胃腸障害

成人の慢性扁桃腺炎

扁桃腺炎(へんとうせんえん)とは、扁桃腺に炎症が生じる疾患で、通常は風邪や感染症によって引き起こされます。扁桃腺は、喉の奥にある免疫組織で、体内に侵入した病原菌に対して防御反応を示します。しかし、扁桃腺炎が慢性化すると、長期間にわたり繰り返し炎症を起こすことになり、これが「慢性扁桃腺炎」と呼ばれます。特に成人においては、慢性扁桃腺炎が症状を引き起こし、生活の質に深刻な影響を与えることがあります。

1. 慢性扁桃腺炎の原因

慢性扁桃腺炎の原因は、主に以下の要因によって引き起こされます。

  • 感染症: 喉の感染症が引き金となり、扁桃腺が炎症を繰り返します。細菌やウイルスが扁桃腺に侵入すると、免疫反応が強化されますが、それが過剰になると慢性化します。

  • 免疫システムの異常: 免疫系の過剰反応や不適切な反応が、炎症を長引かせることがあります。特に、自己免疫疾患や過敏症が影響を与えることがあります。

  • 喉の乾燥や刺激: 喉が乾燥しやすい環境にある場合や、喫煙や大気汚染などの刺激を受けることによっても慢性化することがあります。

2. 慢性扁桃腺炎の症状

成人における慢性扁桃腺炎の症状は多岐にわたります。これらの症状はしばしば軽度から中程度で、慢性的に現れるため、初期段階では見逃されがちです。主な症状には以下があります。

  • 喉の痛み: 継続的な喉の痛みや違和感が続きます。急性の扁桃腺炎の際に比べて、痛みの程度は軽いことが多いですが、長期間続くことで不快感が増します。

  • 口臭: 慢性の炎症が続くことで、口臭が強くなることがあります。これは、炎症によって膿が発生するためです。

  • 疲労感: 炎症が続くことで体が免疫反応にエネルギーを使うため、疲れやすくなることがあります。

  • 扁桃腺の腫れ: 扁桃腺が腫れて、喉に違和感を感じることがあります。腫れがひどくなると、食べ物を飲み込みにくくなることもあります。

  • 発熱: 時折、微熱が出ることもありますが、急性の扁桃腺炎のように高熱になることは少ないです。

3. 慢性扁桃腺炎の診断方法

慢性扁桃腺炎の診断は、主に以下の方法で行われます。

  • 医師の問診: 患者の症状や病歴を詳細に聞き取ります。特に、喉の痛みや扁桃腺の腫れの経過を確認します。

  • 喉の視診: 喉の奥を診察し、扁桃腺の状態を確認します。腫れや膿が見られる場合があります。

  • 血液検査: 炎症の兆候や感染症の有無を調べるために血液検査が行われることがあります。C反応性蛋白質(CRP)や白血球数の増加が確認されることがあります。

  • 扁桃腺の培養検査: 細菌感染が疑われる場合、扁桃腺の分泌物を培養し、どの細菌が原因であるかを調べることがあります。

4. 慢性扁桃腺炎の治療方法

慢性扁桃腺炎の治療方法は、症状の程度や原因によって異なります。主に以下の治療が行われます。

  • 薬物療法: 抗生物質や抗炎症薬が処方されることがあります。細菌感染が疑われる場合は抗生物質が有効ですが、ウイルス感染が原因である場合はウイルスに対する特効薬はなく、症状の緩和が目的となります。抗炎症薬や鎮痛薬も使われることがあります。

  • 生活習慣の改善: 喉を乾燥させないように湿度を保つことが大切です。また、喫煙を避け、空気の汚れや刺激物を避けることも予防に役立ちます。十分な水分を摂取することや、栄養バランスの取れた食事も重要です。

  • 手術: 重度の慢性扁桃腺炎や再発を繰り返す場合、扁桃腺の摘出手術(扁桃腺摘出術)が検討されることがあります。手術は一般的に、薬物治療が効果を示さない場合や、生活に支障をきたす場合に行われます。

5. 生活上の注意点と予防策

慢性扁桃腺炎を予防するためには、日常生活の中で以下の点に注意することが大切です。

  • 免疫力を高める: 健康的な生活習慣を維持することが免疫力の強化につながります。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけましょう。

  • 喉を乾燥させない: 喉が乾燥すると、炎症を引き起こしやすくなります。特に乾燥した空気の中では、加湿器を使用して湿度を保つことが有効です。

  • 定期的な健康診断: 喉の症状が長引く場合や、喉に違和感を感じる場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。

6. 結論

慢性扁桃腺炎は、成人においても生活に支障をきたす可能性がある疾患です。早期に適切な治療を受けることが重要であり、症状を軽減させるために日常生活での予防策を実践することも大切です。治療方法は症状や病状によって異なるため、専門医の指導を受けることが推奨されます。

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