状です。膵臓は消化酵素を分泌する臓器であり、消化酵素が腸で食物の消化を助けるのが通常の役割ですが、急性膵炎では膵臓内で酵素が活性化され、膵臓自身を破壊していきます。これが膵臓組織の炎症を引き起こし、場合によっては膵臓の機能を低下させることになります。

急性膵炎は一般的に以下の症状を伴います:

  • 上腹部の強い痛み

  • 吐き気や嘔吐

  • 発熱

  • 血圧の低下

  • 脈拍の増加

  • 呼吸困難

これらの症状が突然現れ、数時間または数日内に急速に進行することがあります。

急性膵炎の原因

急性膵炎の主な原因には、次のようなものがあります:

  1. 胆石:膵管に胆石が詰まることが最も一般的な原因の1つです。この場合、胆石が膵臓内の酵素の流れを妨げ、膵臓内で酵素が活性化されて炎症を引き起こします。

  2. アルコール:長期的な過剰摂取が急性膵炎を引き起こす原因となることがあります。アルコールは膵臓の機能を悪化させ、膵液の分泌を増加させることがあります。

  3. 高脂血症:血中の脂肪が過剰になると、膵臓が過度に刺激されて急性膵炎が発症することがあります。

  4. 薬剤:特定の薬剤(例えば、利尿剤や免疫抑制剤など)が急性膵炎を引き起こすことがあります。

  5. 外傷:膵臓への直接的な外的衝撃(例えば、事故や手術後の合併症など)が急性膵炎を誘発する場合があります。

  6. 感染症:細菌やウイルスが膵臓に感染することが原因となる場合もあります。

また、稀に急性膵炎は原因不明で発症することもあります。

急性膵炎の診断方法

急性膵炎が疑われる患者に対して、迅速かつ正確な診断を行うことが非常に重要です。診断は、患者の病歴、症状、身体診察の結果、そしてさまざまな検査を総合的に評価することによって行われます。

1. 病歴と身体診察

医師は、患者から症状の詳細な情報を聞き取り、上腹部の圧痛、腫れ、筋緊張などの身体診察を行います。痛みの特徴や発症時の状況、過去の病歴(例えば、胆石やアルコール使用歴など)も重要な情報となります。

2. 血液検査

急性膵炎の診断には、血液検査が非常に重要です。特に次の2つの酵素のレベルが異常を示す場合、急性膵炎が疑われます:

  • アミラーゼ:膵臓や唾液腺から分泌される消化酵素であり、急性膵炎の診断において最も重要な指標となります。急性膵炎ではアミラーゼ値が急激に上昇します。

  • リパーゼ:リパーゼも膵臓から分泌される酵素で、アミラーゼよりも急性膵炎に特異的であり、診断の確定に役立ちます。

これらの酵素の上昇は、膵臓の損傷を示唆するため、急性膵炎を示唆する重要な兆候となります。

3. 画像検査

画像検査は急性膵炎の診断において重要な役割を果たします。次のような検査が行われることがあります:

  • 腹部超音波検査:胆石や膵臓の腫れ、膿瘍などを確認するために行われます。特に胆石が原因で急性膵炎が発症している場合、この検査で診断が確定することがあります。

  • CTスキャン:急性膵炎が重症化している場合、CTスキャンを用いて膵臓の状態や合併症を評価します。膵臓の周囲に液体がたまっている場合や膵臓に壊死がある場合、この検査で確認できます。

4. その他の検査

  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP):胆管や膵管に異常が疑われる場合、ERCPが行われることがあります。これにより、膵管や胆管に胆石が詰まっている場合、それを取り除くことができます。

結論

急性膵炎は、膵臓の突然の炎症を伴う疾患であり、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。症状が急激に現れるため、患者は迅速に医療機関を受診する必要があります。診断は、血液検査や画像検査などを通じて行われ、治療は原因に応じた対応が求められます。胆石やアルコール、薬剤が原因となることが多く、これらの要因を特定することで、予防策を講じることが可能となります。急性膵炎は重篤な合併症を引き起こすこともあるため、早期の治療が患者の予後を大きく改善することができます。

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