耳、鼻、喉

慢性副鼻腔炎の症状と治療

慢性副鼻腔炎(慢性ジオウアンシ)は、長期間にわたって副鼻腔に炎症が続く状態です。副鼻腔は鼻の周りにある空間で、正常な呼吸や嗅覚のために重要な役割を果たしています。副鼻腔が炎症を起こすと、通常、感染症やアレルギーが引き金となり、痛みや圧迫感、鼻づまりなどの不快な症状が現れます。これが慢性化すると、症状が数週間、さらには数ヶ月にわたって続きます。

慢性副鼻腔炎の主な症状

  1. 鼻づまり(閉塞感)

    慢性副鼻腔炎の最も一般的な症状は鼻づまりです。副鼻腔内に膿が溜まることにより、鼻の通りが悪くなり、呼吸が困難になります。この症状は特に夜間に悪化することがあり、睡眠の質に影響を及ぼします。

  2. 鼻水の増加

    慢性副鼻腔炎があると、透明または膿のような鼻水が大量に分泌されることがあります。鼻水が喉に流れ込む後鼻漏(こうびろう)として感じることもあります。この状態が続くと、喉の不快感や咳、喉の痛みが生じることもあります。

  3. 顔面の痛み・圧迫感

    副鼻腔が炎症を起こすと、目の周りや頬、額などに圧迫感や痛みを感じることがあります。この痛みは特に頭を動かしたり、前かがみになったりした際に強くなることが多いです。

  4. 嗅覚の低下

    慢性副鼻腔炎では、嗅覚が鈍くなることがあります。副鼻腔内の炎症が嗅覚神経に影響を与え、香りを感じにくくなります。これは患者にとって非常に不便で、食事の味も感じにくくなることがあります。

  5. 頭痛

    副鼻腔の圧力が高くなると、頭痛が生じることがあります。特に顔面や額、目の奥に痛みを感じることが多いです。この頭痛は慢性的に続くことがあり、薬での対処が必要になることもあります。



  6. 後鼻漏により、喉に鼻水が流れ込むことで咳が引き起こされることがあります。夜間や朝方に特にひどくなることが多く、睡眠を妨げる要因となります。

  7. 疲労感

    慢性副鼻腔炎は、継続的な炎症や不快感により体力を消耗させ、全身的な疲労感を引き起こすことがあります。慢性的な不眠や痛みによって日常生活に支障をきたすことがあるため、十分な休息と治療が必要です。

  8. 耳の詰まりや痛み

    副鼻腔の炎症が耳管にも影響を及ぼし、耳の詰まりや痛みを感じることがあります。これが悪化すると、耳に水が溜まったような感覚や、耳鳴りを感じることもあります。

慢性副鼻腔炎の原因

慢性副鼻腔炎の原因はさまざまですが、主なものとして以下の点が挙げられます:

  1. アレルギー

    アレルギー反応が引き金となり、副鼻腔に炎症を引き起こすことがあります。特に花粉症やダニ、カビなどが原因となることが多いです。

  2. 感染症

    風邪やインフルエンザの後に副鼻腔が感染し、炎症を引き起こすことがあります。細菌感染やウイルス感染が慢性化すると、症状が長引くことがあります。

  3. 構造的な問題

    鼻中隔の曲がりやポリープ、腫瘍など、鼻や副鼻腔の構造的な問題が慢性副鼻腔炎を引き起こすことがあります。

  4. 煙草の煙や汚染物質

    喫煙や大気汚染などの環境因子が副鼻腔の炎症を悪化させることがあります。特に長期間にわたる煙草の煙への曝露が原因となることが多いです。

  5. 免疫力の低下

    免疫系の弱まりが副鼻腔炎を引き起こすことがあります。特に自己免疫疾患や糖尿病などの病歴がある場合、慢性副鼻腔炎が発症しやすくなります。

慢性副鼻腔炎の治療法

慢性副鼻腔炎の治療は、症状の緩和と炎症の抑制を目的としています。治療法は、原因によって異なりますが、以下の方法が一般的です:

  1. 薬物療法

    抗生物質(細菌感染が原因の場合)やステロイド点鼻薬、抗アレルギー薬などが使用されます。これらは炎症を抑え、症状を緩和するのに役立ちます。また、デコンゲスタント(鼻詰まりを軽減する薬)も効果があります。

  2. ネティポットや塩水洗浄

    鼻腔を塩水で洗浄することで、鼻づまりを軽減し、感染症のリスクを減少させることができます。ネティポットを使用する方法は、自然な方法として多くの人々に実践されています。

  3. 手術

    薬物療法が効果を示さない場合や、ポリープや構造的な問題が原因である場合、手術が必要となることがあります。副鼻腔を開放し、排出を促す手術が行われることがあります。

  4. 生活習慣の改善

    アレルギーが原因の場合、アレルゲンを避けることが重要です。また、喫煙を控えることや、湿度を調整して乾燥を防ぐことも有効です。

  5. 免疫療法

    アレルギーが関与している場合、免疫療法(アレルゲン免疫療法)が効果的であることがあります。これにより、アレルギー反応を軽減することができます。

慢性副鼻腔炎の予防

慢性副鼻腔炎を予防するためには、以下の点に注意することが重要です:

  • アレルギーの管理

    アレルギーを持っている場合は、アレルゲンを避けることが予防に繋がります。空気清浄機を使用したり、マスクを着用することで、アレルゲンの影響を減らすことができます。

  • 良好な衛生習慣

    手洗いや鼻をかむ際の衛生管理を徹底し、ウイルスや細菌の感染を防ぎましょう。

  • 喫煙を避ける

    煙草の煙は副鼻腔の炎症を悪化させるため、禁煙することが重要です。

慢性副鼻腔炎は、適切な治療と予防により、症状の緩和と改善が可能です。症状が長期間続く場合や、日常生活に支障をきたす場合は、専門医に相談することが必要です。

Back to top button