扁桃腺摘出手術(扁桃摘出術)は、扁桃腺に関連するさまざまな病状や症状に対処するために行われる外科的な手術です。扁桃腺は、喉の奥に位置する二つのリンパ組織で、免疫系の一部として働き、細菌やウイルスの感染から身体を守る役割を担っています。しかし、扁桃腺が慢性的に炎症を起こしたり、頻繁に感染を繰り返したりする場合、または扁桃腺自体が異常に大きくなると、扁桃腺摘出手術が推奨されることがあります。この手術に関する詳細な説明を行います。
扁桃腺摘出術の目的と理由
扁桃腺摘出手術は主に以下のような理由で行われます。

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慢性扁桃炎
扁桃腺が慢性的に炎症を起こし、喉の痛みや発熱、膿がたまるなどの症状が続く場合、手術が選択肢となります。特に、薬物療法が効果を示さない場合や頻繁に症状が再発する場合に、手術を考慮します。 -
扁桃腺肥大
扁桃腺が異常に大きくなると、喉の痛みや呼吸困難を引き起こすことがあります。特に子供の場合、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすことがあり、これを改善するために手術が行われることがあります。 -
扁桃腺の感染拡大
扁桃腺が細菌に感染すると、膿を形成したり、喉の痛みが激しくなることがあります。これが頻繁に起こると、扁桃腺摘出術が推奨されることがあります。 -
嚥下や呼吸の問題
扁桃腺の肥大によって、食べ物や液体が喉を通りにくくなったり、呼吸が困難になったりすることがあります。このような問題が生じた場合、手術が行われることがあります。
手術の方法
扁桃腺摘出術には、いくつかの方法がありますが、一般的には以下の方法が用いられます。
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従来の手術方法
従来の手術では、局所麻酔または全身麻酔を使用して、口から手術器具を挿入し、扁桃腺を切除します。手術は通常30分程度で終わりますが、術後の回復には数日から数週間かかることがあります。 -
レーザー手術
レーザーを使用して扁桃腺を切除する方法もあります。レーザー手術は、出血が少なく、術後の回復が早いというメリットがありますが、すべての症例に適応されるわけではありません。 -
電気手術(電気メス)
電気メスを使って扁桃腺を切除する方法もあります。この方法は、切開部分を同時に焼灼するため、出血が少ないという特徴があります。
手術後の回復と注意点
扁桃腺摘出手術後は、以下のような回復過程を経ます。
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痛み
手術後、特に最初の数日間は喉の痛みが強く感じられることがあります。鎮痛剤を使用して痛みを管理することが重要です。 -
食事制限
手術後の数日は固形物や熱い飲食物を避け、喉に負担をかけないように注意する必要があります。飲み物や柔らかい食べ物を摂取することが推奨されます。 -
出血
手術後の数日間、少量の出血がある場合がありますが、大量出血があった場合は速やかに医師に相談することが必要です。 -
感染症の予防
扁桃腺摘出後は感染症を予防するために、抗生物質が処方されることがあります。術後のケアをしっかり行い、感染を避けることが重要です。 -
休息と復帰
完全に回復するには数週間かかることがあります。特に、学校や仕事に復帰するには、体調を見ながら無理をせず、十分な休息を取ることが大切です。
扁桃腺摘出のリスク
扁桃腺摘出手術は一般的には安全ですが、他の手術と同様にいくつかのリスクが伴います。これには以下のようなものがあります。
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出血
手術後の出血は、特に術後24時間以内に発生することがあります。出血が止まらない場合や、急激に悪化する場合は再手術が必要となることもあります。 -
感染症
扁桃腺摘出後の傷口が感染するリスクがあります。感染を予防するために、抗生物質が処方されることがあります。 -
喉の違和感や声の変化
手術後、喉に違和感を感じたり、声が一時的にかすれることがあります。これらの症状は通常、数週間以内に改善します。 -
麻酔のリスク
全身麻酔を使用する場合、麻酔の副作用やアレルギー反応のリスクも考慮する必要があります。麻酔科医との事前の相談が重要です。
扁桃腺摘出手術の後遺症
扁桃腺摘出後は、通常、後遺症は少ないとされていますが、まれに以下のような問題が発生することがあります。
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喉の乾燥感
扁桃腺が摘出されることで、喉の乾燥感を感じることがあります。水分をこまめに摂取し、喉を潤すことが大切です。 -
味覚の変化
一時的に味覚に変化が生じることがありますが、通常は回復します。 -
免疫機能への影響
扁桃腺は免疫系の一部として機能していますが、摘出後も他の免疫器官がその役割を補うため、免疫機能への大きな影響はほとんどありません。
まとめ
扁桃腺摘出手術は、扁桃腺が引き起こすさまざまな問題を解決するために行われる有効な治療法です。手術自体は比較的安全で、回復も早いことが多いですが、術後の注意やケアが重要です。もし扁桃腺に関する問題が続いている場合は、医師と相談し、手術の必要性を慎重に検討することが大切です。